幻想ミステリ博物館館長日記 特別編 未知なるうどんを讃岐に求めて(一) 9月13日

谷川米穀店…秘境で味わうさぬきうどん一杯目


日曜の午前10時前…なのに150人!
きみら他に行くとこないんかい?
 まだわからぬのか。そなたの探求の旅がむかわねばならぬのは、未知なる海原を渡ることにあらず、よく知った歳月をさかのぼることにして、昔ながらのあの情景が幼き目を見開かせた、幼年期の輝かしい不思議なもの、陽光ふりそそぐなかにたちまち瞥見した、魔術的なものにたちもどることなるぞ。(H・P・ラヴクラフト「未知なるカダスを夢に求めて」)

 私も探求の旅に出たのである。さぬきうどん巡りの旅に。日程は日曜の朝イチ飛行機で入讃して、月曜の夕方の飛行機で帰京する、という、滞在時間正味33時間の、超弩級ハード・スケジュール。しかもノリノリの相方Tさんは、その間、15軒は廻るとかのたまう始末。もともと蕎麦派だった私がそうカンタンにうどん転びする訳はないが、私の嫌いな関西のあの鯉のエサの麩みたいな麺ではないと証明できたら、御の字である。
 未知なるうどんは本当に実在するのか?
 それを食することは何を意味するのか?
 腹減った、はようどん食わせー(お約束)。
 何はともあれ我々は、ロケーションが強烈だとウワサの、「谷川米穀店」を目指し、レンタカーを走らせた。ラヴクラフトのランドルフ・カーターではないが、いや、ゆけゆけ川口浩探検隊もマッツァオの秘境なのか、そこはっっっ!!!?
 秘境は意外と空港から近かった(笑)。日本一狭い県だよ香川県、そんなに急いでどこへゆく?徳島?だから、今回の目的はラーメンじゃないってばー。
 営業時間よりけっこう早く着いたはずなのに、おお、なんじゃこの人だかりは?みんなうどん食いに来てんのか。戯れに数えてみたら150人はおる。子供連れとかちょっとうざいし、天気もよくないので、なんとなく殺伐としてる。秘境の長閑な味わいぶちこわし。食い終えて戻ってくる客の顔もどことなく腑に落ちない顔してるし、満足げな人はなかった。まあ、行列の店ってだいたいこんな反応が返ってくるもんですが。
 営業時間前に既に店は開いていて(行列を見るに見かねたものか?)、ラーメン屋の行列よりはするすると進んだが、それでも小一時間待って、ようやく店に入ることが出来た。
 数日前に「でぶや」で見たオバちゃんたちが、ほんまにおる〜〜〜。感激〜〜〜〜。
 うどんを貰って、小銭を払って、醤油と酢をかけて、名物の青唐辛子漬けをトッピングして、ずるずるっといってみる。思ってたより柔らかい。え?こんなの?本当にこういう感じなの?稲庭のほうがコシあんのとちゃう?私の脳裏を不安が過ぎる。でも、本でもテレビでもネットでもあれだけ取り上げられてきた名店中の名店よ。
 よく言えば、ここの麺はたおやかな麺だった。女麺と男麺があるならば、これは女麺。しなやかでつかみどころがない。なるほど、こういううどんもあるもんなのね。未知なるうどんは確かに存在したのである。この先どんな未知に出会うのやら……。でも正直ここのうどん、一杯だけだと寂しいな。もっと食わしてくれてもよかったんじゃない?相方〜(この後沢山回る予定なので、各店一杯ずつと決めてあったの)。おかわり食わせ〜〜〜!!!
 未知うどん発見という目的果たして、このまま飛行機で帰ってもよかったじゃん、というツッコミは許しま洗面器。まだまだうどんの世界の入口に立ったばかりなの、これでも。
 谷川を車で後にして十分経つか経たぬかのうちに、バケツの底抜けたような大雨に見舞われた。谷川の行列客の何割かが、川に押し流されたというニュースはなかった。ありえないことではないですけどね。

谷川前の谷川。鮎がぴちぴちハネてる
のが見えるよな清流。うう、泳ぎたい。

谷川は確かに米屋であった。ただし出す
うどんはビーフンではないのである。

殺気立つ店内。待ちすぎてピリピリ。
美しい環境も余りヒーリングに
役立たず。

ぬくいんの小。with青唐辛子and青葱。
醤油と酢で召し上がれ。

我々が谷川を後にして間もなくすごい土
砂降りが隊を襲った!!!川口浩お約束?

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