幻想ミステリ博物館館長日記 特別編 沖縄ぶるぶる紀行(一) 2011年2月2日

沖縄で寒かった…

♪枯葉散る夕暮は〜来る日の寒さをものがたり〜〜
 雨に壊れたベンチには〜愛をささやく歌もない〜〜
                (C)五輪真弓

 絶句…。何でせうか、このうら寒さ。空港のビルを出てバス乗り場に立った瞬間、顔を殴られるやうな寒風…。枯葉がべうと舞い散り、空は鉛色。雲の切れ端がほうと流れて逝く…。海は荒海、向うは佐渡よ…此処は日本海…最果て岬…。
 ちゃう、ちゃう、ちゃうのっ! ここはオキナワ!!! 南国の常春の楽園なのっ!!! なのに…寒い。朝から薄着で我慢してきた相方が、震えている。私は、羽田でトランクに入れたはずのマフラーを引っ張り出す…。
 二度目の来沖の時も確か同じ季節(一月末)だったはず。でもその時は19℃あったんですが、今回は14℃…。うっ…。那覇空港は海のそばなので、体感温度はもっと低い。
 ぶるぶると震えながらの旅の初日となりました。バスの窓の外を眺めながらの脳内BGMは、冒頭の「恋人よ」でした。
 暖かい所に行きたいね〜、というつもりで今回の旅を決めたのですが、とんでもなかったです。列島を覆う大寒波は南西諸島にもしっかりとやって来ておりまして、沖縄ではここ数年来一番の、寒い日々を味わってきました。よって今回の紀行は「ぶるぶる紀行」です。ほんとはてびちやらかまぼこやらマース煮やら、プルプルしたものを食べて「ぷるぷる紀行」にしたかったんですが、埼玉と変わらんのとちゃうか、という寒さに、「ぶるぶる」になってしまいました。噫…無常…。

 旅の初めに、前回食べ損ねた「我部祖河食堂」の「てびちそば」を、近場で食べようということで、豊見城市へバスでゴー。「アウトレットモールあしびなー」の送迎バスで行きました。
 お目当ての「TOMITON」はあしびなーの隣。どだい、アウトレットだの巨大施設は何もないトコに作るのがお約束で、そこも海に近い、がらんとした交差点でした。だからもの凄く寒いのよ。潮風にびゅうびゅう吹かれて、鼻水も凍りそう。こ…ここは、いっちょ、あったかいてびちそばで溶かさんと、こごえてしまう…。信号待ちの長いこと…。ああ、八甲田山の死の行軍…。
 しかしまあ、こんなトコに「沖縄そば博物館(略して、そば博)」が落ち延びて来ていたんですね、って言っちゃ豊見城市民の方には申し訳ないけど、以前は国際通りの真裏でしたからねえ。
 実は、以前そば博が入っていた元ゼファータワーの前に、ガブソカのアンテナショップがあるのですが、そこにはあのてびちそばがない。それも道理で、何故か駐車場にぽつんと屋台に毛の生えたような店があるだけなので、てびちそばみたいな面倒なメニューは出せない。
 てびちそばを喰いたくてここまで来る執念。まあ、空港から送迎バスで十五分ほどなんで、たいした距離ではないですが、これでてびちそばやってなかったら、ブヒは暴れるからね。

 さて、トミトンの入口を入ると、いきなりそば博がいらっしゃ〜い! そば博はすっかり、郊外モールのフードコートと化していたのでした。屋内広場の真ん中に、お子様たちが、叫びながら狂ったよに戯れるおゆうぎコーナー、そして安いテーブルが所狭しと並び、その周りを取り囲むように「模擬店」が居並ぶチープさは、前と変わらず。でも…、前と違って、人が多くてよかったねえ(^_^)。たといそれが、お子様を見張る親ばっかりであってもな。
 流浪の果てに、そば博はようやく、約束のカナンの地を得ていたのでした。めでたしめでたし…。
 そんでもって、ガブソカ。
 あれから色々調べたら、ガブソカは今、沖縄本島に12店舗ある一大チェーンとなっていました。チェーンって味にばらつきがあったりして、そこが心配されるのですが、ここは全店、ガブソカの創業者一族が名護の本店の味をしっかり守っているとかで、安心できます。
 まあ、お店の宣伝はこれくらいにしといて、早速てびちそばを注文しました。しばし待つ。他の店も目に入るが、ここはぐっと堪えて、そば一杯でガマン。でも他の店も、「うるくそば」(本店が那覇市小禄にあるからこの屋号。バスで帰る途中に通りがかった)とか、以前からのお店もアリ。

 ようやく呼ばれて取りに行くと、思っていた以上にドンブリがデカい。普通、こういうトコのそばだのラーメンだのって、すぐに食べきれるくらいの量でしょう。なのに、てびちがドカドカ乗ってました。さすが〜。汁も並々で重いしね。
 ほんにまあ、四年ぶりのおひさしぶり。美白てびち、別名「エロてびち」。なにがエロいのかは、そん時の「ぬちぐすい紀行」を参考にして下さい。
 ひとくち汁を啜ると、出汁が超旨い。美白大根をひとくちかじると、じゅわっと甘い菜汁が染み出る。てびちはぷるぷると口でとろける。唇にねっとりとまつわりつく、こらあげん。そばは相変わらずしこしこしてるし。
 この満足感はなかなか他では味わえませんわ。私がどーしてもアレが喰いたい、と所望して、ここを旅の予定に入れてもらったのですが、やはり来てよかった。風に吹かれようが、少々街から遠かろうが、これは来て食べなくてはイケマセン。
 昨年患った心臓病の予後で、汁を飲み干すことが出来なくて残念でしたが(相方がよそ見をしてる隙に飲み干そうとして叱られた…)、大変満足のいく一杯でした。
 せっかくてびちそばで温まった体を、ブルーシールアイスで冷やすと言う暴挙に出た後、再びあしびなーの送迎バスに乗って、荷物を預けたままの那覇空港に帰って行ったのでした。さて、那覇の市内はここよりもあったかいことを希望しますが…。


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