なんか似てませんか? 9月29日 
 最近、なんだか数年ぶりにキング・クリムゾンに聞き入っている。それもそのはず、彼らのアルバムが今年の前半に、紙ジャケ&リマスターで再発、というありがたメイワクなことになっているからだ。
 キング・クリムゾンは並み居る英国プログレ・バンドの中で、未だに活動を続けているという奇特なオッサンたちである。きっと鳴り響くメロトロンのメロメロとした音に眼をうるうるさせている私なんぞも、オッサンの領域なのだろうね。でも80年代以降の黒っぽい音楽は私キライなの。70年代の音楽が多分、子守歌のように脳味噌の皺に摺り込まれていて、涙腺緩んじゃうんだろうな。
 さて、今夜もついついデッキにほりこんでしまうのは、彼らの伝説的ファースト・アルバム『クリムゾン・キングの宮殿』である。紙ジャケのCDなんて、なんだか畸形っぽいが(紙ジャケったらやっぱLPでしょ。中学生の昔買ったツェッペリンが懐かしいね。廃墟となった実家で今ごろカビに包まれてるだろうなあ…)、つらつら眺めていて気づいたことがある。
 このジャケカバー、なんだか
ボマルツォの怪物???
に似てませんか?…と思ってしまうのは、私がマンディアルグ好きのせいかねえ。確かにマンディアルグの紹介したボマルツォの本(澁澤龍彦訳 A・P・De・マンディアルグ『ボマルツォの怪物』河出文庫)にこういう顔の門の写真があったはず、と思って、ネットでボマルツォの怪物庭園の画像を探してみると…
とあるイタリア旅行の紹介ページから戴きました ごぞんじクリムゾン・キングの宮殿
 ね、そっくりでしょ。こんな門、くぐるのイヤじゃないですか? のどチ○コにぶつかりそで(笑)。ちなみに、夢に出てきてうなされそうなクリムゾンのカバーを描いたアーティスト、バリー・ゴッドバーはこのアルバムの発表直後に24歳の若さで亡くなったそうな。さもありなん、呪われてるってか? まあ、何はともあれ、プログレッシヴ・ロックを聴いたことないって方は、まずこのアルバムから聴いてみて、魂が震えるから。大名曲「エピタフ(墓碑銘)」「ムーンチャイルド」だけでも、聴くべし聴くべし聴くべし!!! てかカラオケにあったら、歌えますから私(一曲一曲が長いので、ほとんどイヤガラセの域ですね)。グレッグ・レイク様のような官能的な声は出ないですが。
判官贔屓もっとすべし 9月3日 
 こないだのテレ朝・報道ステーションで、司会の古館伊知郎が、五輪男子マラソンのブラジルのデ・リマ選手の奇禍に触れて、「馴染みのない選手だけど、(気の毒なので)すごく無条件に応援したくなっちゃいますね」のようなことを言っていた。ふつうの司会者から久米宏の後釜に抜擢されて以来、滑った発言が多くて正直うんざりしていたのだが、元々レトリカルなスポーツ中継で売っていた人であるので、こういう時、つい判官贔屓するんだな〜、と思って見直した。
 敗者に惜しみない拍手を贈るのが「判官贔屓」というものである。まさかこの言葉の由来を知らん人はいるまいと思うが、いたらイヤなので言いますが、判官は九郎判官源義経のこと。要は、頼朝に憎まれて衣川の戦で負けて死んだ義経を、彼が敗者ゆえに語り継ぎ、英雄として愛した日本人の心象のことなのだ。負けたもの、滅んだもの、弱きもの、そういった負の烙印を背負ったヒーローを愛することを判官贔屓という。忠臣蔵や曾我兄弟、彰義隊に白虎隊、西郷さんもみんなそう。負けたものへの同情と愛惜、それがわかるのが日本人の心意気だったはず。
 オリンピックが終わってなかなか誉れ高い結果になったが、勝った人だけスポットを浴びるようでは、文化の成熟度が低いよ。金メダルに紫綬褒章やるのもいいが、それだけじゃないでしょ。「勝つだけが価値あることではない」、と子どもたちに教えてやってくれ。世の中、勝ち組だの負け組だの馬鹿な分類をしたがる輩も多いしね。富国強兵の夢を見たがる政治家たちにも言ってやれ。
乱歩の蔵拝見 8月28日 

