唐津紀行その一 変奇島渡航記 8月8日 
変奇島・高島への渡し船
プリンのような島の見た目
我先にと道を争う人々
神社で突然の雷雨に襲われる
不自然にデカい宝くじ売り場
 先月、相方がバースデー・プレゼントに旅行に連れてってくれたのですが、日記を更新する間にネットのADSL化が挟まって、半月遅れとなりました。今頃ADSLも何もありゃしませんが、光通信に変えたかったけど、まんそんの構造上だめだったものでね。
 佐賀の唐津に行ってきました。飛び越えて沖縄は行ってるけど、九州旅行は生まれて初めてだなあ。しかも旅行のきっかけは「新鮮なイカ喰いてえ」という食欲だったりします。東都でもお高価い…いえ、名高い「呼子の烏賊」を食するために行ったのでした。
 梅雨の終わり頃のうらうらとしたある日、福岡空港に降り立った私達は、ローカル線をちんたら乗り継いで唐津に向かいました。佐賀県ですよ佐賀県。はなわもがばいもブームを過ぎて、今頃行ってるのも我々らしい。おかげでのんびりと旅が出来そうだな〜、とほのぼのとしたのも束の間、ちょっと立ち寄ってみた場所がえらいこっちゃで、目を廻してしまったのでした。
 その立ち寄り所とは、「高島」という島。唐津港の沖合いに浮かぶ小さな島です。さぞかし鄙びた島だろうと思いきや、欲得渦巻く修羅の巷でした。ホント。まさしく変奇島!
 旅行に出る数日前、テレビでこの島が出ていたので、なんとなく行ってみようかと思ったのが運のツキ。島に渡るフェリーからしてもう、おかしな雰囲気でむんむん。朝の競輪場の雰囲気とでも申しましょうか。目つきがオカしい人が相当乗ってます。新大久保の雀荘にたむろってそうな人々が、潮風爽やかなフェリーに押し合いへし合いして乗ってるんだからもー、一般人はひきっぱなし。
 唐津城の偉観に見送られ、十分たらずの船旅で島に打ち上げられた私達ですが、なんかもう、船下りる人が我先にと艀を揺らしているのが凄まじく、もしかしてこいつら、宝くじでも当たらないことには指抓めか首吊りかと思わせる始末。
 そうなのです。この島の守り神・宝当神社がすべての原因。元は「宝刀神社」だったのが、「宝くじがアタール」に名前を変えてくじを売り出したところ、当たるは当たるはで、宝くじがチョー当たる神社として全国に名前を馳せてしまったのです。
 我先にと衆生が向かうのは、離島のにしては不自然なくらいどでかい宝くじ売り場ですが、何にしてもフツウ、先に神様に祈っとかんとご利益もなかろうと、まずは神社に向かったわたくしたち。鳥居をくぐった途端、雷鳴一発轟いて、沛然たる驟雨が!神の怒りか?単なる梅雨前線か?バチアタリな人々を洗い流すかのようにいっとき、雨はざんざと拝殿を叩いたのでした。
 拝殿の中にあがってお賽銭を投げて、宝くじが当たりますようにと欲どおしく祈ると、さて、宝くじ売り場へ。サマージャンボが発売前だったので(いったいいつの話をしてるんだとお思いでしょうね)、BIGをなんぼか買う私。相方は宝くじ初挑戦とかで、「ビギナーズラックあるかも」とかのたもうて、私より多めに買う始末。
 まあ、売り場の壁一面に、「宝くじに当たりました」「年末ジャンボ一億当てました」などのご報告の数々が貼ってあるので、いきおい、自分まで当たる気になるんだから、いい気なもんです。私の頭の中ではみゆき様のヒット曲「あした天気になれ」の「♪宝くじを買うときは/当たるはずなどないと言いながら買います/そのくせ誰かがかつて/一等賞をもらった店で 買うんです」が鳴っておりましたケド。
 さてさて、買ったくじは果たして当たっていたのか…。お答えは例の歌の続きで…。
 「♪はずれたときは 当たり前だと/きかれる前から笑ってみせます/当たり前だと こんなものさと/思っていなけりゃ泣けてきます」…。
 こんなもんですたい。
 さて、その後私達は唐津城に上って、天守閣から高島を眺めてきました。プリンのようなかわいらしい形をした島ですが、思いのほかビターな場所でした。くじ売り場で何万円分も買ってる人がいましたが、夢は叶ったのでしょうか…。
