PT麻雀

PT麻雀

メーカー:アイレム

 アーケード初の麻雀ゲームは「ジャンピューター」(有楽町にはまだこいつが現役の店があります…)と思いきや、実はこちらが先なのだ。と言ってもここに書いた通り四人制半荘でもパズルゲームでもなく、ブロックくずし系によるゲームである。以下解説は判り易さを考えて、項目別でなく順に文章書きして行こう。なお画面デザインについては書いてない…てゆーか画面中段に殆ど何も無いので(笑)書くべき事が少ないのだが、全体的に色合いが堅苦しい所は、いかにもアイレムらしかった。

 まず右上から左上に牌が連なって移動して来るが、これが山に相当する。牌が裏か表かは忘れたが、裏では欲しい牌を選ぶ事が極端に難しくなるので、表のみか、マシンにより裏と表2種類のバージョンがあったのかも知れない(しかし裏のデザインが本来の牌によくある一色塗りでなく、ラーメンみたいな模様だった記憶もあるのだ)

 ここまで書けばもうかなり判ってくれたと思うが、ラケットでボールをはじいて欲しい牌に当てる。当たった牌は「ポヨ〜ン」と音がして手牌になるが、まずこれを14回繰り返す。15回目からのツモ切りだが、その為のコンパネはボタンがAからNまで14個あると思いきや、ぢつわパドルを操作して、不要な牌の上の上に持って行き、サーブボタンを押すのだ。そうするとラケットの真下にある牌は捨てられ、ボールは再び飛び出す。

 役作りまでの制限時間だが、ここら辺は現在の麻雀ゲームと同じ。捨牌を選ぼうとしているも制限時間が減って行き、上手く和了れないと減点。最初で和了れないと確実にマイナスなのでゲームオーバーになる。この辺は現在の麻雀ゲームと全く同じだが、私が思うに、本当の意味で今の麻雀ゲームのシステムを作った「ジャンピューター」が、当ゲームの制度をそのまま使ったのでは?

 最後に役についてのオプション。偶然による役(メンゼンツモや天和)やリーチの存在、全部刻子にすると四暗刻と対々和どっちになるのか等は全く覚えていない。しかしカンが無いのと風牌や海底があったのは多分確実だと思う。この為インストカードには有効とされる役が、よくある麻雀入門書みたいに実際のメンツ構成も書き添えて表示してあった為、面積が大変広かった(笑)
備考:
 今ではそれこそ私しか知らないマイナーゲームだが(そう言や「究極VGリスト」にも載ってないな…)最低2ヶ所の店で見た事があり、メーカーが零細ではないアイレムだった事、ゲームセンターも同じアミューズメントである麻雀と言う事もあって比較的あちこちに置いてあったのでは無かろうか。コンピュータ側の思考ルーチンを作る技術的余裕が無かった時代に、ここまで麻雀を作ってやろうとした開発側のフロンティアスピリッツは高く評価したい。

 しかし当ゲームは麻雀を覚えた高校生以上がやっていた記憶は無く、たまにやってたのは小学生ばかり。それも見た事無いゲームだから試験的にクレジットを入れた者ばかりで、私が一応親切(=おせっかい)に「これ麻雀の役知らないと遊べないよ」とアドバイスすると、皆「ちぇっ、百円損した」とグチっていた。本来の利用層を見込まれていた連中は、本物の麻雀をやるメンツがいたのだろう。

マイコン移植:
 コンピュータゲームと麻雀の関わりについても少し触れておこう。当然ながらこの二者へのニーズは強いものがあり、早いものではワンボードマイコンの時点でもう四人麻雀ゲームが出来ている。TK-80BSを振出しにPC-8001、次いでMZ-80B、ベーシックマスターレベル3、FM-8等に移植された「四人マージャンゲーム」が有名だろう。だが思考ルーチンが将棋等より簡単とは言え、メモリ的に作る余裕が無かったので(役判定ルーチンだけでかなり喰っていた)、あらかじめコンピュータの担当する家は四面子一雀頭か七対子が出来ていて、後はリーチのタイミングを乱数で決めていたと言う体たらくぶりだった(笑)この為これらのゲームではリーチと同時にツモ上がる「リーチゼロ発ツモ」なるバグが存在した(爆笑)なお「ジャンピューター」の登場後ほど無く、ちゃんと機械語による思考ルーチンを積んだ2人麻雀ゲーム「PC−ジャン!」「THE・麻雀」等が登場している。

 最後に麻雀の役作りのみを使った他のゲームについて(「上海」等パスルゲームのマークのみに使用したものは除く)ゲーセン通いをやめてマイコン少年になってた頃、行きつけの吉祥寺駅東のマイコンショップ(現存しません)に来た少年が、カセットテープからそんな市販ゲームをロードしたのを見た事がある。こちらはPC-8801用で、右から牌が流れて来る所と、それをセレクトして役を作って和了ボタンを押す所は同じ。違いは欲しい牌をハンマーで叩き落とす事、面が進むとリーチ棒が空を飛びながら妨害して来るので、付いているジャンプボタンで避ける事等。ちなみ全部刻子にすると四暗刻だった。あとこのジャンルを作り始めてから知ったが、その後のアーケードでも83年にキワコから「Mr.ジャン」と言うゲームが出たそうだ。こちらの牌の揃え方は牌を押して、邪魔する敵をこれで押し潰せる所は「ペンゴ」の亜流。このゲームは今でもある方法で簡単に遊ぶ事が出来る。

 ゲームオーバー  アト1カイアソベマス