乱歩邸

乱歩とご子息表札

乱歩の書斎外見

乱歩の書斎内部

蔵の表
蔵の裏

蔵入口より二階を写す

蔵の本棚
 乱歩邸の公開と乱歩展に行ってきました。かの有名な乱歩の蔵なのですから、中が拝めるだけでも大変なものです。同行者は乱歩で卒論をお書きになった妙齢のH嬢、私のミステリ友です。
 池袋のメインストリートから一本路地を入っただけの繁華な場所に、乱歩邸は忽然としてありました。隣は立教大学の校舎。屋敷は既に遺族の方によって大学に寄付されて、大学の管理下に置かれています。立教の開学130周年記念の一環として公開されたものです。
 公開の最終日に行ったのですが、まあ客はほどほどで、公開された書斎や蔵を眺めることが出来ました。乱歩邸は窓に鉄格子の入った二階建てで、蔵は奥にひっそりと建っていました。周辺はマンションが建ち、乱歩邸が見下ろされているように感じられました。これも時代の流れでしょうね。
 乱歩がかつて執筆をした書斎兼応接間が、窓を外され中が見えるようにされていましたが、そのままでいいものを真ん中にスクリーンを据えて、乱歩や正史の写った古いフィルムを見せていました。
 いよいよ蔵ですが、蔵は入口がガラスで仕切られていて、中の温度や湿度を保つようになっており、上野動物園でパンダをガラス越しに見るような味気なさも感じつつ、蔵の暗がりに、大男の乱歩が佇んで、「夜の夢こそまこと…」と呟くような幻影を見た気になりました。乱歩の魂は今でもこの蔵の中に潜んでいるのではないか、そんな気にさせられますね。決して熱中症で見た幻ではないと…。
 実は今回の公開にあわせて、蔵は瓦も漆喰も全部総取替えのお色直しをしたらしく、正直、もっと古色蒼然としたものを期待していった者には、埼玉くんだりによく見られる新品の蔵にしか見えなかったのでした。それが少し残念です。過剰なエロティシズム&グロテスクで反社会の夢を紡いだ乱歩の蔵にして、税金と大学のお金で直したというのも、なんだかなあ、という感想です。
 それでも、乱歩作品が原風景である私どものようなミステリファンには、一種の聖地である乱歩の蔵、それを見学できたのは幸せなことでした。
スポーツ観戦するアブない人々 8月8日 
 昔、広島球場やナゴヤ球場で、うっかり虚人軍が勝とうもんなら、選手の乗ったバスは取り囲まれ、卵は投げつけられ、びびりんちょな野次が飛ばされまくったもんである。つおーい虚人も、相手のチームをうっかりボコにもできなかった訳である。最近はみんなおとなしくなったもんだねえ。
 スポーツっていつでも代理戦争になり得るし、スポーツを見て憂さを晴らすと言う行為はまさに、ケンカや暴力の代償行為である。何もサッカーだけ特別悪いのではないだろう。何も中国は重慶のファンだけがみっともないわけではないだろう。サッカーのアジア杯で日本チームにブーイングをした輩は、確かに見ていて苦々しく感じるが、それは一部の過激な民族団体が煽動してやっていることである。それを外交問題にまで発展させる日本のマスコミはいかがなものか。どこの国だって、ああいう愛国主義を装ったフーリガンはいるよ。
 今回も4年に一度の代理戦争の時季がやって来た。鬱である。みんなどーして、この時とばかりにヒノマルを振りかざせるのだろう。顔にペインティングできるんだろう。「ニッポン」を連呼できるのだろう。普段そんなに憂国してますか?
 もちろん、ああいう無邪気な行為をすぐさま右翼行動と取ってしまう私のような感覚は、大袈裟過ぎていけないのかもしれないが、自分達だけが無邪気と思っている行為が、人によって厭な記憶を呼び覚ますことも、よーく、知っておくべきである。
 戦う選手達は見ていて清々しいが、それにくっついていく「サポーター」は余計である。日本が勝っても負けてもいいじゃないの。私はああいう「勝って来いよと勇ましく」的な群集心理には馴染めない。本来面白いはずの、スポーツを観戦する目を曇らせていると思う。世界中のすべての人が和気藹々と暮らせると思っているほど甘くはないが、必要以上に昂奮することもなかろう。しばらくは、憂鬱だ。
