京急の優れている本当の理由?
京急の優れている本当の理由?
さて京急の話である。この文章を見ている皆には、どういう鉄道か説明の必要は無いだろう。関東大手で最も関西的と言うのは有名な話だ(実はマニアでない一般利用客は、京急でも関心や好感度を持ってない事が多いそうなのだが、とりあえずここではその話は略)ところがこの京急について、時々こんな話が聞かれる。
「京急以外の関東の鉄道は大量輸送だけに専念しているが、関東で京急だけはそんな方針に溺れず、高速運転や料金不要クロスシート車等のサービスを提供し、関東で唯一成功した路線である」
中にはホームページや商業書籍で書いている所もあったが、それっておかしくないか?私には下の様に言ってる風にしか聞こえない。
「京急以外の関東の鉄道も京急も、運んでいる客の量とか立地条件は同じなのに、京急以外はああしたやり方で大量輸送に失敗し、京急だけが同じ量の輸送に成功したのだ」
ご存知の通り京急はどうしても特別賛歌になる事が多く、私自身もこうした分野を始めたのは、京急以外の関東の鉄道ダメ主義を唱える者に会ってからだ。そしてこれらは今も変わらず、冷静で理論的な分析をしない京急賛歌が後を断たない(ピクトリアルだかジャーナルで、関東と関西の鉄道の違いを考察しようとして、結局ただ京急賛歌だけで終わってたおマヌケ奇稿を見た事あるぞ。京急2000型だけの写真付き。川島かと思ったらそうでなく、どっかの教授を自称する人だった…)
ではどうしたら一歩引いて冷静に見つめる事が出来るのか?どう分析すればいいのか?その先を理論的に見つめた言葉は非常に少ない。ところが私の場合、これに対して回答の一つと言えるものを見出していた事がある。それが以下の文章なのだ。
本文の前に一度話をずらすが、実は(ラインより)下の文章はインターネットの前にパソコン通信が盛況だった時代、私があるネットに書いたものだ。書いた自分はいつも通りの感覚で力作のつもりでなかったが、妙に評判が高く、立地条件の全然違うJR中央線が問題になった時も、以下の発言をとり上げてくれた方がいた程だ。そこで今回過去ログの中から苦労して、一部加筆修正の上掲載となった次第である。
もう一つ言うと加筆修正したとは言え、各鉄道の状況は当時のままになっているのもある(今見たら、当時から今回初掲載まで約7年半たってました)従って大変身した京急空港線等最新の状況が完全に反映されていない。この辺は時間を作って現在に見合う様修正しているので、一部勘弁頂きたい。
よく京急が「カーブや短い駅間距離が多いのに、高速運転して評価が高い」と言われるが、それだけの理由主張はある程度間違っているのでは?と私は考えている。他にもカーブが多い私鉄なら京王や阪神等が高速運転をしており、主要優等の評定速度だけなら京急の特急と互角。カーブが多くても京急以外でも高速運転は可能だ。一方で高速運転線型が京急と同じかそれ以上であっても、常にダイヤの短所が露出してる路線もある。
それはすなわち、良いダイヤを作れる条件としてカーブや駅間距離は余り関係無く、むしろ路線全体の配線的余裕にあるのではと言う理由に気がついた。
確かに京急自体も様々な独自の技術(詳細はここでは略すが)で秒単位に運転時分を縮めてるが、京急の路線全体が「ダイヤが作り易いシンプルな立地条件にある」のが真実ではないかと。逆に言えば以下に挙げる悪条件をもし完備していたら、京急のダイヤもかなり欠点が目立つ(努力しても、立地条件の比較的似る京成や京王程度まで)ものになっていたのではと考える。
そしてそれらの条件を以下に書いてみたので、暇な方はご笑覧頂きたい。これらの路線条件は殆どが、生まれ持って得た宿命に近いものがあるのではと。他社他線で検討出来る材料にもなっているので、皆さんの知ってる路線にも当てはめてみたら、面白い考察が生まれる可能性があるかも知れない。ただし当然ながらここはまず京急本意に限定して書いた為、他社に完全応用出来ない所もある事を一応お断りしておく。
- 本線が1本か複数か
影響:
複数の本線の立地条件が違うと別々の車両を作らなければならず、規格統一して行くのも時間がかかる。新車製造予定もバランスをとらなければならず、改造してもう一方の本線に導入するケースも出てくる。また路線総延長も大きくなる為、路線1キロあたりの収入等の効率が低下する。
京急:ご存知の通り1社1本線の代表例。
好例:1社複数本線でも東武、京阪、阪急はそうデメリットが無いのでは。
苦例:西武、京王、近鉄、南海あたりはデメリットを受けている気が。
- 他社線や海と接近しているか
影響:
乗ってくる客の絶対量が少ない為、輸送量が郊外電車より少ないと言う欠点こそあるが、逆に言えば平日朝でも全部優等に乗せて、普通をガラアキに出来る余裕があり、普通が超満員にしなければならない郊外電車より高速運転が見込める。
京急:ご覧の通りの地形ですね。
