ボトックスは 細菌であるボツリヌス菌の産生する毒素から精製され、「眼瞼けいれん」や「片側顔面けいれん」の患部周辺に皮下注射することで、けいれんを抑制します。作用については、神経からの神経伝達物質の放出を抑え、過剰な筋肉の収縮を抑えるもので、効果は注射後2週間で最高に達し、3~4か月は持続します。
眼科での健康保険対象疾患には「眼瞼けいれん」「片側顔面けいれん」「斜視」があり、当院では「眼瞼けいれん」と「片側顔面けいれん」の治療を行っています。
他科での対象疾患は「上肢・下肢痙縮」「痙性斜頸」「過活動膀胱」「原発性腋下多汗症」「けいれん性発声障害」「小児脳性マヒ患者の下肢痙縮に伴う尖足」があります。(美容外科領域で行われている シワのばしは健康保険適応外です。)
「眼瞼けいれん」では、目周囲に片側 約0.ml×6か所の皮下注射を行います。
「片側顔面けいれん」ではそれに加え、けいれんの目立つ部位の表情筋に注射を追加します、3-4か月効果は持続するので、患者様は2~3回/年の注射をされる方が多いと思います。
注射後の注意としては、注射液が必要以上に拡がるのを防ぐため、注射部位をもみこまない、洗顔は最低限度にする、などです。
ボトックスの健康保険適応については、医師や医療施設、薬剤の流通が厳格に管理されています。また薬剤は1瓶(50単位)38199円(3割負担の方で11460円、1割負担の方で3820円、他に診察費がかかります。)と高価ですが、治療成績を評価していただいて、長期受診されている方が多くいらっしゃいます。さらに詳細を知りたい方は、製造元グラクソ スミスクラインのホームページをご覧ください。