都市間電車と郊外電車

都市間電車と郊外電車の考察

 私は都市の鉄道特に大手私鉄について語る時よく「都市間電車と郊外電車」と言う理由を持ち出します。前者が都市と都市を結ぶ私鉄、後者が都市から郊外にのびる私鉄。これは毎回当てずっぽうで言ってるのでなく、ちゃんと頭に表を作っておいて、そこから毎回読み出して言っているのです。

 別ページで前述しましたが、学生時代に他社の沿線に行く度、関東南部や関西をダシに関東北部の私鉄の悪口を言われるのが悔しく「何故料金不要クロス車のある私鉄とない私鉄があるのだろう?」「何故ワンハンドル制御のある私鉄とない私鉄があるのだろう?」等と自分で調べてみたのが始まりです。

 ホームページを作るにあたり、まず皆さんにこの理論を見てもらおうと、これを作る事にしました。

 「をひをひ、そんなんが本当に分類出来たのかよ?」と思いたくなるのもありますが、実際調べたら傾向が出たんですよ。些細なものは省こうとも思ったんですが、結局文章全体は殆どそのままで、鉄道に余り詳しくない人でもわかる様かみ砕いた表現に書き換えています。

 今回単にバッと書いただけでなく、これからこの理論を使って、通勤電車のシステムとその考察について、いろいろ紹介して行く予定です。
 でこの表に関する注意を以下に挙げますが、結構クセがあるので気をつけて下さい。 地域・会社別傾向
  都市間(連絡)電車 郊外電車
私鉄と国鉄 私鉄 国鉄
東と西 関西(南海高野線は関東的) 関東(京急は関西的)
南と北 関西北部(衛星都市として京都と神戸がある為)
関東南部(衛星都市として横浜がある為)
関西南部
関東北部
社名の末尾 ○○電鉄、○○電気鉄道 ○○鉄道
会社別 京成 京王 東急 京急
京阪 阪急 阪神 山陽
名鉄 西鉄
東武 西武 小田急 相鉄
南海 近鉄 神鉄
 
JR本州三社 西日本 東海 東日本

路線別傾向
  都市間(連絡)電車 郊外電車
東急 東横線 田園都市線
名鉄 名古屋本線 名古屋本線以外の支線
近鉄 奈良・京都・名古屋線 大阪・南大阪・橿原線
阪急 神戸線・京都線 宝塚線
新幹線 東海道・山陽新幹線 東北・上越新幹線

その他の特殊分類による傾向
  都市間(連絡)電車 郊外電車
京成 上野〜成田空港か上野&押上〜船橋&津田沼&千葉 押上〜津田沼以東
京王 昼の輸送 朝の輸送
京王線 京阪 起点と終点、両端の輸送 真ん中からの輸送
相鉄 横浜〜小田急乗換客 小田急乗換以外の全ての客
名鉄名古屋本線 新名古屋〜新岐阜 新名古屋〜豊橋
近鉄名古屋線 名古屋〜蟹江 蟹江〜伊勢方面
近鉄京都線 京都〜奈良 京都〜橿原神宮前
 どういった項目でどの分類(関西と関東とか、南部と北部とか)を使うかはまちまちです。会社や路線の分け方については、片方に入るがもう片方の要素も強いもの、殆ど両者に入るので微妙な存在と言うのも多数あり、京王、東急、名鉄、近鉄名古屋線等はハッキリ言って中間です。ここではとりあえず無理矢理どっちかに入れています。また地下鉄も両者の中間的存在です。一応投資と技術では都市間電車、輸送量では郊外電車の傾向がありますが、実はまだあまり考察を進めていません。

