今回は在宅に戻るまでについてです。



私個人の体験に基づいて感じた事での話ですから実際とは多少違う事はご了承下さい
(違う箇所がございましたらご指摘願います)
 
身体に様々な状況で障がいを負い、又、機能低下した場合、
まず治療として急性期の病院に運ばれます。そして治療がある程度落ち着くと
回復期と言われるリハビリ病院へ転院となります。
所謂、リハ病院=本格的リハビリの始まり=在宅に向けての準備と言っても過言ではないでしょう。
下記図式は患者(当事者本人)が在宅に戻るまでの関連職種の連携関係を記したものです。


ここで言う  当事者= 患者・家族
        医療 = 医師・看護師・MSW・PT・OT等
        建築 = 設計者・施工者
        行政 = 各自治体福祉事務所・社会福祉協議会等

 
@ 入院期間の制限

  リハ病院に転院するとまず、本人・家族の聞き取り調査が行われます。
  その意向に基づいて、主治医・担当看護師・MSW(医療ソウシャルワーカー)
  PT(理学療法士)・OT(作業療法士)がカンファレンスと言う会議を開き
  患者・家族の意向に出来るだけ沿う形、又、症状に合ったスムーズな生活が出来る様に
  計画(プログラム)を立てます。
  その計画に沿ってリハビリが開始となります。計画には目標期限も合わせて立てられます。
  目標期限=退院=在宅復帰ではないでしょうか?
  ではその期限とはどれ位なのでしょうか?
  因みに私の症状「脊髄損傷」で3ヶ月、「頚椎損傷」で6ヶ月、と言う目安でした。
  (あくまでも個人の状態にもよります)




  心理的問題

  その期限内で果たして障がいを受容出来るものでしょうか?
  個々の状態によって違いはあるものの、受容が出来ない状態でリハビリしている人は多いはずです。
  勿論家族も一類の望みを抱いている状態です。




  在宅に向けての住まい

  当事者本人が一通りのリハビリを完了、又完了予測がつくと、在宅に向けての住まいの
  準備が必要となってきます。
  ここからは当事者本人は入院している為に家族の協力が必要となって来ます。
  個々の症状の状態を加味し、住まいは持家なのか?賃貸なのか?から始まります。

  私の場合は受傷前は賃貸アパートの2階に住んでいました。
  当然車椅子での生活には適していません。
  よって家探しからのスタートとなりました。
  本来、家探しとは、外観・間取り・生活環境等を十分に吟味して、家族全員で意見交換をして
  決定するものです。(間取りを見ながら意見交換している場が楽しいですよね)
  しかし、私の家探しは違っていました。
  家内が「主人が車椅子なんですが、住宅改修を了承してくれる家を探しています」と
  不動産屋を一軒一軒聞いて廻ってくれました。
  外観・間取り・なんて考えてる余裕なんてありません。
  やっとの事で築35年の一軒家が
  「住宅改修は可能だが、退居する時には元の状態に戻す。所謂現状復帰。」
  の条件で見つかりました。
 
  住まいが確保されたと言う事で次に住宅改修となります。




A 双方の知識不足

  本来住宅改修の流れは、PT・OTが家屋調査を行い、当事者本人の症状に合った改修提案をします。
   改修に当たり、建築の構造的な知識が乏しいPT・OTと、当事者本人(患者)の症状に関して認識が乏しい建築業者。
  双方が不得意とするところを補い合わなければ良い住宅改修など提案できないところを、
  しっかりした打ち合わせ時間が少ないまま話が進められています。
  (例として手摺の位置確認を指示するものの、構造的につけられない事があり、近似値の箇所につけてしまう等)
  使用する当事者本人が実際使えなくなるケースが発生してしまいます。
  「たかだか1cm、されど1cm」
  1cmの為に車椅子も通れなくなります。




  施工業者の選定問題

  かかりつけ医はいるものの、かかりつけ建築士はいるでしょうか?
  大概は近くの工務店に依頼するも上記の通り、症状に対する知識が不足している。
  知り合いの工務店がいない場合はPT・OTの知り合いの施工業者に依頼する事もあります。
  PT・OTは知り合いの施工業者に頼む方が都合が良い事は確かですが、
  その施工業者が症状を把握しているか?と言うと中にはそうでもない施工業者がいる事も現状です。




