7月25日 横溝正史シリーズのすすめ 
 こんなにレベルの高いドラマがかつては放映されていたのだ、と思わず溜息が出ました。昭和52年から翌53年にかけてTBS系で放映された「横溝正史シリーズ」です。当時小学生だった私は、リアルタイムで見たことは見たのですが、子供のことゆえ、ほとんど覚えていませんでした。でも、つい最近全15作がDVD化され、うち7作がビデオ化もされて、ようやく久々に見ることが出来たのでした。そしたら結構覚えている場面があった。やっぱりちゃんと心に残るところは残っていたのね、と感慨も一入。『真珠郎』の雲の場面が一番記憶に残ってたな。原作は由利先生ものなんだけどさ。
 なにがレベル高いかって、セットね。『犬神家の一族』や『本陣殺人事件』のセットの凝りようはみものです。全館に犬神家の紋章入り磨りガラスが入っていたり、ビデオにはまだなっていないので未見なのですが、『三つ首塔』など、650万円かけて実際に二重塔を建てて、ラストで炎上させたと言うから凄まじい。
 ストーリーもかなり原作に忠実で、一作あたり平均3、4回かけて放映したので、話を2時間に無理矢理押しこめざるを得ない映画版よりも濃密に物語がすすめられるのです。これは画期的ですね。近頃の2時間ドラマのあまりの質の低さに、ミステリ系ドラマに絶望してる人(かくいう私)も、これなら納得。
 雰囲気もとてもよくて、古谷一行演じる金田一も、2時間スペシャルよりも肌目細やかに描かれていて、見ていてホッとします。原作では岡山県警の磯川警部、警視庁の等々力警部、とふたりいる金田一のパートナーを、長門勇演じる日和警部ひとりにしぼって毎回活躍させているのも悪くありません。日和ファンが増殖しそう。
 ただ古谷金田一がやたらと食い意地が張っているのが、違和感がありますね。『真珠郎』など銀シャリ食いたさに信州まで疎開して行く始末。原作の金田一耕助はわりと少食で、ざるそば一杯を持て余すこともしばしばなのですが。
 これに関しては、おそらく戦後の世相を映像で甦らせるために、スタッフがこだわったのが、戦中戦後を生きた人たちの共通の強迫観念である「飢え」だったからなのでしょう。それにしてもよく食う金田一だこと。第2シリーズのラストのタイトルバックでは毎回、芋に喉を詰まらせていますね。ご苦労様。
 『八つ墓村』のように大胆に脚色されたものもない訳ではないですが、映画『女王蜂』のような理不尽な設定・ストーリー変更はなく、むしろ物語としての幅が広がった印象を受けました。おすすめです。近所のレンタル屋さんにあったら、ぜひ借りてみてください。一作一作がけっこう長いので、時間があるときにぜひ!
7月20日 アリバイ崩しの黄昏 
 クロフツの未訳書が出版されると言う、とてもディープな夢を見て、目が覚めました。ちかごろ夢を見なくなっていたのに、これはフシギなことじゃ、とおじじは思ったのです。ちなみに某元某理文庫(爆笑)から出版されると言う夢でした。事情通の方はお笑いなさるな(笑)
 クロフツが創始者のアリバイ崩しって、みなさんいかがですか? 最近あんまり芳しい評判を聞かないのですが。特に、今月、鮎川先生の代表作が復刊されたのに、読んで感動したという類の噂を耳にしないもので、ちょっと気になったのです。新本格以降の読者が、アリバイ崩しにあまり馴染みがなくって、書いても読んでくれない、とよく言われています。それにあの某村某太郎などのキヨスク作家(ミステリ作家以外の便乗作家も多し)が、アリバイ崩しのまがい物を大量生産したおかげで、アリバイものに拒絶反応が出る層もいるようで、まことに哀しむべきかな。唯一、鮎川ふうの孤塁を守っていた津村秀介先生も、去年亡くなったしねえ…。
 アリバイ崩しの読みどころはなんと言っても、探偵と犯人の知恵比べであります。犯人が必死で仕掛けた謎を探偵がこつこつと足で解いてゆく醍醐味が、さいきんの世の中のスピードにそぐわないのかもしれません。だいたいが犯人と探偵の孤独なふたりきり状態の展開になりやすいので、けれん味のだしようがないし。空飛ぶ死体とか、動く島とか、雪の山荘とか、地底怪獣王国とか…。
 閑
