記録文書 No.4
「四月号」問題の背景となった「核戦争の危機を訴える文学者の声明」と
「署名についてのお願い」


『核戦争の危機を訴える文学者の声明――全記録』

編集人・伊藤成彦、小田実、小中陽太郎、中野孝次

【発行人・「核戦争の危機を訴える文学者の声明」署名者】より転載

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署名につてのお願い

拝啓

年の瀬を迎え、寒さも一段と深まって参りましたが、お元気にお過ごしのことと存じます。
さて今春、アメリカでレーガン政権が発足して以来、軍備増強論がにわかに高まり、限定核戦略が唱えられ、中性子爆弾の製造が決定されて、核戦争の脅威が人類の生存にとっていっそう切実に感じられるようになってきました。
ご承知の通りヨーロッパでは、一九八三年末にアメリカの新しい戦域核兵器が配備されれば、核戦争への歯止めが失なわれるという危機感から、歴史に例を見ないほどの巾広い反核、平和の運動が拡がっております。
いうまでもなく核戦争の危機は、ヨーロッパに限られるものではありません。新聞報道によれば、一九八四年には巡航ミサイルなどの新しい戦域核兵器が日本をふくむアジア地域にも配備されと伝えられながら、アジアではその配備を防ぐための軍縮交渉が問題にさえもなっておりません。
世界最初で唯一の悲惨な被爆体験を持つ私たちは、いまこそ核戦争の惨状を全世界に訴え日本政府および東西の核大国に対して、日本の非核三原則を厳守してこれを全世界に拡大し、核兵器の全廃のための措置を取るように文学者として主張すべきときではないかと存じます。

こうした考えから、私たち有志で、とりあえず別紙のような声明文を用意しました。私たちはいかなる党派、組織、団体からも独立した文学者個人として、それぞれに手弁当で、日本の文学者の核戦争に反対する声を集め、核兵器全廃への私たちの強い願いを表明したいと思います。 つきましては別紙の声明文について賛成のご署名をお寄せ頂きたいと存じます。なおこの趣旨にご意見があれば声明文と合せて発表したいと思いますのでおつけ加え下さい。また、この趣旨にご賛同頂ける方をご紹介、ご推薦頂ければ幸に存じます。

声明は新年に発表したいと存じますので、ご多用のところを恐縮ですが、折り返しぜひご返事を頂きたく、よろしくお願い申し上げます。

一九八一年十二月

井伏鱒二 井上靖 井上ひさし 生島治郎

尾崎一雄 小野十三郎 小田切秀雄 小田実

木下順二 栗原貞子 古浦千穂子 小中陽太郎

草野心平 高橋健二 巌谷大四 黒古一夫

住井すゑ 中村武志 夏堀正元 南坊義道

埴谷雄高 林京子 三好徹 西田勝

藤枝静男 本多秋五 中里喜昭 星野光徳

堀田善衛 真継伸彦 高野庸一 伊藤成彦

安岡章太郎 吉行淳之介 大江建三郎 中野孝次

(連絡先)〒235 横浜市磯子区洋光台4−12−20
中野孝次方