  打合・相談時間の少

  住宅の改修は3者交えた打合せ・相談に十分な時間をかけなければなりませんが、
  2者(PT・OTと建築業者)の時間が日々の業務で、中々取れないのが常であります。
  当事者本人は以前と同じ身体状態ではありませんが、当事者本人・家族を交えた打合せ時間が欲しいものです。
  皆さんも住まいを考える時は間取りを見ながら色々と考える、生活構想を練ると思いますが如何でしょう?
  中には福祉用具販売店の営業マンが打合せに参加していたりしています。(このケースはかなり多いのも事実です)
  建築なのに、専門である建築士・設計士がその場にいない。
  心配でなりません。




  アフターフォローの少

  当事者本人が在宅に戻った時、改修を終えた家で生活をしますが、退院前にシュミレーションはするものの
  家具、用具等設置して実際の動線で生活してみると
  当事者本人・家族共「使い辛い」「こうしたらより良く使い易くなる」等
  色々な諸問題が発生してきます。
  その時の対応は建築業者に委ねられますが、症状の把握が出来ていない中、十分と言える改善提案が
  言える状態ではありません。
  シュミレーションと実際の生活動線は開きがある事。又
  車椅子の大きさは当事者本人に合わせて作られています。屋内の車椅子での動線はその都度変化がある事を
  考慮して頂きたいものです。
  その為に退院後の生活環境・生活状況のフォローを行って欲しいものです。
  私自身、当時の住まいは、生活するに於いてかなりの手直し、又我慢を強いられました。




  福祉用具の認識度の低

  住宅改修に於いては、建物の構造的改修が難しい時は福祉用具の使用も視野に入れた提案をしなければいけません。
  しかし、現在において全ての福祉用具の利用方法が正しいとは限りません。
  福祉用具の提案も使用時の問題点(メリット・デメリット)をはっきり伝えないと
  間違った使い方となってしまいます。
  例えば、段差解消機。
  商品名の通り、本来なら段差を解消するために使用するものですが、
  設置方法を間違えると段差解消機を使用する時点で段差が発生します。
  案外この段差がきつい勾配になったりもします。
  (詳細問題点に関しては別途ご報告します) 




B 複雑な助成制度の利用方法

  本来、市民の為にある制度なのが、複雑な内容であるが為に利用しにくいのが現状です。
  個人の住環境整備においては各自治体毎によって変わりますが、工事金額を補填してくれる助成制度があります。
  折角の制度であるものの、制度自体を知らない。
  又、利用方法がわからないまま工事を終えてしまうケースが多々みられます。工事後では助成制度は使えません。
  中には助成手続きが面倒な為に活用しないケースが見受けられます。
  自治体・症状によっても違いますが東京都は100万円以上補填してくれます。
  決して馬鹿にならない金額だと思いませんか?
  では家族が逆に聞いてみれば?と思いますが、何を質問してよいのか?がまったく分かりません。
  と、言う事で立派な制度が葬られてしまいます。残念な事で仕方ありません。




  担当者の知識が乏しい

  本来、行政・自治体の担当者が制度の利用方法等、利用制度の有無・活用方法など
  通知しなければいけない事なのですが、担当者は通知してくれません。
  それは何故?
  担当者の中に、熟知している人が少ない事。
  折角よく対応してくれた担当者が異動してしまう事も原因の一つですね。
  次に来た担当者は福祉には無縁な部署から・・・。  では分かる訳がありません。
  本来なら直接市民に関わる部署ですから、異動させてほしくないのが心情です。
  又、自治体特有の縦割り社会であるが為に、臨機応変さがないですね。




  情報の未通知

  上記の点の情報を当事者本人・家族にもっと知らして欲しい、教えて欲しいです。
  そうすれば当事者本人・家族の負担が少しは楽になる事は間違いありません。
 




  以上、在宅に戻るまでの現状をお伝え致しました。  
  私自身受傷前から建築には従事していたものの、 現在の様な知識はまったくありませんでした。
  同じ建築でも福祉建築とは別世界と言っても
過言ではないと思います。
  上記図式の諸問題で私や家内共々、無駄な労力・費用・時間を過ごして来ました。
  
  その上記諸問題の改善と思い、活動提案させて頂いております。