それさておき、クロフツって人気ない巨匠になっちゃったんでしょうかね。細々と根強い人気はあるらしくて、80年代に新訳が出なかった唯一の文庫本『フレンチ警視最初の事件』(某元某理文庫よん)は、Yahooオクに出るたびに、えらい値段で取引されています。私が見た中で一番高かったのは85000円でした。うーん、香港に4泊5日ぐらい行けそうですな。私はそんな値段で買わなかったぞ。まっとうな値段だった。
 でも、クロフツが某書某行会の世界探偵小説全集にも1冊も入っておらず、他の出版社の古典復刊シリーズでも全く見向きもされていないと言うのは、悲しくないですか。私は悲しいです。それで冒頭のような夢を見てしまうのかもしれません。心有る出版社様、ぜひクロフツに今一度脚光を…。って、無理か…。
  私はとりあえず自分の手許にあるクロフツ邦訳全作を、いつか通しで読み直すのが、当面の目標です。無理っぽいけど。
7月13日 13日の金曜日 
 今日は不吉で素敵な13日の金曜日です。皆様お気をつけあそばせ。私は朝から、電気釜のゴハンがすえてるのにでくわしましたよ。うっかり食べたら腹を壊すところでした。昨日5合炊いてたのにね…。
 13日の金曜日と言えば、伊奈かっぺいですね。若い人は知らんかもしれないですが、津軽弁でコミカルなトークをするシンガーソングライターです。本業は青森のラジオ局にお勤めとかで、かならず13日の金曜日にライブを行うのです。なんともいえない味わいがありましてね、TVとかにももっと出て欲しいですね。
 それに、13日のフライデーと言や、ジェイソン君。あんまりにもシリーズが多すぎて、いったい何作作られたかわかりません。
 彼らは13日の金曜日が来ないと活躍できないのです。ところが今年は4月と7月の2回のみ。ああ、ジェイソンの鎌が鈍る!! 伊奈かっぺいが歌えない!! ああ!! 悲しきかな13日の金曜日!
 ちなみに来年2002年は、9月と12月の2回であります。まあ毎年そんなもんなのでしょうね。でないとジェイソンが出ずっぱりで疲れちゃいますよ。
7月12日 なぜか伊藤潤二が… 
 最近、伊藤潤二原作の映画が、立て続けに公開されていますね。めぼしいところでも、『富江』『うずまき』『富江replay』『長い夢』『顔泥棒』『押切』『案山子』。遅れ馳せながらのブームでも来たのでしょうか?
 伊藤潤二を知らない人もいるかもしれないので、簡単に言っておきますと、昭和62年デビューの恐怖漫画家。デビュー作が「富江」シリーズの第1作です。ほとんどのめぼしい作品は朝日ソノラマから出ている「伊藤潤二恐怖コレクション」全16巻、に収録されています。長編は『うずまき』『死びとの恋わずらい』くらいで、あとは全部短編漫画です。それだけにオチが強烈で、一読後、印象に焼き付けられる作風ですね。
 それにしても映像化作品のどれも面白いこと。原作がいいものばかりなので、レンタルで軽く見るには最高なものばかり。夜な夜な観てしまったという訳です。
 日本のホラーもまあ、観れるじゃん、と思いました。伊藤潤二を仲立ちに、新しい才能がどんどん開花してゆくのはいいことです。中でもオススメは『うずまき』。ヒロインの恋人のお父さん役の大杉漣が怪演賞。なると入りの味噌汁が食いてええ!!! 田舎町のノスタルジックな雰囲気もいいですよ。
7月5日 牛丼進化論 
 新宿にて某日、牛丼専門店「Sき屋」に入ったのですが、そこには世紀末的様相を呈したハイパー牛丼の群れが…。
 もはや「M屋」のとろろなど、珍しくもなんともないとでも言ふやうに、
をのっけたドンが…。
 山菜牛丼、キムチ牛丼(これはよくあるか)、ハーブチーズ牛丼っっっ!!!
 なおかつ私の肝を寒からしめたのは、オプションでメニューに載ってる
まよねーず
でした。おお、ここにもマヨラーの轟々たる並(牛丼だからねっ)が…!!!
 私はハーブチーズ牛丼を恐る恐る食してみました。かすかにバジルが香り、うーん、そんなにイヤな味ではなかったですが、牛丼食っててチーズがねちょーーっ、と糸を引くのは、どうかと…。とても複雑な心境です。ひとり暮し故、牛丼はよく食べるのですが…ここまで進化すると、ねえ…。
 隣に座ったにいちゃんが、すかさず「
まよね」をご所望していましたっけ。日本の味覚は壊れとる。なっちょらん! でもちょっと試してみたい気もします。