拝啓 年の瀬を迎え、寒さも一段と深まって参りましたが、お元気にお過ごしのことと存じます。
さて今春、アメリカでレーガン政権が発足して以来、軍備増強論がにわかに高まり、限定核戦略が唱えられ、中性子爆弾の製造が決定されて、核戦争の脅威が人類の生存にとっていっそう切実に感じられるようになってきました。
ご承知の通りヨーロッパでは、一九八三年末にアメリカの新しい戦域核兵器が配備されれば、核戦争への歯止めが失なわれるという危機感から、歴史に例を見ないほどの巾広い反核、平和の運動が拡がっております。
いうまでもなく核戦争の危機は、ヨーロッパに限られるものではありません。新聞報道によれば、一九八四年には巡航ミサイルなどの新しい戦域核兵器が日本をふくむアジア地域にも配備されと伝えられながら、アジアではその配備を防ぐための軍縮交渉が問題にさえもなっておりません。
世界最初で唯一の悲惨な被爆体験を持つ私たちは、いまこそ核戦争の惨状を全世界に訴え日本政府および東西の核大国に対して、日本の非核三原則を厳守してこれを全世界に拡大し、核兵器の全廃のための措置を取るように文学者として主張すべきときではないかと存じます。
こうした考えから、私たち有志で、とりあえず別紙のような声明文を用意しました。私たちはいかなる党派、組織、団体からも独立した文学者個人として、それぞれに手弁当で、日本の文学者の核戦争に反対する声を集め、核兵器全廃への私たちの強い願いを表明したいと思います。 つきましては別紙の声明文について賛成のご署名をお寄せ頂きたいと存じます。なおこの趣旨にご意見があれば声明文と合せて発表したいと思いますのでおつけ加え下さい。また、この趣旨にご賛同頂ける方をご紹介、ご推薦頂ければ幸に存じます。
声明は新年に発表したいと存じますので、ご多用のところを恐縮ですが、折り返しぜひご返事を頂きたく、よろしくお願い申し上げます。
一九八一年十二月