クレイド古生物学研究所のポリシー

 クレイド古生物学研究所は平成15年(2003年)4月1日に設立された私設研究所です.博物館主任研究員,大学教員,化石標本業者アルバイト,博物館設立準備室補助などを経験して,現在の時点では地域の小規模公立博物館が生き残る道は非常に厳しいことを実感しました.

 現在,自然科学に対する市民の関心は決して低くはなく,また表面的ですが総合学習(あるいは体験学習)という形で学校教育の需要も増加しています.しかし,これに対応することのできる博物館は非常に少なく,なによりも公立であること,すなわち役所の一施設であることが大きな障害となっている場合も少なくありません.

 博物館にはその施設の専門性に関わる知識と技術を有した学芸員の存在,さらに資料が最も活かされる人脈や方法を知り尽くした学芸員の存在が不可欠です.こうした多様な要求に答えられる人材は決して多くはありません.大学教員も「独立法人化」に向けて普及活動の必要性も理解していますが,その実現には大学のシステム上,とても鈍いのが現状です.

 展示物やレプリカ作成等は高度な技術が要求されます.学芸員や大学教員の中にはこうした高度な技術を有する方もいますが,それに時間や費用を費やすことはほとんど出来ません.一方で作成業者も専門的な知識を十分に持ち合わせた業者は必ずしも多くはなく,専門家のアドバイスのもとで活動している場合も少なくありません.

 また,博物館や大学に眠っている資料の多くは手を加えることで展示や普及活動に利用することが出来ますが,これに対する予算付けや対応はあまりなされていません.財政難であることは規模を問わず博物館の抱える問題であり,いかにして企画展を開催するかという時に,これらの眠っている資料の活用,巡回はこれからの博物館経営に大きな意義を持ってきます.予算的には余裕があるが時間のない大学関係者の研究補助も今後の重要な仕事となることと思います.

 クレイド古生物学研究所はこうした専門的な知識と技術を持つ施設として開設され,民間企業として博物館,イヴェント業者,あるいは大学の研究,普及活動の企画や補助を行うことを目的としております.また,独自の研究活動も同時に行い,その成果の市民への還元として普及活動も行って行きます.自然史への扉の敷き居を低くし,博物館や大学,展示業者などの隙間産業として,この分野の必要性は高まって行くことと思います.

 アマチュアの方々や自然に興味を持つ方々が気軽に立ち寄れる研究機関を目指しています.ちょっと体験してみるだけと言うものではなく,継続して趣味として楽しみながら知識欲を満たすことのできる場を提供します.研究機関に所属しなくても自然科学に携れる楽しさを味わいましょう.

 私はひとりの研究者として,
1. 自然史研究者はフィールド調査に根付いた研究を行うべきである,
2. 研究成果は広く公表し,普及活動を行うべきである,
3. 市民レベルでの自然史の研究に協力を惜しまない,
というポリシーで活動を行っていきたいと思います.
 

*有能な人材を募集しています.
*決してまち起こしのためにやっているわけではありません.