はじめに場ありき
1984年『東アフリカ・ケニア』で過ごした約半年。大自然の美しさ、悠久さに圧倒された… この体験が、東京日暮里生まれの私に刷り込まれている江戸下町の感性「」「神社仏閣・障壁画」「舞台背景画・松図」「 銭湯壁画・富士山」などの絵画芸術が原風景、私の原点であることを喚起させた… その後、これらの深意が“時空間を超越して、ヒトを感動させる素晴らしさ”であることを理解した。


以来、私は『 アフリカ、アジア各地』でフィールド・ワーク(=自作和造語「巡行」)を繰り返し、 時間を超越する為に必要な普遍性、 " 東洋のかたちしこうと日本のかたちしこう " を学んでいる。これは、自分が " 日本人 " であることを再認識していくためでもある… そして、地球で活きていくには、五感と方向感覚が重要であり、これを踏まえることが " 感じてもらう " 表現には必要と考えている。

私が創りたいのは " 気持ちのいい空間(場)" である。この " 環境体験型空間 "(命名:児島やよい氏。於:2004年「艶淨」αMプロジェクト)  という表現は、" 原風景 " の再現であり継承であろう。これは“自然美 ”から受ける " やすらぎ  " を体感し表現していくことである。そして、これが「老若男女、民族、言語、宗教を超え " 気持ちの良い、心地よさ " を感じる」ことができる " 作品 " になると確信し制作している。

2007年『オランダ・アムステルダム』でゴッホに衝撃を受けた。ポスト印象派と位置づけられるゴッホは、日本美術の影響を受け… 日本と世界の文化融合 " ハイブリット " 。私は世界を巡行し「琳派や単純化(抽象化)といった日本の表現」と「西洋の印象派(モネ)」から表現を探究してきた。つまり " 日本的しこうを幹に、世界の表現との融合 " を模索してきたのだった。

私の創作活動は、文化が目覚めた室町時代から熟成した江戸時代の芸術、なかでも世界に誇る日本芸術 " 琳派 " の私淑である。この琳派「本阿弥光悦(1558-1637)」「尾形光琳(1658-1716)」「鈴木其一(1796-1858)」。さらに「広重(1797-1858)」らと「1958年生まれの私」との数字「58」の符号。私はこの奇遇に必然性を強く感じ " ハイブリットした現代の江戸表現者 " でありたいと思っている。

富田勝彦(第15代甚八、甚八工房主宰)