ふたたびの… 4月2日 
 (承前)さて、ドリアンでイカレた頭をしゃっきりさせるため、もとい、本日のメーンエベントの花見のために、我々は新宿御苑に行きました。人人人人人の波で、全員が桜の花を見に来ているのかと思うと、ちょっとへそ曲がりな気分にもなろうかと言うものですが、まだ花は五分咲きくらいでした。
 御苑の入園ゲートでTさんが、携帯電話がない、とうろたえ始めました。これだけの人波を見たもので、すわ、スリにでも盗られたか、とこっちも焦りましたが、ふと、先ほどの「マハティール」でTさんが料理をケータイカメラで撮ってたのに思い至りました。お店に電話すると、携帯の忘れ物が…。
 ひとまず安心して、花見に行きました。御苑の茶室で薄茶と和菓子を戴いたり、芝生に寝転んだりと、都会のオアシスを堪能した後、新宿でウィンドウ・ショッピング。花園神社の宵桜も見ました。こちらは野点の席が終わった後でした。神社でデジカメ撮ったらなんか写りそう、とTが懸念するのに、私はそれが目的と居直り、デジカメをパシャパシャ。ま、なーんも写ってなかったですが。花園神社、あまりにも街中すぎてオバケも寄り付かんらしい。そこから更に歌舞伎町を横断し、小滝橋通りから大久保方面へ。結局、夜も「マハティール」にしよっか。ということになったのでした。
 昼間、気になっていたメニューを消化しようか、ということで、Tさんご期待の豚足の料理と、前述の『すちゃらか紀行』に出て来る福建麺と、福建卵蒸しと、サテー(焼き鳥串)を注文。豚足はゼラチンがとろとろで、味付けは、昼間の「肉骨茶」に近いあっさりめの中華味でした。福建麺はヤキソバで、冷麦のようなやわらかめの白い麺を海老や卵や野菜と塩味で炒めて、レモン汁を絞って、オイスターソースと辛い調味料のサンバルをお好みで混ぜて食します。あっさりとしてレモンが微かにトロピカルな感じでウマい。卵蒸しも中華の醤油味だけではない、謎の風味がして、こくがあってよかったです。ちょっとなのがサテー。なんか焼き鳥の上にピーナツバターのようなソースがかかってて甘いけど塩味が薄い。これは日本の焼き鳥のタレが欲しくなりました。
 皆さんお気づきでしょうか。昼間のメニューはしっかりとデジカメに収めていたのに対し、花見で人に揉まれた上に新宿大横断を敢行した後で腹が激空きだったので、ほとんど食っちまってからカメラのことを思い出したのでした。画像見たい人は「マハティール」のHPでも見てくださいね。
 さて、我々をすんばらしいマレーシア料理に導いた『マレー半島すちゃらか紀行』の書影でも掲げて、食の紀行の終わりといたしましょうか。新本格ミステリ作家の若竹&オカルト・ファンタジー作家の加門のダブル七海に、お友達の高野宣李さんを加えた三人の妙齢のお姉様方のマレーシア旅行道中記です。彼女たちはトラブルとまではいかないけど困った状況を虎ならぬ猫と見立てて「ネコブル」と言い、そのネコブルに山ほど見舞われながらも、浅草寺のおみくじに因む「貴人」の助けを借りて、無事、16日間の旅程を切り抜けます。旅の行く先々でウマイもん食い散らかし、マラッカでオカルト体験したり、三十路女三人の実にかしましい楽しい本です。残念ながら単行本も新潮文庫版も絶版ですが、人気作家のコラボレートな本ですので、ブックオフなどで探せば簡単に見つかると思います。
都市ガス風味アイスクリーム 3月29日 
これがウワサの肉骨茶
 我々のエスニック行脚は留まるところを知らず、今度は都内にまで足を伸ばしてマレーシア料理に!
