Boot Hill

Boot Hillウエスタンガン

 70年代の海外ゲームに関してはだいぶ資料が集まったんで、ネタは十分あったんだけど、しばらく出張だったんでまとめるの遅れちゃった。

 なお、MAME ではプレイヤー2用のパドル設定(ショットの方向を決めるレバー)がないですね。(うちだけじゃないよね?)昔のバージョンでは「Gun Fight」も同様にプレイヤー2のパドル設定がなかったんだけど、それはいつのまにか直っている。でも「ブーツヒル」の方は未だ直ってない。
 幌馬車が動き出して初めて3Dだと気付きました。舞台は丘の上で、画面の真ん中には幌馬車の走る道があります。撃たれて死んだら、上へ昇って行って、棺桶に入りますが、棺桶の位置は背景画像でちょうど墓場になっています。規定弾数内で敵を倒せなかった場合、画面下に補給までのタイマーが表示されますが、 MAME でやった限りでは、あのタイマーは補給までの時間というより、ゼロになるまでに決着つけないとそのラウンドはドローになる、って意味に思えましたが…。

 このゲームの説明には「Gun Fight」を抜きにできません。「Gun Fight」は歴史的に見て、大変重要です。 Midway初である以上に、そもそも

史上初めてCPUを搭載したアーケードゲーム

 らしいです。「ポン」亡き今、MAMEでサポートされている最古のゲームであり、「ポン」がCPUを使わないという理由で削除された以上、その地位は揺るがないでしょう。オリジナルはタイトーの「ウエスタンガン」ですね。「Gun Fight」は国内販売されなかった海外ゲーム扱いとなっていて、それは正しいのですが、あくまでオリジナルは国内産です。

 なお、「Gun Fight」は初めてアメリカが日本からライセンスを受けたゲームである、と記述している資料がかなり見られますが、それは実は間違いで、本当は第2号らしいです。「Gun Fight」のアメリカでの販売は1975年11月で、同年2月に出た「Wheels」(これも MIDWAY 社)が第1号とのこと。では、そのオリジナルゲームは何かと言うと、はっきりわかりませんが、車のハンドルつき筐体のカーレースゲームなのはわかっています。おそらく、タイトーの「スピードレース」か「フォーミュラレース」(ともに1974年)が元だと推測されます。

 本題の「Boot Hill」は結局のところ、「Gun Fight」にCPU相手の1人プレイを加えたものにすぎません(見てくれが疑似3Dビューになったとか、細かい違いは色々あるけど)。余談ですが、 同時期のガンマンものとしては、他にアタリの「Outlaw」(1976年3月) というのがあります(MAME 未サポート、国内輸入あり)。これは光線銃を画面に向けて撃つタイプのゲームで、その光線銃は本物の拳銃(コルト45)の精巧なレプリカになっているそうです。

 それから、エスコ貿易は元セガ社長の中山隼雄氏が設立したんですね。セガの歴史を調べれば、自ずとエスコ貿易のことに出くわすでしょうが。
 続いて「ウエスタンガン」に関して。

 「ウエスタンガン」と「Gun Fight」はゲーム内容がちょっと違うのかもしれないとずっと気になってました。「ウエスタンガン」に岩があるのは、タイトーゲームヒストリーのインストカードで確認できましたが、少なくとも MAME でやる限り、「Gun Fight」に岩は出てこない。”流線堂の同人誌”に岩のことが書いてあるなら、違いは決定的。(その本では幌馬車のことは書いてありませんか?)MAMEが不完全なのか、それとも「ウエスタンガン」から「Gun Fight」になった時、ゲーム内容 の変更も行われたのか、さらなる検証が必要と思われます。場合によっては”初のCPUを使ったゲーム”の称号も「ウエスタンガン」ではなく、「Gun Fight」のみに与えられるかもしれません。以下、MAME でやる限りにおける「Gun Fight」の内容について補足。  オリジナルの「ウエスタンガン」は TTL で構成されているのに対し、海外版「Gun Fight」のデザインを担当した Dave Nutting 氏が CPU として 8080 を使うようにアレンジしたみたいです。この時、きっとゲーム内容の変更も行われたのでしょう。こうなってくると、「Gun Fight」を単に「ウエスタンガン」の海外版としてよいのか、別のゲームとして扱った方がいいのか…

 改めて両者の違いをまとめると、
ウエスタンガンGun Fight
CPU使わない使う
ありなし
幌馬車なしあり
 ってな感じです。

 ゲームオーバー  アト1カイアソベマス