唐津紀行その二 烏賊の大群の来襲 8月14日 
前菜ととりあえず生ビール 透明で動いてるイカ刺し
イカの朴葉蒸し イカのみたらし風煮付け
イカシュウマイ 刺身の余りをゲソ天に
イカ寿司のかずかず 翌日駅で見つけた甘夏ジュレー
 変な島で胡乱な人々に襲われた我々ですが、今度は宿で、烏賊に襲われるハメに!…って、妖怪イカ大王に襲われたんかい、と思うでしょうね。思わんてか。あ、さいですか。ゲゲゲの見すぎですか。
 スキッド!カトルフィッシュ!オーノー!英米人なら怖気をふるうような烏賊の姿ですが、ちょうど時期も旬となりまして、呼子の烏賊をたらふく食べようと、「渚館きむら」さんを予約したのです。しかも夕食を「いかづくし」コースで…。さてどうなることやら。
 待ってましたの夕食はお部屋出しで、食卓にまず、前菜のイカサラダなどが…。のっけからイカ。味付けは控えめで、素材を殺さぬ薄味。
 さて、問題のイカ刺し盛りがやってきました。これが、相方が夢にまで見たらしい「透明なイカ」。確かに都会じゃカマボコみたいなイカしか出てきませんよねえ。でもこれがほんとの「活イカ」!脚がぴくぴく動いてるし、箸で身に触れると微妙に色が変化するし、ちょっとした理科の解剖気分です。でもひとくち口にするや、しこしこした歯切れのよい身が溶けて甘っとろに。おおお、これがほんもののイカ!今まで近所の寿司屋で食べてたのはニセモンかっ!ふたりで一杯が出されたので、争って食べました。いや、鯛の刺身も一緒に盛られてて、旨かったけどね。でも、向こう側が透けて見えるイカの美しさは格別ですな。食べる天女の羽衣みたいな…って例えがヘン?
 朴葉蒸し、煮付け、シュウマイ、いったい何杯イカを使ってんだってくらい、これでもかとイカが食卓に出されてきます。懐石出しなので、ずらりと並ぶことはなかったですが、それでも新鮮なイカには飽きないものですね。
 そして、さっきの刺身の残ったゲソが早くも天麩羅になって出てきました。これがまたサクサクプリプリでいけるの。もうイカまみれになってイカの襲来に嬉しい悲鳴。
 最後のトドメがイカ寿司だ!握りに飾り寿司に明太和え軍艦にイカ巻き、雲丹のせ。あんた、銀座辺りでこんなスシ食うたら、万札飛んで行きまっせ。♪と〜れとれぴっちぴちイカ料理〜…あれ?浪花のモーツァルト?
 仲居のおねえさんが、「初めて『いかづくし』を見ました」とびっくり発言。ここのお宿で「いかづくし」頼む客、そんなにおらんのかいな。聞けば、みなさん、もっと色んな海の幸を召し上がるそうで、イカのみに特化したコースはまあ珍しい注文なんだそうで。まあ、ええわ、他の魚も旨いんやろけど、わしらはイカを狙って食いに来てんねん。
 イカに襲撃されて悲鳴を上げたものの、実にシヤワセな気分で眠りに就いたのでした。
 翌日、帰途、唐津駅でなんぞ土産になるもんでも、とタカノメで探っていた私を捉えたのが、これまた「呼子の甘夏ジュレー」。冷たく冷やしたのを二個買って、筑肥線の電車の中でわしわしと食べました。二人して旨すぎるジュレに顔を見合わせて、こりゃーまた、もうけもん、と思いました。グレープフルーツよりも柔らかな甘みが口いっぱいに広がって、夏の通り雨が口中を過ぎ去っていきました。
 ジュレのぷるぷる感も最高で、良質のゼラチンのプル触り。寒天とはまた別もんですわ。
 こりは是非ともお取り寄せ、と相方が家に帰って調べましたらば、甘夏をくりぬいて器にしたバージョンは、七月いっぱいで生産終了、後はプラ容器入りしかない、とのことですが、一度味わってみたい方は、「呼子・加部島の甘夏ジュレー」で検索よろしく。あちこちの色んなジュレを食べているわたくしが、太鼓判を押します。んまい!

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