好例:京成、南海本線、阪神等。
苦例:
東武、西武、小田急等。また京王と京阪は競合とはいえ、途中区間がJRと大きく離れている為、スピード競争以外にも、その区間の通勤客で収入を稼ぐ方針がとれる。
- 中長距離の支線があるか
影響:
長くて利用率の高い支線程、本線に直通させなければならない比重がある為、分岐駅以遠の運転本数や編成両数がバラつき、ダイヤの欠点が露出し易い。
京急:長い支線は全くなし。支線の本線直通の需要は結構あり、蒲田とか問題が無い訳でも無いがまあ何とか。
好例:東急、相鉄、京阪、阪急神宝線、阪神等。
苦例:京成、京王、小田急等。関西はやはり都市間電車の派生し易い地形なのか、これが少ない。
- その支線が分岐駅で余裕を持って折り返せるか
影響:上の続きとして支線が本線を邪魔しないか、また出来れば立体交差か。
京急:問題は前述通り蒲田だけですね。浦賀は折返が(殆ど?)無い様だが大丈夫。
苦例:京成高砂、京王調布等。引上線があればかなり違った筈。
- 起点終点や地下鉄乗入接続駅の配線に余裕があるか
影響:これも同じ理由で、下手をするとダイヤに目立つ欠点が出来易い。
京急:品川や泉岳寺も問題が無い訳では無いが、最低でも平均以上は機能している。
好例:東武北千住、メトロ小竹向原等。
苦例:阪神三宮&元町、山陽西代等。
- 本線と規格のあわない異端支線や、離れ小島的支線がないか
影響:
異端支線に充当する最古参車を本線に残しておかねばならない場合がある。また全線の冷房化率が90%代で止まってしまう可能性もある。
京急:かつて空港線と大師線がややそうだったが、車両そのものは融通が効く。
苦例:名鉄、近鉄、改善完了前の南海貴志川線等。
- 優等列車の停車駅、待避設備のある駅、折返可能駅、乗降のある駅が統一されているか
影響:主要優等がスムーズに運転出来る。
京急:これも殆ど出来ている。目安として特急停車駅。
好例:小田急等。
苦例:西武、京王線、阪急宝塚線、JRでは行楽施設や接続駅が複雑に混み入ってる京葉線等。
- 立体化がし易い立地条件か
影響:言わずもがなの踏切廃止と高速運転。立体化に関するプロセスは多数ある為説明略。
京急:路線が南北に走っている為日照権が問題になり難い。他社類例は少ない。
好例:
東武伊勢崎線も南北ですね。また京急と違う狭軌の私鉄は、貨物輸送時代のヤード跡を今でも大量に抱え、これを使って立体化出来るメリットも大きい。
苦例:
ようやく本当に立体化の見通しがついた、モロ東西に走る西武池袋線や小田急等。関西ではこういったケースは無い様だが、首都圏より地価が安い為?
- 運転に対してボトルネック等結構支障となりがちな場所が存在しないか
影響:本線同士の平面交差とか、とにかく目いっぱい!
京急:有りそうであまり無し、横浜(途中駅なのに一番乗降がある)と梅屋敷ぐらい。一部三複線区間も秀逸な発想。
苦例:
ホームが短い(京成博物館動物園&金町、東武浅草、小田急経堂等)
最多乗降駅が行止まり駅でない(京成、東武伊勢崎線、西武新宿線、名鉄等)
平面交差(京成高砂、阪急淡路&昔の西宮北口、名鉄琵琶島分岐点、近鉄西大寺)
他社線内の運転本数制限(東急田園都市&半蔵門線、名鉄豊橋、神戸高速等)
しかし京成と名鉄は制限だらけですな(^_^;)
以上、京急がダイヤ作成面で好条件にある理由を色々考えてみたが、勿論独断と偏見も入ってるかも知れないので、そこら辺はある程度勘弁を(^^;
あと言い忘れたが、車体が中型か大型と言う事も、優劣にはあまり関係なさそうだ。郊外電車は早くから大型にするのが必須だが、都市間電車タイプは終始中型だけで持つ筈だ。もし京急が横浜始発でかつ横須賀線が存在しなかったら、今頃20m4扉10連で統一されていたかも知れない。勿論ダイヤの優劣は別問題だ。
最後の最後に、上記発表直後に発生した後日談もちょっと書いておこう。
某A氏「う〜む、プロも顔負けの分析ですね。「独断と偏見」とはとても思えません。マニアあがりの自称「評論家」に爪のアカでも煎じて飲ましてあげたいです」
わたし「私としては、川島令三に飲ませたいんですけどね」
某A氏「ああ、やっぱりそう来るだろうと思いましたよ」
某B氏「ちょっと待って下さい。果たして川島さんがそうでしょうか」
(ちなみこのB氏っていわゆる「川島の表現のコピーしかいえない君」で、この時点でかなり皆からの評価がアレだった)
で結局これが原因で川島論争が持ち上がり、議論が正面衝突した某C氏から「京急についてああした高度な分析をされたのに、川島氏についてこうだとは残念です」なんてコメントももらったが、結局そこで「も」川島支持派は勝つ事が出来なかった。
あっちなみそのネットはもう閉鎖してますので、この話題探しても見つかりません。悪しからず。
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