 ちょうど季節も花がそろそろ見頃で、花見の前に腹ごしらえでも、と大久保駅近くの「マハティール」に行きました。かねてから食べてみたかったマレーシア料理が幾つかありまして、まず頼んだのが「肉骨茶(バクテ)」。ニクとホネのチャーとは何ともオソロシゲな名前ですが、その実は、豚の骨付き肉をキノコやあぶらげと一緒に薬膳風に煮込んだスープ。滋養たっぷりのスープをゴハンにぶっかけて食すというものです。若竹七海&加門七海&高野宣李の『マレー半島すちゃらか紀行』(新潮文庫)で、三人のお姉さま方がわしわしとかっ込んでいたのがあまりにもウマそうだったので、一度でいいから食ってみてえ、と思っていた食いモンです。汁はあっさりとして、少しスパイスの香りがして、
滋味でした。
うをあたま加哩〜
 続いて、マレーシアの国民料理と言われる「フィッシュヘッド・カレー」。おお! ここでもやはりカレーの誘惑が! 画像ではちょっとうをあたまがわかり辛いですが、半分に断ち割ったのがごろんと入ってます。うをメダマや眼肉のとろとろをメシにかけてこれもうまかった。鱗っぽかったのが私は少し抵抗がありましたけど……山家育ちの私には、魚の鱗が少し苦手かもしれません。最近様々なCURRYを食っているのですが、マレーシアのCURRYは辛さもスパイスもおとなしげ。タイCURRYのような凶暴なプリッキヌー(唐辛子)やレモングラスやパクチーは入っていません。エスニックが苦手、という人もこれなら食べられるのでは?
 お昼はこれでおしまい。しかしそれではすみません。デザートに私は飛び道具を出してしまうまよ。それは……悪夢の「ドリアン・アイスクリム」。「果物の女王」とも「最悪のゲテフルーツ」とも呼ばれ賛否両論なドリアンをアイスクリームに入れちまったとは、だ、だ、大胆な……。見た目はフツーのバニラアイス。中にクリーム色の果肉がちょっぴり混じっていて、んまあ、おいしそう。匂いも特になく、新宿高野でいつもトロピカルフルーツの棚の前で私の頬をぶつドリアン臭(う○こくさ)、あれはなんだったの、おーまいが、と一口口に含むと…。
相当食ってから、まだデジカメで撮っていないのに
気付きました。きっと臭いで失神状態だったのね

 ん? 
玉ねぎ? これはまさしく懐かしい、泉州の玉ねぎ畑の畦に転がる腐れタマネギのかほり。一口毎に襲いくる都市ガスの臭い! うっ…これがドリアンの天然のかほりなのねっ! 味は控え目な甘さでしたが、刻一刻とつのる都市ガス臭。これはもしやドリアンでガス自殺が可能かもしれない。しかも店のおぢさんの「マレーシアのドリアンはニオイがキツイよ」の捨て台詞付き。たまりませんわ、ほんと。
 それまで食べた全てのものの味をぶっとばすドリアン・アイス。しかも食後、ゲップするたびにこみ上げてくる都市ガス風味。これはもしかするとマレーシア料理の中で一番凶暴なヤツだったのかもしれない、と私とTさんは納得して、店を出たのでした。ところが運命の
赤い糸が私たちを再び、「マハティール」へと導くのである!……ちゅぢゅく……(なんで?)
今度は魅惑のギリシャ料理 3月10日 
 川越の「タベルナ・ヨルゴス」というギリシャ料理のお店に行ってみました。もちろんエスニック友のTさんと一緒です。できれば食いモンだけで世界一周がしたいと思う今日この頃です。モロッコ料理とかインカ料理とかフィンランド料理とか、そういう馴染みの薄い国の料理を食いたいぞっ!!! 世界の胃袋・日本国内ならきっとどこかにあるよね。垂れ込み情報お待ちしております。
 飯屋なのにタベルナか〜〜、という古典的突っ込みはさておき(あのね、あっちの言葉でレストランのことなのよ)、「タベルナ・ヨルゴス」です。我々の他に客はおらず、ちょっと最初は心配になったのですが、ギリシャのお酒ウゾをソーダで割ったマリンブルーのカクテルを飲めば、あらここはエーゲ海、てな訳で池田満寿夫か飯田圭織かイルカに乗った少年のような気分です。怪しい民族音楽のテープがタリラリと流れる中(これもお約束)、料理が…。
 まず葡萄の葉でライスを包んだ春巻料理が出てきました。酸味があってウマイ。前々から一度食べてみたいと思っていたので、感無量です。それから、茄子と挽肉の重ね焼き「ムサカ」。これはやや柔らか過ぎるで、もうちょっと歯応えが欲しい感じ。そしてメイン、「ギロ」。これは肉の串刺し炙り焼き。ピタパンなどに挟んで食べるようですが、今回はライスと一緒に戴きました。塩味が素朴な味わいです。
