『葦牙』合評会2008のご報告


執筆者と読者の交流を中心にした『葦牙』34号の合評会2008を下記のように催しました。

特集「いま、なぜ沖縄か」、小特集「グラムシの可能性」をはじめ、その他の評論、創作などそれぞれ力作がそろい、執筆者を交えて、いま、なにが大切なのか、を徹底的に議論しました。

★日時20089月13日(土)12:30 〜 9月14日(日)12:00

★会 場 伊東 「さつき会館」 



★日程 □9月13日(土)

口 13:30〜17:00
    合評〈1〉特集◆いま、なぜ沖縄か          
……司会・武藤功
17:30〜20:00――〈入浴・夕食〉――
20:00〜22:00
   合評〈2〉小特集◆グラムシの可能性           
……司会・山根献

□9月14日(日)
9:00〜12:00
    合評〈3〉その他の作品/今後の見通し           
……司会・牧梶郎
12:00  解散


尾張はじめ:『葦牙』34号「合評会」報告
 

     東京駅から特急踊り子に乗ると二時間弱で伊東に着く。遠いようで近い町が伊東である。そして通過することはあっても下車したことがないのも伊東である。私も今回はじめて伊東で下車した。葦牙三十四号合評会は九月一三日から一四日にかけて伊東のさつき会館で行われた。参加者は十四人、さつき会館はJR東労組、旧動労の施設だそうである。

 第一日目はまず特集の沖縄問題から討論をはじめた。全部で五つの論文がそろったが、どれも力作ぞろいである。今年の三月に「大江・岩波裁判」の第一審判決があり、被告である大江氏と岩波書店の全面勝訴だっただけに、この裁判に関する論考も多い。裁判では沖縄の集団自決を日本軍が「命令」したかどうかが争われたが、結果的に「関与」という表現で判決が下り、教科書の記述もこの表現になった。山根氏や武藤氏の論文はこの経過を分析し、さらに霜多正次「道の島」を取り上げて沖縄問題の核心に触れようとした力作である。田口富久治氏は今号の沖縄問題に関する論文を高く評価したそうである。参加者からも集団自決や「投降」をめぐって、様々な議論が提起された。特に曽野綾子氏の集団自決を美化するような論考に対しては厳しい批判が寄せられた。

 夜は小特集のグラムシの可能性である。東京グラムシ会からかけつけて参加して頂いた丸山氏の「工場評議会」に関する解説などもあり、現代におけるグラムシの可能性をどう評価するか議論となる。昨年、グラムシ没後七十周年記念シンポジウムが行われたが、グラムシ思想の今日的意義はますます重要になっていると思われる。

 その後は懇親会、この日はほかに宿泊客がなく、夜遅くまで議論が続く。温泉につかって酒を飲み、政治や文学について議論する。これも合評会ならではの楽しみである。寝不足と二日酔いを温泉で覚まし、二日目は創作と書評の合評である。柘植氏と牧氏の創作二編はいずれも力作である。参加者の評価は多少分かれたが、両氏とも最近の作品の中では最も優れているという評価が大半を占めた。

文芸・思想誌としての「葦牙」も来年は創設二十五周年を迎えるそうだ。特集号の出版、座談会の提案もあった。「反貧困」運動の行動提起もあり、盛りだくさんで充実した合評会 だったと思う。皆さん、来年もまたお会いしましょう。

photo©Hajime Owari

なお、参加できなかった方々には『葦牙』34号についての読後感想、ご意見など葉書・電話・faxで、下記宛にお寄せいただければ、今後の編集に役立てたいと思います。

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