台湾ぶっとびシャカヘッド紀行(三) 南国珍果とその結果 2012.2.25

 南国のフルーツと言えば、台湾だとマンゴーなぞ有名ですが、季節は初夏です。しかし、この季節でないと食べられない旬のフルーツもあって、それも今回の旅の目当てのひとつでした。

 二日目の朝、ホテルからわりと近い雙連の朝市に行ってみると、野菜や鶏肉の屋台に交って、色鮮やかなフルーツが、山のように積まれていました。中でも目を引いたのが、真っ赤なカヌレの形をしたレンブ(蓮霧)と、同じく小ぶりなナツメ(棗子)。そして新高梨くらいのでかさの緑のグアバ(芭楽)!

 いずれもひと山一斤(600グラム)いくらで売られていて、最初は戸惑いましたが、相方が大胆にも一個売りしてくれ、と筆談で交渉して、それぞれを手に入れたのでした。

 まず、レンブ。私は、この甘味の薄いあるかなきかの味が、とても気に入りました。さくさくとした食感は梨よりももっと野菜っぽくて、ちょっとすかすかしたところも野菜を思わせます。味が淡い中に酸味もあって、ちょっとサラダにしてみたい。真っ赤な皮ごとざっくり切って食します。種もないので、「食べて下さい」と言わんばかり。

 ホテルのレストランでもこのレンブは、銀皿にうやうやしく盛られていました。見た目の華やかさが、遠来の客にうけるのでしょう、パイナップルと並んで人気でした。

 そして、まさか生で食べるものとは予想もつかなかった、漢方やドライフルーツでお馴染み、ナツメ。卵をひとまわり大きくした感じの緑鮮やかな実は、リンゴのような肉感でさっくり切れます。これもそのまま食べます。ナシやリンゴの食感で、甘酸っぱくて、干したものからは想像もつかないみずみずしさ。平べったい種がありました。

 画像の一番下段にあるのが、グアバ。沖縄でも見かけましたが、まさかこんなふうに切って生食するとは思いもよりませんでした。グアバってえと、我々はジュースにした状態の、ショッキングピンクのアレしか知りませんので、まさかまさかです。

 こちらでは食後のフルーツとして、常食されているそうで、ならばワシも食うてみるけ、と、ホテルの部屋の切れないナイフで健闘しました。硬い…。

 ぶつぶつの小さな種があるものの、これまた食べて下さいと言わんばかりの見た目なので、早速ガブリ。梨を少し硬くしたようなごっつい食感。酸味があって甘味は薄く、ジュースなどでお馴染みのあのグアバのとろんとした香りは皆無。まずかねえけど、まあ、熟れているのかいないのか、さっぱりワカラン感じ。食後にさっぱりするにはいいかな…とガシガシ食っていると…相方が…

「ネットで調べたら、種を食べるとお腹を壊すって」
「早よ言え〜〜〜! 半分くらい種ごと喰ったぞ」
「大丈夫、オレは種を出したから」
「種ぐらいどーってことないわ!」

 のちに、烏來に行ったら、種の部分をリンゴのように抜いて切ったものが、皿に載せられて売っていました。そうやって食べるのね、知らんかったわ。ちなみに烏來では、果肉がピンクの種類も売ってました。これだと我々が知っているグアバですね。でも果肉はやはり硬く、生でバリバリ食べるのです。私たちが「グアバ」と言ってジュースとかキャンディーで喰っていた、どピンクのは何だったんだ??

 さておまちかね。これこそ、今回の旅の目的の一つ、台湾シャカヘッド!!! いえ、まさか、尊い仏様のおみ頭をねぶる訳ではありませんが、漢字で書くと「釈迦頭」。我々が勝手に「シャカヘッド」などと失礼な呼び方をしているだけでございます。かつて、お釈迦様の頭髪はパンチパーマ状になっていたそうですが、その螺髪を緑にした魁偉な形のくだものが、シャカトウです。朝市の初日、我々は市場のおっさんにすすめられるままにこのシャカトウを50元で買いました。

 見た目がごつそうなので相方が頭陀袋に入れて持ち歩いていると、ホテルに帰ると脳味噌がハミーしてました。これはいかんと、即手術…じゃなかった、さっそく割って食しました。見た目と違って、柔らかく熟したクリーム色の果肉に、スイカのような種が詰まっています。まわりの果肉がかぐわしく、あまーいかほり。これはもしかして、トンデモナクうまいのでわ?

 じゅぶ…と果肉を頬張ると、濃厚な甘さと爽やかな香りと、とろっとした食感。これわ〜〜〜ドリアンよりも旨いぞ。ドリアンはあの独特の玉葱臭が大変なもんでございますが、こちらはそんな異臭もなく、ただひたすら甘くてとろけるのみ。上品。さすが仏様の頭ぢゃ。

 うまっうまっと二人で貪りつくしてから、「冷やして食べたら、アイスクリームみたいで美味しいだろうね」と、再び朝市に出向いて買おうと心に決めたのでした。翌日も朝市に行ってシャカヘッドを探すと、昨日のおっさんは探せどおらず、別な屋台で買うことに…。そしたら、150元! なんで三倍も値上がりすんの? でもおっさんが見つからんから、しょうがなしに買って、冷蔵庫に入れておきました。

 その日の遠出から帰って来て、さてちゅめたいアイスクリームのような果物を食べようと、出して切って見ると、鋼鉄の塊でした。熟れてなかった…。しかも、どーやっていいかわからず、結果、ゴミに…。馬鹿な観光客です。反省してもしきれません。実をすっぱり切る前に熟していないとわかっていれば、トランクの底に忍ばせて持って帰ってくることもできたでしょうに…。日本の恥ですたい。

 帰って来てから改めて調べると、この「シャカトウ」は日本国内では作られていません。台湾では「バンレイシ=蕃茘(本当は「力」が三つ)枝」と呼ばれて秋から冬が旬。これと同族の「チェリモヤ」をかけあわせた「アテモヤ」ならあるんだそうですが…。帰国の日、空港で買った「釈迦頭ケーキ」も似ても似つかぬ味で、やはり幻の果物でありました。華麗なる島の、美しき果物。今回の日記の「ぶっとびシャカヘッド」もここから取りました。ま、仏関係の美味はもう一つあるんですが、それは次回。

 すばらしい思い出にもなるフルーツですが、さて恒例のシモの話。私は朝市でグアバを買って食った夜から、猛烈な下痢に見まわれたのでした。1時間ごとにトイレとオトモダチ。用心で持って行ってた下痢止めもあっという間に飲み干し、翌日はさんざんな体調で遠路はるばるでかけたのでした。意思のチカラでなんとかおもらしだけは防げましたが、時折腹のツッパリに蒼ざめる私のせいで、相方はトイレ待ちをさせられる始末。皆さまもグアバを食す時は、種に充分、お気をつけくださいませ。