 で、客は他になし、お店のご主人が「ブツォーキ」というマンドリンの親玉みたいな楽器を、OMOで聞かせてくれました。最後に食べたギリシャ風?ゼリーも、なんか葛餅みたいでウマウマでした。
 何を隠そう、私はギリシャの映画監督テオ・アンゲロプロス(『旅芸人の記録』『シテール島への船出』など)のファンなので、古典時代のでない現代のギリシャの文化に触れられて、とても嬉しかったです。奇しくも今月からアンゲロプロスの映像全集全4集がイマジカより発売されるので、それでも観ながら味を思い出してみるのもスノッブな楽しみですね。また行きたいな。それにしても異国の料理を食すことってなんて楽しいんでしょうか。エスニックものが苦手な人って可哀想。
タイの沙羅双樹&南無経ジュース 2月23日 
 昨年の暮れ、タイの仏壇ジュースをご紹介しましたが、同じ店で別のアヤしい飲み物があるんですのよ、奥様。んまあ、ぜひお飲みになっていらしって。という訳で、タイの奇妙ジュース・シリーズ第2弾ネ。たぶんあちらのお国で人気の飲み物であろう、サラ・ソーダとナームキョウ・ソーダをご紹介〜〜〜〜。
 『平家物語』の冒頭で「沙羅双樹の花の色、盛者必衰の理を現す」なんて件がありますが、サラという木の実がホントにあるんですね。「針の短い怒ったハリネズミ」((C)HP「アロイ!!タイ料理」)のような形の実で、なかなか人気あるそうな。でもこのジュースは
超ど赤。まるでかき氷のイチゴ・シロップ。しかも相当甘い…。それをソーダで割ってだしているのですね。んがぐぐ。体に限りなくよくなさそうですが、タイ料理に行ったら一度は飲んでみて欲しいです。あと『平家物語』勉強してる人もね。
 『平家』ときてお次は南無経。これはただの語呂合わせ。「ナームキョウ」ソーダです。これについてはついに調べがつきませんでしたが(今度店の人に聞いてみます)、色はお約束、
超ど緑。さながらかき氷のメロン・シロップ。蛍光色も美しい、まるでネオンのようなソーダでした(味は聞かないで…)。
 最初は仏壇ジュース、お次が沙羅双樹ジュース、止めが南無経ジュース。どうやら三つとも同じメーカーの商品らしいです。さすが仏教の信心篤いお国柄ですね。感心しました。ってこんなんで感心しないで。料理は…?いつもと変わらず、むせっけえる辛さが抜群でした。最近、辛いものを食うと、涙ではなくハナミズが流れるのはナゼなのかしら…。明日は下のお口が辛いよう、って言ってるかもしれませんわね、ほほほ…(シモネッタ・ド・ゲヒンビッチ嬢、久々いらっしゃ〜い)。
牛丼黙示録 2月14日 
 かつて「牛丼進化論」(2001年7月項参照)を論じましたが、それから二年半、あれまあ、大変な事態になりましたことよ。牛丼がハルマゲ丼になっちゃった!
 某国ビーフのBSE問題で輸入が禁止され、お安いヤンキー・ビーフで日々大量生産されていた牛丼業界が曲がり角に立たされている訳ですな。いやはや、安さと安全性を天秤にかけて、安全性を取ってこの処置になったのでしょうが、まあ、今までよくもまあ、お安いバッタもんビーフを食っていたのだなと、我ながら驚きました。全頭検査を拒否する全米食肉協会のオッサンたちは死刑に値しますね。ガタガタ言うてたらエノラゲイ落とすぞゴルア!よその国に危ないもん売りつけようなんて百年早いわ!じじい放談だし、これくらい言ってもよろしくってよ。
 近所の吉○家でも行列が出来たそうですが、そこまでして食いたいかね。牛丼って所詮、腹が減ったときの駆け込み場所だったでしょ。独身者やサラリーマンの憩いの場所という話もありますが、まあ、ぱっぱっと食ってさっと出るのが流儀みたいなもんで…。由緒正しきニホンのファーストフードですね。
 私も牛丼進化論からその後、家族と同居になったもので、牛丼を食する機会がぐっと減り、なくなっても悲しくないのですが、独り者の皆さんには死活問題でしょうねえ。それはお気の毒様。安い謎の肉をそれでも食べたいと言う方にこっそりオススメしておきますよ。
200円で牛丼が食える店がまだあるのです!!!

