280 Zzzap & Night Driver

280 ZzzapNight Driver

 すこし細かいところまでつっこんで検証してみました。

 まず、元になった Degital Games 社のゲームの名前は「Night Racer」で、プログラマは Ted Michon 氏。 Midway 社は 1976年1月にこのゲームの販売権を取得し、名前を「Midnite Racer」に変えて販売。(注:"Midnight" でなく "Midnite" なのは決してスペル間違いではない。)同年11月の AMOA ショーで、Midway 社は「Midnite Racer」の”改良版”を「280 Zzzap」として出品。どこをどう改良したのかは不明。

 ところが、同じ AMOA でアタリ社は「ナイトドライバー」を出品。ほぼ同様な作品が異なる会社から同時に出品されたので、そのオリジナル性について実際にクレームがついたらしいが、その後の展開は不明。「ナイトドライバー」の開発の経緯は明らかではないが、注目すべき事実は、プログラマとして、「Night Racer」を作った Ted Michon 氏が開発に関わっているらしいのである。(ちなみにもう1人のプログラマは Dave Shepperd 氏。)してみると、「ナイトドライバー」はプログラマ本人の手による「Night Racer」の改良版という見方も成立する。

 すると、「280 Zzzap」と「ナイトドライバー」はどちらも「Night Racer」をソースとし、前者は正式にライセンスを譲り受けた Midway 社による改良版、後者は元々のプログラマ自身の手による改良版、ということになる。これらが同時に出品された背景には、本家 vs 元祖 骨肉の争い、みたいなドロドロしたものが垣間見える。一方、Degital Games 社は1976年6月に倒産する。従業員のほとんどは Micronetics 社に移籍し、1977年3月にそのMicronetics 社から再び元祖「Night Racer」がリリースされる。何故に再販されることになったのか、その背景が興味あるところであるが、不明。
 ここで1つ気になるのは、1977年に国内でエスコ貿易から販売された「ナイトレーサー」。”懐(レ)ゲーの部屋”(有名だよね?)にあるレビューによると、「スピードレース」系列のゲームみたいで、そうだとすると Micronetics 社の「Night Racer」とは名前こそ同じだが違うゲームということになる。ややこしい。この辺りはさらなる検証が必要。

 それからもう一つ触れておかねばならないのは、タイトーの「スーパーハイウェイ」(1977年)。タイトーHPのゲームヒストリーにインストカードがあったが、そのインストラクションの内容を「280 Zzzap」と比較すると  なんと、細かい部分が全く同じではないか!これはもう、「280 Zzzap」の国内ライセンス版がタイトーの「スーパーハイウェイ」だと見てほぼ間違いないと思います。

 あと、同年代の”3Dビュー”カーレースゲームとしては、ナムコ開発・アタリ生産の「F1」(1976年) というのがありますが、同じ3Dビューといっても、ちょっと毛色が違います。厳密に言うと、これはビデオゲームではなく、プロジェクターで画像をスクリーンに投影しています。いわゆるエレメカ (electro-mechanical machine) の一種です。「280 Zzzap」や「ナイトドライバー」等が皆、夜を舞台としているのは、当時のハードウェアの性能では街並みなどを描画することが無理だったためと言われます。しかし「F1」では、ハードで描けないのならプロジェクターで画像を投影してしまえ、と発想の転換をして、昼間の3Dビューカーレースゲームをいち早く実現させたわけです。 ちなみに、これも”懐ゲーの部屋”にレビューがあります。

 あと、タイトルについて考察。 車名は280-ZとZapを掛けてるのではと思いますが、細かく言えば、"z" の文字が重なっていることから、"zzz" っていう擬音も含まれているんだと思います。 "zzzap" で車が ”ぶぅ〜〜ん”と疾走する様を表現しているのでしょう。こういう擬音語を ”Zアップ”と訳したのは、ちょっとおマヌケですね。

 最後に余談ですが、「スパイハンター」(Midway、1983年、まだレコード未登録ですね)も”Datsun 280Z”がモデルになっており、このゲームのデザイナーである Bill Adams 氏が実際に車を所有していたそうです。彼は「280 Zzzap」の開発には関わっていないようですが、こちらの開発陣の中にも、きっと実際に車を所有しているか、あるいはその車の熱烈なファンがいたんでしょうね。フェアレディZは北米では通称"Z-car" と呼ばれ、かのスポーツカーブームの時代には結構人気があったみたいなので。
 歴史的なことばっかりで、ゲーム内容について説明してなかったですね。補足しておきます。(これでかえって混乱したらごめんね。)

 まず、操作について。実機の操作系はステアリング、アクセル、ギアの3つ。この頃のカーレースゲームには皆ブレーキはない。MAME では、ギアチェンジにはボタン3が割り当てられ、押す度に HIGH、LOW が切り替わる。アクセルにはボタン1とボタン2の2つが割り当てられており、これはアクセルを踏み込む度合いが1つのボタンではうまく調節できないためであろう。  となっているようである。速度の目安は、
ローギア+ちょいアクセル〜25 mile/h
ローギア+半アクセル〜50 mile/h
ローギア+アクセル全開〜75 mile/h
ハイギア+ちょいアクセル〜50 mile/h
ハイギア+半アクセル〜100 mile/h
ハイギア+アクセル全開〜155 mile/h
 という感じ。ちなみに、「ラグナレーサー」も同様な操作になる。実機では、アクセルの踏み込み方次第でもっと微妙な調節ができるのであろうか?この辺りは実際にやったことある方に聞いてみたいところです。

 次に、「ナイトドライバー」との違いを表にまとめてみました。
ナイトドライバー280 Zzzap
ギア4速2速
コース選択あり(3種類)なし
スピードメーターなし(最高速度のみ表示)あり
制限速度の表示なしあり(カーブ時)
コースアウト時 画面がフラッシュ(MAME では不完全)
大きくコースアウトすると、 "OFF THE ROAD. WAIT FOR THE TOW TRUCK" と出て、若干のタイムロス。
文字表示
状況により"BOOM", "ZONK", "BANG", "BAM!", "POW!", "WAM!", "ZAP!" 等、種々の表示。
タイマー設定50,75,100,125秒60,80,99秒
得点走行距離に比例(白い棒3本当たり1点)走行距離に比例(白い棒4本当たり0.01点)
延長プレイ350点以上(固定)2.00点 または 2.50点以上(可変)
記録ハイスコア&直前のスコア&最高速度(コースごとに)ハイスコア&直前のスコア
筐体スタンド型&コクピット型スタンド型のみ
その他特記事項ボンネット部分のアートワークがある。スタート時にフラッグマンが旗を振る。
全体的な印象4速ギアと3種類のコース選択が特徴で、リアリティを追求している。スピードメーターと制限速度の表示が特徴で、インタラクティプで初心者にやさしいと言える。

 ゲームオーバー  アト1カイアソベマス