このところRZにTZR系の足回りフィッティングについてのご質問が多いので、
改めてこちらのコーナーにアップします。
以下3MAの足回りをフィッティングさせる例です。


↑余分な部分をすべてカットし、新たなマウントをセットします。
スチール製のパイプと板材から切り出し溶接していきます。

車高変更等、お客様のご要望に合わせて
マウント位置や形状の変更はかならずしも同一ではありません。
3MA用に製作したマウントでも写真と形状が異なる場合がありますので
その点は予めご了承下さい。

↑丸パイプは単純にカットするわけではなく、
溶接させるフレームの形状に合わせて、一つずつえぐった形状に仕上げます。
注意するのは溶接の歪(収縮)を考えて少し長めに製作し、
ハンマーで叩いて収まるくらいにする事です。

 

  

↑本溶接が終わった後です。

  

↑2007.5月製作分よりベースプレートの外周をNCフライスで仕上げる様にしましたので、
ジグに固定するためのボルト穴が残ってしまいますが、
ご了承下さい。

リンク式のサスは、レバー比がかなり重要になります。
リンク本体の垂れ角その他の設定によっては
一見適度な車高を保っていても、1Gで思いがけず沈み過ぎてしまったりします。

当店では使用する足回り(例えば3MA等)のノーマルレバー比を参考にしつつ、
RZのフレームに合わせてアレンジするやり方を取っております。

サスペンションの長さを変化させる事で車高調整をする仕様にする場合は、
市販されているサスなどの様に+、−5mmくらいまでが許容範囲だと思います。


また当店では
リンク先端の左右、またサスアッパー左右にカラーを配置して
フレーム側の上下マウントにフィッティングさせる様にしてあります。
カラー厚を変更させる事で
サス、スイングアームの左右方向への微妙な調整を行いやすくするためです。


(カラーは↑の様に配置)

当店にお持ち込まれる修理車の中には、
リンク先端やサスアッパー左右と
フレームマウントの間にカラーを配置せず、
フレームの上下マウントに
ダイレクトにフィッティングさせているの構造のものを多くみかけます。
新設したフレーム上下マウントのセンター(軸線)が
きちんと許容範囲内に溶接されている場合は、
カラーを配置しないダイレクトマウントでも問題はありませんし、
本来ノーマルのフレームではそういう構造があたりまえなのですが、
マウントの溶接位置が悪く、上下で大幅にセンターが異なっている個体では、
微調節もできずに強制的にサスやリンクがマウントされているので、
走行中にマウントへの負荷がかかりすぎてクラックが入ったり、
実際に折れてしまったりしている車両を見かけます。
個人でマウント製作にトライするかたは上下マウントの軸線には特にご注意下さい。
もちろん当店ではカラーを配置すると言っても
センターがずれたまま溶接する事はありません。


↑写真は`89-3MAのスイングアーム側面の板を切り取ったものです。
RZに3MAの足回りをフィッティングする場合は、
フロントに10mmのオフセットスプロケットを使用しても尚リヤスプロケットハブの
追い込み加工が必要になります。
ところが3MAのリヤ回りは、チェンラインを数ミリ内側に追い込みだけで
チェンの側面とスイングアームが干渉してしまい、
たるんだチェンでは大変危険な状態になります。

そこで干渉しやすい部分を切り取るわけですが、
これでも100%干渉しないというわけではありません。
スイングアームの強度が落ちるのでは?というご質問も頂きますが、
元々がオーバークオリティーなアームですので、
スイングアーム本体の強度うんぬんより安全第一という方針で薦めております。
(`90-3MAはアームの構造の違いからこの加工はできません)

尚、等HPの別のコーナーでも記載している事ですが、
RZに3MAの足回りがフィッティングされていて、
スイングアームに何も加工がされていない場合は、
チェンラインが大幅にずれている可能性があります。



↑料金は高くなりますがこうしてフタをする事も可能です。
加工記事は↓
http://ameblo.jp/ups-taku/entry-11598850911.html

↑追い込み加工を施したハブです。
スタッドボルトは立てられませんのでスプロケット外側からボルトで固定しますが、
スプリングワッシャーとロック剤をしっかり使用します。
(本来はワイヤーロックが好ましい)

チェンラインについて補足ですが、
3MAとRZのリヤホイールが車体中心にあると想定して、
専用ゲージを使用し双方の数値を出します。
ただし、RZにRZRのエンジンを搭載されている車両では、
エンジンそのものの搭載位置(オフセット量)が若干異なりますので、
それらを考慮する必要があります。
因みにRZRでは1型から4型まででチェンラインの誤差が+、−1mm程度あります。

↑RZで設定に苦労するのはやはり車高だと思います。
ノーマルより長いスイングアームを採用する場合、
ノーマルと同じような車高では間延びして見えてしまいます。
そこで足付き性を犠牲にてもリヤを高く設定して欲しいというお客様が多くなります。
写真のRZではその点を考慮してマウント製作を行いました。


以上ですがRZの足回り変更に関する当店の考えを述べておきます。
まずカスタム車に関しましては、性能重視や見た目重視、いろいろな考え方があって良いと思います。
その上でRZのフレームはRZRなどに比べて強度的に落ちるという事を事前にご理解ください。
具体的な部分としてはスイングアームを接合させるピボット部やヘッド廻りです。
特にピボット部の剛性はRZRと比べるべくも無くきゃしゃであり、
溶接云々で簡単に補強できるレベルではありません。
カスタムにはすべて一長一短がありますので
お客様自信が何を一番に優先されるのか、その辺りをお聞かせ頂ければ幸いです。

加工費用(3MA仕様の場合です)

※RZ用のサスマウントに関しては、個体差のあるフレームに合わせて単品製作するもの
  なので、キット販売は致しておりませんが、フレームをこちらに送っていただければ
   ボルトオンの状態に加工して、ご返送する事ができます
   但し、加工後に仮組をしますので多少スイングアームなどの合わせ面に
   キズが入ることがあります
 
 RZに他車種の足回りを流用する場合の基本加工工賃です
(フレーム単体、足回り持ち込みの場合です)

1.サスマウント上下製作、フレーム整形、フレームへの溶接一式  ¥95,000税別

2.フレームヘッド部ハンドルストッパー&ロック溶接成型 上下セット ¥20,000税別


3.スイングアーム幅詰め&内部ザグリ加工 \15,000
税別


4.ピポット新品ベアリング、精密級スペーサー、脱着料金\12,000税別

5.ピポットパイプ3分割仕様\8,000税別
※元々は51Lの純正品を取り寄せて幅詰めを行っていましたが
2020年3月8日時点で廃盤になってしまったため
代替品としてご用意できるものです。
左右両端が焼き入れ品で中央のパイプがジュラルミン製となります。

6.スラストカバー加工\2,000税別

7.スイングアーム側面ザグリ加工(’89TZRの場合) ¥10,000税別

※他の加工と同時に行う場合。
また別途料金にて溶接にてフタをする事も可能です。

8.トルクロッド(ステンレス製)   ¥10,000税別


9.ステムベアリング打ち変え(テーパーベアリング+特注カラー+シール) ¥14,000税別

  ※車種によってはステムシャフトの交換が必要です(別途料金)

10.リヤスプロケ台座追い込み&リブ加工 スタッドボルト引き抜き  ¥9,500税別

11.スプロケット固定用Wロックワッシャー+キャップボルトセット\2400税別


その他オフセットスプロケットやチェン等別途お見積もりいたします。

 
※業販について可能ですが、オーダー内容によって割引率が異なります。
詳しくはお問い合わせ下さい。