立地条件・経営
  都市間(連絡)電車 郊外電車
路線の原形 路面電車による複線電化から 汽車による単線蒸気から
ゲージ(線路の幅) 広軌(1435mm) 狭軌(1067mm)
鉄道法の適用 軌道法、後に地方鉄道法に改正 最初から地方鉄道法
路線改良で比較遅れた部分 路面区間の廃止、架線電圧昇圧 複線化、高架化、地下化
カーブと短い駅間距離 全線に多い 起点近くだけ、終点近くはなし
路線の基本スタイル 大きな都市とやや小さな都市を結ぶ 都市と田舎(観光地)を結ぶ
始発駅の乗降人員 30万 関西30万、関東60万
距離別による客の量 起点は多い:終点はやや少ない 起点は凄く多い:終点は凄く少ない
時間別による客の量 朝は多い:昼はやや少ない 朝は凄く多い:昼は少ない
先進的投資 多い 少ない
収入 少ない 多い
稼ぎ方 積極的投資で客に乗ってもらう 保守的投資で収入をためる
一般客の人気 きれいで速いから人気が高い 野暮ったいし朝混むので人気が低い
趣味人の人気 電車で統一されたダイヤ等、誰にも理解され易い 貨車やローカル線等、野暮ったいので実直な人気
国鉄との競合線 あり(ごく一部にはない) あっても競合性は薄い
国鉄時代 京成以外は国鉄に圧勝:攻めの姿勢 国鉄の方針をなぞり保守経営:守りの姿勢
JR化後 停車駅をこまめに増やす等苦戦:守りの姿勢 JRの方針をなぞり新方針採用等:攻めの姿勢
支線 他社線や海や山に囲まれた狭い地域を走る為
支線は短く、本線直通も少ないか無い
故に本線のダイヤは良いものが作り易い
他社線に囲まれない広い地域を走る為
支線は長いものもあり、本線直通も結構ある
故に本線のダイヤは良いものが作り難い
 ここで言うのも突然ですが、関西では最初から電車で走った都市間電車もあります(近鉄大阪・奈良線、阪急京都線等、関東にはない)これについては様々な定義が考えられますが、ここではあえて都市間電車と郊外電車の2種類に分け、この段落でのべた路線もどちらかに入れてあります。これはこの段落でのべた路線の定義が間違っていると言う事でなく、2種類と3種類どちらでもとれる、このページではわかり易い様2種類で解説している、と考えて下さい。

運転
  都市間(連絡)電車 郊外電車
路線距離 短い(20〜50キロが多い)
電車特定区間に相当
長い(75〜100キロ以上
国鉄時代の旧近郊区間に相当
料金制クロスシート車 路線長75キロ以上から導入可能 観光地があれば導入可能
料金不要クロスシート車 路線長50キロ以上から導入可能 路線長100キロ以上から導入可能
停車駅の設定方法 下の種別に行く程全区間で停車駅が増加 下の種別に行く程近くから各駅停車になる
上位優等 特急:料金不要クロス車もある 快速急行等:行楽用に多いが、この列車の本数は少ない
主要優等 特急か急行:全区間を通過運転 急行:平坦区間の中間地点から各駅停車になる
主要優等の補佐役 上位優等 下位優等
下位優等 準急:2駅に1駅ぐらい通過運転 準急:急行の通過運転区間の半分から各駅停車
便利にすべき駅 主要優等停車駅だけ、優等通過駅は無視する 全駅を均等に整備
重点 スピードや内装等、質の面 輸送力等、量の面
表定速度 60キロ以上、速ければ速い程良い 通過運転区間で55キロ出ていれば充分
昼の毎時本数 優等6〜9本:普通6本 優等6本:普通9〜12本
昼の優等と普通の比率 優等1〜2本:普通1本 優等1本:普通1.5〜2本
朝の優等と普通の比率 優等3〜4本:普通1本 優等2本:普通1本
ラッシュ時の毎時本数 22〜26本、郊外電車よりは余裕が有る 26〜29本、もう限界(特に関東)
通過列車を待つ時間 1本:3〜5分まで待てる
2本:5〜7分まで待てる
3本:7〜9分まで待てる
1本:3〜4分まで待てる
2本:5分まで待てる
3本以上待ってはいけない!
土曜ダイヤ 起点側の都心へショッピングが多い為、土曜独自のダイヤ 終点側の観光地へハイキングが多い為、日曜と同じ
初電・終電 一部区間で通過運転が走る場合がある 全区間各駅停車
列車番号のつけ方 千位と百位が発車時刻・十位と一位が運用番号 千位と百位が列車の種類・十位と一位が列車順の番号
 なお都市間電車でも途中から各駅停車になる種別があったり(京成、阪神等)郊外電車でも終点近くまで通過運転になる種別があります(小田急、近鉄等)。これはその路線がもう一方の特性も持っていると言う事で、特に都市間電車で途中から各駅停車になる種別が2つ以上設定されていたら(京阪、南海本線等)確実にソレです。なお上位優等や主要優等についての意味はここのショートカットの下の部分料金不要クロス車導入論争についてはこちらをどうぞ。

車体
  都市間(連絡)電車 郊外電車
大型(20m)車 遅い、又はない 全車大型車に交換済
車体の裾絞り 軽量技術とデザインの為
車体幅はそのままだが重い台枠の部分を狭めた
輸送力増強の為
車体幅を最大にしたがホームは削らず裾を絞った
軽合金車体 アルミ塗装 ステンレス無塗装
新性能車のドア 片開きも最近まで結構あった 両開きドアの採用が早かった
ヘッドライトの位置 上に付けた時代が長い
関東大手は京急の600形から上へ
下に付けた時代が長い
関西大手は南海の6200系から下へ
テールライト 角型 丸型(80年代からは殆ど角型)
正面貫通路 幌枠は色が無塗装金属で、引っ込んでいる
連結時に常時使用、デザインは殆ど左右対称
幌枠は色が車体と同じで、出っ張っている
連結時に使わず非常時のみ、デザインは非対称もある
正面の車両番号 殆どの会社にある ない会社も多かった
デザインの傾向 スピード感重視 堅実性重視
形式記号 デ、又は記号なし
 軽合金ですが、ご存知の通り西武6050・阪神9000・相鉄9000等の登場で適応し難くなっており、将来この分類が消滅する可能性もあります。