いたい風 7月31日 
 ここ数日、歩けなかったのです。風が吹いても痛いから、というオソロシイ由来の名前のあの病気になったから。鮎川先生の短篇に「いたい風」とある、アレです。正式名称は高尿酸血症。血液中の尿酸が結晶化して関節部分に付着し、炎症を起すイヤなやつです。
 夏場はビールだよねと言いつつグビグビ飲んだのがイケなかったのか、日頃の美食がイケなかったのか、土用の丑で景気付けにウナギを週に三回も食ったのがイケなかったのか(全部イケません!!!)、とにかく左足の親指の付け根が
真っ赤に腫れ上がって、そりゃもう痛いの何のって、ちょっと椅子の角にぶつけただけで、「ひいいいいいいっっっ!!!」と思わず叫ぶ始末。もはやトイレに立つのがやっとで、日常生活大破綻。一時期は入院も考えましたが、入院してもたいして治療法があるもんでもないので、薬で治すことにしました。
 父もこの風に吹かれて時々泣いていますので、これはほぼ百パーの確率で遺伝する病気、逃れようがありません。今回は5年ぶりの発作で、もう治ったかも、と甘いことを考えていたら見事になっちゃいました。尿酸降下剤も飲んでなかったし、自分が悪いんですけどねえ…。同じような生活をしていても体質的になる人とならない人がいるので、やはり恨みがましくなっちゃいますよ。
 アルコールは無論のこと、肉類、干物、キノコ、カニミソやイクラ、などなどなど、尿酸の元になるプリン体を多く含む食べ物を控え、数時間おきに湿布薬を張り替えて、なんとか歩けるようになりました。
 咽喉もと過ぎればなんとやら、痛みが消えればすぐいつもの生活に戻ってしまうのでしょうが、己のだらしなさに泣かされた一週間でした。ああ、早くうまいもん食いてええええ(懲りてないねえ)。
球界崩壊 7月9日 
 昨日のヤフートピックスにもなった読売のオーナー・ナベツネの言いたい放題、なんとかしてくれとこっちが言いたい。アホか、こいつは。話し合いを申し出た選手会の古田に対して、「無礼なことを言うな。分をわきまえないといかんよ。選手がオーナーと対等に話をする野球協約上の根拠は一つもない」ですとさ。こうばしい、実にこうばしい、加齢臭がプンプン臭ってる。こいつには選手とフロントの協力なしでは球団を盛り上げていくことができないという、アッタリマエのこともわからんのかね。これで大新聞のオーナーですってよ。時代錯誤も甚だしい。思えばこのオッサンが、これも時代錯誤のオリンピック日本代表監督とつるんで他球団の花形選手を集めたドリームチームを虚人軍でやっちゃったのが、パリーグ崩壊の序章だったわけ。最初は選手が望んだフリーエージェント制だったにせよ、美味しい思いをしたのが虚人だけでは、お話になりまへんわなあ。
 近鉄の社長の週刊文春での放言も、火に油を注いでいる。中村ノリや清原と言ったスターに対して、
「あんな男に何億も払っているということこそ、糾弾せな」ですってよ。本気で言ってんのやったら、サブイボ立ちません? おまえら誰のおかげで今までやってこれたねん。選手あっての球団やろうが。オーナーどもが揃いも揃ってこんなアホばっかりなら、愛してやまないバファローズも命永らえる必要ないわ、と見棄てたくもなりますね。こうしてファンに三くだり半を突き付けられて、球界は滅んでゆくのでしょう。
 選手のみんな、もうガマンせんでええよ。こんな日本のクソ球界なんぞ放り投げて、メジャーでもええ、台湾や韓国でもええ、社会人でもええ、ほんまに好きなことを雑音なしにやれるところに行きなはれ。
滅ばば滅べ、見るべきものは見つ(近鉄の日本一は見てへんけどな〜)、盛者必衰の理じゃ……。老害垂れ流しのオーナーどもには、せいぜいオシメでも当てといてもらいまひょか。口封じのマスクでもええで。て言うか、これ以上ファンのキモチを逆撫ですんな、ドアホ!
 これが偽らざるキモチですな。
黄色いコーラと紫のコーンジュース 7月6日 