 そりはどこかと言うと、新宿の甲州街道、南口陸橋の側道東側、「た○や」という店。ここは未だに200円で値段据え置き。ここの牛丼はかつて、その歴史がすき焼きをメシにぶっかけたところから始まった形態を残した、たまねぎ&豆腐が一緒に載った牛丼です。私のこっそりお気に入り。店の従業員はなぜか日本人ではなかったり(一応牛皿定食ぐらいは通じます)、お客さんにお家のない方がいたり(withかぐわしきにほひ)と、場末感覚スリル満点のお店です。他の街では見ない店なので、多分、インディーズチェーン店なのでしょう。てかここだけだったりして。
 ここで一句、
牛どんのゆき惑ひしは吉野かな…。一応解説すると、歌舞伎の「義経千本桜」ネタです。お後がよろしい様で…。
お蔭様で20000HIT 2月4日 
 フト気付けば、おやまあ、このような泡沫サイトがいつの間にやら20000HIT。これもひとえに、ご覧くださっている皆様と、リンクして戴いている皆様と、ちまちまと更新しつつキリ番踏み続けた私自身のたゆまぬ努力によるものでございます。ですのでお礼はナシね。ぷひぷひ。
 以前はちょっとは山っ気があったので、キリ番の方になんぞプレゼントをとキカクしたこともございましたが、だーれも名乗り出てくださらなかったので、ああ、この泡沫サイトはキリ番踏むのも恥ずかしいんかい、と外道の逆恨みでふて腐れてしまいましっそよ。ですので何にもありません。どへ。
 泡沫の泡沫たる所以は、まあ、ナカミがない、の一言に尽きますが、消え行く作家たちの文学としての命を、ちょっとでも永らえさせることが出来ましたら、これ幸い。
 …とまあ、憎まれ口はこれくらいにして、いつもご愛顧戴き感謝です。私の愛する作家たちの本を、本屋さんで見かけた時に、少しはこの頁のことを頭の片隅に置いてご覧戴けたらウレシイです。おおかた、古本屋だとは思いますが…。
 ますます世の中、本を読まぬ人が増えて行くご時世ですが、心有る方にご高覧戴き、ほんと有難いです。これからも亀の歩みで頑張っていきます。何事も中途半端な私ですが、放置プレイはしませんので、宜しくお願い致します。次は30000HITでお会いしましょう。管理人Warihikoでした。
季節外れの怪談を一席 1月30日 
 ここ二年ほど、実話怪談にはまっている。以前は幻想文学志向が強く、その種の実話本をバカにしていたものだが、近頃は本屋で、そう言った本を出している、なんちゃって系文庫の棚の前に足が向いてしまう。大手の出版社の文庫じゃない胡散臭いアレですよ、アレ。
 こうなったきっかけが、かの名作怪談集『新耳袋』(メディアファクトリー&角川文庫)である。私は霊感などさらさらないほうなので、実話怪談を軽んじていたのだが、『新耳袋』にはマイった。
 ご存知ない方もおられるだろうが、この『新耳袋』、百物語形式を踏襲した本で、一晩で読み終えると怪異が訪れるというもっぱらの評判だった。内外のホラーやファンタジー漁りに食傷していた私は、リバイバルされたばっかりの『新耳袋』を書店で手に取ってみた。なかなかイイ感じだったので、買って帰り、近所の喫茶店で読み耽った。新鮮でかつ怖かった。
 全部読み終えると、もう外は雀色の夕暮れ、まだ一人暮らしだった私は、慌ててアパートに帰った。アパートの同じ敷地内に大家さんの家があった。月末で家賃の支払いがあったので、私は大家さんちの玄関でチャイムを鳴らした。大家さんの若奥さんが出て来て、「さっきもいらっしゃったですね、何か御用ですか?」と言った。
 部屋に帰った私は、その日は蒲団を頭からかぶって寝てしまった。ドッペルゲンガーは家賃までは代わりに払っていてくれなかったようだった。
