幻想ミステリ博物館館長日記番外編 うどん空海?紀行(一) 2015年3月4日

スリッパでUDON

 先日週末を利用して香川県へ行って来ました。7年ぶりの再訪です。うどん店など、再訪したくてももう無い店もあって、時の流れの無常を感じます。ブームは敢え無く去って行きましたが、讃岐人のうどん愛は今でも留まるところを知りません。因みに例の如く食べるのが先になって、画像はあんまりありません。というか、食べ物を美味しそうに撮影する努力は放棄しました。逆立ちしたって<dancyu>の写真家に敵う訳ないっしょ?

 早朝埼玉を発って、昼ごろには既に讃岐入り。レンタカーを借りてお昼は牡蠣小屋で焼牡蠣を堪能すべく、高松の東、志度へ。前回も牡蠣を味わっていますが、今回は眼の前の鉄板に牡蠣を並べて、裏表ひっくり返しながら焼く、オーソドックスな牡蠣小屋を体験してみます。

 志度の港のまん前にある「わたなべ」にお世話になりました。眺めのよろしい二階に通されて、鉄板を前に座ると、店のお姉さんがスーパーの買い物籠に入れた牡蠣を次から次へと鉄板に並べてくれるので、それをひっくり返し返ししながら、焼けたところからアツアツを頬張ります。ぷりぷりの牡蠣から染み出るエキスが旨味の塊。その乳灰色の雫を零さぬように舐めながら、貝の身を口に運ぶのです。

 ここは、トッピングがもの凄く色々あって、シンプルな牡蠣に飽きたら、それらの多彩なトッピングを試せるお店です。わさび、ゆず胡椒、タバスコなど辛い系、チーズ、マヨ、バター、バジルソースなど洋風系、梅肉、ポン酢、レモン、などの酸味系のもの、もっと色々あります。

 相方と二人してせっせとこれらのトッピングを集めて、ちびちびと付けて楽しみました。私はタバスコで頂くのが気に入りました。生牡蠣もよくタバスコかけますもんね。相方はレモンがシンプルでいいとか。眼の前の湾に浮かぶ筏で養殖されている牡蠣ですから、新鮮そのものシンプル一番も納得ですが、多彩なトッピングで遊んでいるうちに午後の時間は過ぎて行きます。二時間食べ放題ですが、一時間過ぎで50個以上食べてギブアップ。

 立寄り温泉で牡蠣臭を落し、高松に戻ってホテルに投宿、しばらくまったりすると、夜。今回、高松市内一の繁華街・瓦町に宿を取ったのは、ひとえに、歩いて行けるところに美味しい店が軒を連ねているからでした。晩飯は昨年末にテレビで紹介された、鶏のモツ入りお好み焼きを食べようと思っていたのですが、あにはからんや、「モツ玉」の有名店に七時半ごろ行くと、もう暖簾が仕舞われていました。売り切れ…。うちじに…。

 そんならと相方が必死でスマホで探したのが、近くにある「汁の店おふくろ」という居酒屋。ここは味噌汁がメインで、そこに小鉢の類が沢山あって、色とりどり。高松に出張で来たらホテルのフロントさんがお薦めする店だとか。これは行ってみなければ。

 汁は三種類あって、白味噌、赤味噌、田舎味噌。それぞれに何種類か具が選べるのです。なんだか牡蠣のトッピングに似ています。こういう色々あって選べるの楽しいですよね。私は田舎味噌仕立ての素麺汁、相方は赤味噌仕立てのジュンサイ汁を註文して、小鉢料理を色々と並べて楽しみました。大きなお椀になみなみとよそわれた味噌汁の旨い事。酒と汁の取り合わせも良さそうですが、私は生憎、断酒の身の上。

 その帰りにホテルの側で、遅くまで開いてるうどん屋を発見。ま、高松ですから、十歩も歩けばうどん屋に行き当たるような場所柄ですが、この店の構えは何となく我々を呼んでいました。妙に求道的な感じだったのです。名前は「うどん職人さぬき麺之介」と若干ふざけていましたが。

 いったんはホテルに帰りました。でも、讃岐についてからまだ一口もうどんを口にしていないので、禁断症状が出て、夜更けに二人して「麺之介」に走りました。気がつけば、私なぞ、ホテルの室内履きのスリッパのままでした…って、おい!!

 うどん屋は想像以上にうどん道でした。註文してから茹でてくれます。先客が一人、そそくさと食べ終わったあとは、他に客もないのに、十五分待つことと相成りました。麺切でうどんを生地から切る所から見せてくれるのです。これは期待していいよね、と眼を皿にしてうどんの茹で上がるのを待ちました。その間は口寂しいので、おでんをちょっとだけかじりつつ。

 まだ冬も終わってないのに、二人とも、冷やかけ。実は翌日西讃のほうのいりこだしの有名店に行くつもりなので、敢えてそれまで食べないようにと申し合わせていたのに、冷やかけ。私、つねづね、さぬきうどんは冷たいお出汁で冷たく〆たうどんを食べるのが、フレッシュで他にない美味しい食べ方と思っていますので、寒い雨がしょぼしょぼ降っていても、冷やかけ頼んでしまうんですね。でも店の大将もごく普通に出してくれるのが、讃岐のいいところ。

 いりこの中に昆布の甘さがふんわりと香るお出汁に、歯切れのよい麺が美しく浸っています。おつゆを啜ってため息吐いて、いやー、ここはうどんの王国だな〜、としみじみしました。スリッパでわざわざ来ただけのことはある(笑)

 翌日のうどん歴訪が楽しみです。

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