技術
  都市間(連絡)電車 郊外電車
行先と種別の表示 表示板を使う時代が長かった、側面表示幕の採用は早い 表示幕やLEDをすぐ採用した、側面表示幕の採用は遅い
ラインデリア 割とあった ない
モーターの位置 先頭に電動車が多い 2両編成以外は先頭に付随車が多い
電気ブレーキ未装備車 少なかった 多かった
先進技術の採用 早かった 遅かった(ただし大量輸送に関する技術は早かった)
旅客以外の車両と言えば 救援車や電動貨車 機関車や荷電

運転室
  都市間(連絡)電車 郊外電車
機器メーカー 東芝、東洋 三菱、日立
マスコン 丸まっている 角張っている
デッドマン装置 あり なし
逆転器 レバーを抜く キーを抜く
最新型のハンドル 2ハンドルなり1ハンドルなり前後進主体 横回しなり前後進なり2ハンドル主体(近年は左手ワンハンドル)
理由 町の中で加減速が多い 山の中で坂道発進も有り得る
ブレーキ 透明な横長箱 不透明な縦長箱
差し込み口 角張っている 丸まっている
警笛 電子式(ファ〜ンと鳴るタイプ)昔はホイッスルやゴングも使用
カーブと高速運転が多いので鳴らす機会が多く、新技術をよく使う為
空気式(パン!と鳴るタイプ)
カーブと高速運転が少ないので鳴らす機会が少なく、既存技術に頼る為
カバン 肩掛けの軟らかいカバン
路面時代に運賃扱いは乗務員がした名残
手持ちの硬いカバン
汽車時代に運賃扱いは駅がした名残
発車時押しボタン合図 殆ど全てやる やらない所があった
戸閉知らせ燈 運転室左の各種知らせ燈の中にあるが、発車合図には使わない メーターパネルの中央にあり、発車合図に使う
種別表示 時刻表と共に携帯 ない
両数表示 時刻表と共に携帯、又は運転台につけてある ない
運転室の背面の窓 車掌席側は開く、窓枠は丸まっている、手すりがない 車掌席側は開かない、窓枠は角張っている、手すりがある
 機器メーカーについてですが、私鉄研究家の吉川文夫さんに言わせると、三菱が長距離電車用に適した性能の技術を持っていた為らしいです。例として近鉄・名鉄・東武・小田急が三菱に入って来ます。

運用
  都市間(連絡)電車 郊外電車
連結器 路面電車規格だった為位置は低い
全て自動式か、一部が密着式か、特殊な密着式
連結器より電気栓の幅が狭い
国鉄規格を使った為位置は高い
全て密着式
連結器より電気栓の幅が広い
運用と列車種別の関係 一日中同じ種別で走る いろんな種別で走る
車両系列の使い方の差 系列により使い分けている会社もある ロングシート車はどの系列も殆ど共通
編成両数の差 大きい、普通は都心でも4両が走る 小さい、普通は都心なら8両が殆ど
奇数(3,5,7)両編成 多い 少ない
増結解放 営業線では少なく、車庫での編成がえの時だけ 営業線(客を乗せた列車)でもよくやる
短いホームでの扉締切 多い 少ない
閉塞信号機の番号 駅の間を一区間づつ通し番号として設置 距離の10倍の数値を設置
入換信号機 色燈式もある(赤信号で現示) 国鉄と同じ燈列式(2つの燈火の並びで現示)

その他
  都市間(連絡)電車 郊外電車
カードシステムの採用 遅かった 早かった
ストアードフェアカードの導入 町の駅が多く全駅自動改札化が容易な為、早い 過疎地の駅もあり全自動改札化が困難な為、遅い
あるいは区間を限定して導入した
時刻表の創刊 遅かった
平日の通勤客が行楽時は都心へ行くので需要が小さい
早かった
平日の通勤客が行楽時は郊外へ行くので需要が大きい
駅の自由通路 階段の上下が小さく、駅の外観が目障りでない地下道 作り易く、通路とデパートが直結し易い橋上通路
架線柱(代表的なデザイン) 横の柱は鉄、上部は太い鉄骨による縦長の三角枠 横の柱はコンクリート、上部は細い鉄骨による横長の三角枠

 今回ここに挙げた以外にも、関東と関西での差とか、別の基準で分類出来るもの、未だ分類基準を見つけていないもの(例えば車体の裾が直線か丸いかとか)もありますが、本日はとりあえず略します。後日余裕が出来たら発表しようと考えています。

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