 後日、その本を友人に貸した、自分の体験談つきで。友人は自宅の近所の公園でそれを一心に読んだそうだ。そして気付くと、やはり黄昏どき、逢魔が刻だった。生憎その日は家人がみな留守で、ひとりで家にいなくてはならない。ああ、いやだいやだと思いながら家の玄関に立つと、誰もいないはずのドアの中から鍵をがちゃりと外す音がしたそうだ。直後、私のもとに電話がかかってきた。「マジやばいって、この本」
 ということでちょっとした怪奇現象に触れてみたい方は『新耳袋』どうぞ。ただし、私たちが妙な目に遭ったのは、シリーズ1冊目「第1夜」だけである。
ピンク・ケーキは恥の味 1月20日 
 新年一発目、初手からまたカレーです(笑)。でも今回は、アフター・カレーで爆弾かまされた話です。
 ところは東○線み○ほ台駅近くのインド料理屋さん「ハティ」。ここはもう常連に近いくらい行ってるのですが、ひさびさ日曜のお昼に行ってみました。もちろんカレ友Tさんとです。どっちかがスパイスの涙を流し始めるまでカレー武者修行はやめません(泣)。お店は程よく混んでいました。
 インド料理は色々食べているのですが、ここのタンドリーチキン食べたら他の店のが食えなくなりました。他の店のタンドリーが死後1週間経ったケンタッキーとすれば、ここのはまさしくジュウシイな味わい滴るほんまもん。柔らかくスパイシーでそれでいてアツアツ。カレーも色々あって美味しい。サラダのドレッシングがこれまたスパイシーでウマイ。
 でその日は
すぺさる・こーすを頼んでみようかということになりました。そしたら顔見知りのインド人の店員さんが、「メニューに載ってないコースもありますよ」って微笑みながら言うのね。おお、それはぜひに、と二人とも頼んでみました。サモササラダ(いつものドレッシングがかかってなかった(-_-#))、三種のタンドリーマサラカレーナン。調子に乗って特注のカブリ・ナンもゆってみました。このかぶりつき…じゃねえや、カブリ・ナン、ナッツやハーブ・シードやパプリカが乗った薄甘いナンで、辛いカレーにあってウマイ。
 で、食後、デザートを待っていたらいきなり、オルゴールの音が可愛らしく響いて、店内のざわめきが一瞬止まりました。そっちを見ると、店のオーナー(だと思う)のおばさんが、銀の盆にオルゴールと
ピンクのケーキを載せてロウソク立ててしずしずと歩いてきます。「誰か誕生日なのかな〜」と思いつつ雑談していると、店内の視線が全部こっちに集中! なんと!!! ケーキは我々のテーブルに……うげ……
 デザートにケーキでもとは言われたのですが、まさか、こういうケーキが男同士のテーブルに来るなんて、凍りつく店内、にこやかな店員、思わず絶句するTさん、「あーあ、他の客にええ話のネタやってもうたな〜」と遠い目になる私……少し永遠なるガンジス川のほとりが見えました。
 ケーキは、ぴんくできゃんどるでおるごおるな
上に、ハートのケーキ
。なんだよ〜、たまんねーぜ、いきつけの店でここまであからさまに、イヤガラセを受けるわたくしたち。しかもケーキの上には「ANNIVERSARY」の文字チョコ……沈黙する店内、穴があったら入りたい我々。なんだ、どっかのホモカップルの記念日と混同されてるよ〜〜〜!!!! それともあの店員の薄ら笑いは全てを見抜いていると言うのかっっっ!!!! ひいいいいいっっっ!
 ひとつのケーキを切り分けて、私たちはそそくさと食べると、逃げるように店を出たのでした。今度もあのコースを頼んだら、頼みもしないのに祝ってくれるのでしょうか。絶対ありゃ、別のキャンセルした客用のアニバーサリー・ケーキだな。まんまとわたくしたち、はめられました。こうなりゃ、くそっ、カレー食べ歩き百店達成でもしたら、あのケーキで祝ってもらおか〜コラ。ロウソク百本立ててな〜〜〜。