幻想ミステリ博物館館長日記 特別編 沖縄ぬちぐすい紀行(一) 2007年12月5日

頑張れ!そば博

 「ぬちぐすい」とはハテ、どっかで聞いたような言葉じゃのう、と呟いたアナタは聡い! 近頃話題の沖縄の天然塩のブランド名のひとつが「ぬちマース」と申します。「まーす」は漢字で「真潮」と書き塩のこと、「ぬち」はずばり「命」。「ぬちぐすい」は漢字になおすと「命薬」、日々の食べ物を通して健康を心がけ、ひいては長寿を授かるという、医食同源の沖縄的な実践方です。他にも「くすいむん(薬物)」等とも言うそうな。
 先の連休の後半から私と相方は沖縄旅行に行ってきました。今回は「ぬちぐすい」な食べ物を中心に、前回前々回の沖縄旅行で取りこぼした美味をリベンジしたので、題して「ぬちぐすい紀行」。ぬちもまぶいも込めてお送りいたします。
 さてさて、例によって飛行機微妙に遅れつつ那覇空港に着いた我々を、蝶のように群れ咲く蘭の花がお出迎え。この蘭には毎回感心しますねえ。世話が難しい蘭をあんなにふんだんに並べられて、金かかってんなあ、というのが正直な感想です。みみっちいとか言うな!(笑)
 空港からゆいレールに乗って、美栄橋駅で降りて国際通りへ歩いていくと、途中に今回の宿があるはず。そして、宿のすぐ手前にゼファー那覇タワーがあります。まずは腹ごしらえに、ゼファーの中にある、「沖縄そば博物館」(略して「そば博」)を目指します。

 慣れぬトランクをごろごろと引きずり引きずり、道を行くと、11月というに汗ばんでくる陽気。それもそのはず、那覇はまだ20℃を下回らぬぽかぽか天気、木枯らし吹き荒ぶ埼玉とはえれえ違いじゃ。空港でアロハに着替えてもまだ暑いんだから! 動物占いで言うと(古っ!)、あったかいところが大好きなコアラの私は、ことのほか嬉しくて、邪魔なトランクをデパートのコインロッカーに放り込み、るんるんと昼飯に出ました。
 さて「そば博」、ありましたよ。のぼりがびらびら立ってて一応宣伝はしてるんでしょうが、若干裏通りの目立たない立地、人気が少ないです。微妙によぎる不安を右から左に受け流すと、ビルの中へ。
 またこれが微妙な(笑)ロケーションでした。雑居ビルの端っこの中二階! ぱっと見にわかり辛いわ〜。なんだかテナントが入らんかった場所にムリクリ作ったような…。
 いーえ、そんなことはございませんわ。ここは沖縄そばの名店がひしめくそばの聖地。本当の聖地まで行かなくても国際通り裏でお手軽に名店の味が楽しめるわんだあらんど。腹ペコの我々は心ときめかせて暖簾をくぐりました。
 た、ら…。食券買うとさらに中二階の中二階のような変な空間へ通されました。そこはマリーセレスト号の如く無人の空間、ただただテーブル席だけが立ち並ぶ。文化祭の模擬店みたいなブースの中でそれぞれのお店の人がひまそーにしてはりまんわ。
 微妙によぎっていた不安がカタマリとなって我々の頭に激突してきますが、そこはそれ、空腹なので無視して、前々回名護で食べた懐かしいガブソカ食堂でそばを註文しました。私はソーキそば、相方はてびちそば。

 相方のてびちそばは、白く上品に煮たてびちと大根がごろんごろん載ったボリューミイな一杯。私のは毎度お馴染み沖縄デフォそば。味は本店と変わらないかな。すっきりとしたダシに甘く煮たソーキの味が染み出てて、腹ペコにこたえられません。相方のそばは、大根の旨味がダシにも移っていて、大根おでんをほうふつとさせる味。てびちはとろとろでさっぱり風味。どっちも一気に完食しました。
 腹一杯になって気づく、周囲の寒さ(笑)。他の客はというと、やっぱり戸惑い顔のおっさん達が約二組。戸惑い顔の観光客もちらほら。しかも部屋のスペースが相当広いので寂しい…。
 こういうフード系テーマパークの元祖とも言うべき新横浜の「ラーメン博物館」と似たような名前がついているのでてっきりそんなんかと思っていたら、郊外大型スーパーのフードコートだったって訳。下の中二階のほうはそれでも人がけっこういるのに、上の中二階ったら、寂しいわ〜。特にソーキそばの元祖であるガブソカがあるのに、客がほとんどいないなんて、屈辱もいいとこ。
 「そば博」の経営陣におかれましては、もう少し経営努力をされたほうがええんとちゃうか、という印象です。国際通りに呼び込みを立てるなり、看板を置くなり、観光ムックで特集してもらうなり、方法は色々あると思いますよ。でないと、次回来沖する頃にはなくなってそう…。
 あんまり気になったので、翌日、一日かけて本島南部をドライブしてきたあと、「そば博」に再来館しました。今度は下の中二階にあるこれまた名店「御殿山(うどぅんやま)」のそばを啜ってみました。さっぱりとして歯ごたえのある麺がいい感じです。その日は日曜と言うこともあってか下の中二階はなかなかの人入り。しかし、相方が気になってのぞきに行ったら、上の中二階はやっぱりな〜。
 食のテーマパークは首都圏などでも乱立していて、よほど名の通ったもの以外は、どこも経営に苦戦しているというところが正直な状況でしょう。この沖縄の地にあって沖縄そばのテーマパークを作るという心意気はとても有難いですが、成功例のひとつ、横浜ラー博をサンプルに挙げてみると、ラー博は8軒くらいあるそれぞれの店にハーフサイズのラーメンがあって、何軒も回って食べ比べたりはしごしたり出来る楽しさがあります。それに比べて、ここ「そば博」ははしごができません。そばはあくまで普通サイズ一杯単位でしか頼めません。
 そば博のHPを見る限り、それぞれ名の知られた店をチョイスして開館して一年ちょっと、まだまだ試行錯誤のさ中だとは思いますが、そばのタイプの違う店を何軒も連ねて一箇所に集めて何がしたいか、という利用客のニーズに答えられていないのではないでしょうか。
 試しに、参加している店を並べてみると、元祖ソーキそばの「我部祖河食堂」、灰汁で麺を打つ伝統的な味わいの「御殿山」、沖縄そばとまた一味違う八重山そばのある「麺そーれ」、無化調でテレビなどに取り上げられる有名店「シーサー」、琉球大学前の幻の味を復活させた「大学食堂」、アグー豚を使用したこってり系の「うるくそば」、炙り豚バラそばがこってり旨そうな「すば家川」と、七軒、どれも食べてみたい店です。しかしてんこ盛りがアダとなり、二杯三杯食えないのな。これは味比べしてみたい向きにはなんとも残念。
 面倒なのは承知の上で、沖縄そばのハーフサイズを置くなり、量を減らすなりして、せっかく一箇所に集めたメリットをもっと前面に打ち出して欲しいものです。HPでは、全店舗全メニューを制覇したらオリジナル丼をくれるとか、1店舗の全メニュー制覇だとそばプレゼントとか、いろいろ客を呼ぶ努力はしているようですが、そうそう毎週通える人ばかりではないので、是非ともハーフメニュー開発などの工夫をしていただきたいですね。
 次に沖縄行ったときにも是非とも「そば博」を訪れてみたいから、あえて苦言を呈しているということです。

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