これがウワサの黄色いインカコーラ。
飲み口がフツウのコーラよりも爽やか。

とんもろこしジュース。
言われなきゃわからん。

ハートに火をつけ…串刺しにして!
そんなのムールよん(寒…)

肉の隣にどでかいオムレツ、とお思い
でしょうがこれがタクタクです。

ペルーのブイヤベース。もうこの頃に
はおなかが一杯…
 この間私とTさんは、川崎のペルー料理のお店「インティライミ」を訪ねてきました。それは私が、「インカコーラ」を飲みたい、とのたもうたせいです。
 京都に「森繁」なる「インカ料理」の店があって、関西にいた頃、うちの家族はそこの常連でした。そこの名物が、黄色い「インカコーラ」。コカコーラなんぞ薬臭くて飲めんわ、という父も大好き、の逸品でした。カラメル臭い従来のものと違う、あとくちサワヤカなコーラです。
 黄色いコーラは缶入りで出てきました。「森繁」は瓶入りのコーラの素をソーダで割って出てくるので、その辺違うと言えば違うのですが、充分サワヤカでした。コカもペプシもこの「インカコーラ」をアメリカ人が真似して作ったニセモノだということを皆さんもっと知るべきですな。原液はコーラの樹に成るコーラの実から絞って取ります。
 でもうひとつ飲み物。「チチャモラーダ」は紫のコーンのジュースです。トンモロコスでズースを作ろうなんてハア、おらだぢには考えられねえだ。かすかにイモっぽさ(多分デンプン質の味)の香る、乳酸系の意外とさっぱりとした味でした。肥満予防に効くそうで、その日奥にいたお客さんで140キロはありそなオデブさんにはぜひお勧め。
 ではお待ちかね、食べ物編。まず前菜で「アンティクーチョ」と「チョリートス」。二つ並んだ画像の左が「アンティクーチョ」。これは牛ハツをスパイスに漬け込んで串焼きにしたもの。シコシコした歯ざわりとついてきた二種類の辛いソース(確かクミンをビールで漬けたソース)がベストマッチング。右が「チョリートス」でムール貝のマリネ。タマネギやトマトを刻んだ上のソースがめちゃうま。これはぜひとも味を盗んで家で作りたい。
 メインに行きますと、「メディオ・ポージョ・ア・ラ・ブラザ」は鶏の丸焼きの半分。しっとりとした鶏がうまいが、添え物のポテトの量が…。ポテトにノックアウトされてしまいました。アメリカ人ならウホウホ食える量でしょうけど。

 そして「セコのタクタク添え」。なんか名前が可愛いぞ! コリアンダー風味のビーフシチューに豆と米の煮物「タクタク」がついてます。これまた添え物の量が半端じゃないよ。スパニッシュオムレツが付いて来たのかと錯覚しますた。きっとフライパンで焼き目を入れてるんでしょうね。ベイクドビーンズみたくうまいです。けどやはり量が…量が…アメリカン。最後のブイヤベース「パリウエラ」の頃にはハラ一杯でクタクタ…。
 お店の中を見渡すと、日系人らしき人たちでいっぱい。ふるさとの味を偲んで食べに来るのでしょう。でも恰幅のいい人が多かったぞ。こんだけ炭水化物食ってりゃそらデブにもなるわな。皆さん、紫コーンジュースでスリムスリム! 私もついでにダイエット!!!
 南米アンデス山脈のあたりは、色んな野菜の原産地だと聞きます。トウモロコシ、トマト、カボチャ、ピーマン、ジャガイモ、サツマイモ…。インカの実験農場で様々な条件地での栽培に適した作物が作られたとも言われています。世界の台所、ペルーの料理は、ほのかに南欧スペインの香りがして、てんこもりが夢に出そうなくらい怖かったです(笑)。今回はTさんも全部堪能していただき、従って格言(「仏壇ジュース」や「濡れた犬の匂い」)はありませんですた。