台湾ザオファン紀行(三) 豆漿甘いかしょっぱいか 2010.6.6

 前夜のゲーセンのトイレがトラウマになって、「台湾、もう来れんかも…」と弱気になっていたわたくしですが、翌朝6時半に叩き起こされて、タクシーで華山市場というところへ出かけました。私が半眠半醒なのでタクシーで行かざるを得なかったのですが、この市場自体はMRTの善導寺駅の真上です。
 そこの二階にあるという豆漿の有名店「阜杭(フーファン)豆漿店」で早飯です。
 お店はかつては小汚い感じの庶民の店だったそうですが、近くに有名ホテルがあるせいで外国人観光客が多くなったりで、昨年小綺麗に改装されたそうです。なるほど、市場の二階に上がると、学食のカウンターみたいな店に10人くらいの行列ができていました。まだ朝の7時半というのにね。
 この店は60年近くこの辺で営業してきた老舗です。地元の人と観光客らしき人が、違和感なく並んで豆漿をトレーに載せてもらい、ファストフードぽいテーブルで思い思いに食べています。相方は小綺麗な店内が少し残念そうでしたが、私は昨夜の夜市ショックもあって、まあ、この小綺麗さに救われました。
 ここで早飯に頼んだものは、左中画像の左、紙に載ったのが「厚餅夾蛋」、真ん中の皿が「蛋餅」、右上が「鹹豆漿」、右下が「冰豆漿」。
 「厚餅夾蛋」は小麦粉生地を貼り釜でさっくりと焼いたものに卵焼きを挟んだもので、カリカリサクサク旨いのなんのって。「蛋餅」は卵焼きを巻いたクレープですね。どちらも塩味の「鹹豆漿」に浸けて頬張ると、極楽味です。
 冷たい豆乳にシロップの入った「冰豆漿」はさっぱりとしたスイーツで、寝覚めの悪い頭をシャッキリとさせてくれました。
 「鹹豆漿」にはカリカリに揚げた「油條」や干し海老、肉そぼろ、葱などが入っていて、香ばしいです。ゆし豆腐のようにふわふわと固まっていて、舌妙。
 でも私、これ、家で作ったことあるんですよね。無調整の豆乳を温めて、酢と味付けの調味料を入れて、素人でも作れなくはない。実は、かつて、我が家で一度作ってみたのです。その頃はまだおばあちゃんが生きていて、高齢になってから埼玉に越してきたもので、なかなか関東の食べ物が口に合わなくて大変で、なんとか食べさせようと苦肉の策で作ってみた栄養食です。でも酢が効き過ぎていたのか食べてくれませんでした。そんなおばあちゃんも、もうすぐ一周忌です。そんなことを思い出しつつ、豆漿を啜ると、心なししょっぱいね。
 我々が豆漿を「旨い旨い」と啜っているうちに、お店のカウンターはえれえ行列になっていました。あー、危ないとこだったのね。豆漿でほっこりとして昨夜の悪夢もリフレッシュして、我々はMRTで忠孝復興駅に向かいました。九分(本字は人偏に分ですが日本の文字コードで出ない…)に向かうバスに乗るために…。
 さて豆漿にヤミツキになって、最終日には、ホテルの近所のごくフツーの豆漿店に入ってみました。「永和豆漿大王」…大王ですか。しかも同じ名前の店を台北市内あちこちで見かけるし、チェーン店?でもそれにしてはきたねえ…いえ、お店に貫禄が…。調べてみると、台北郊外永和市永和路というところに豆漿の元祖の店があって、そのせいで「永和」を名のる店が多いようで。下町あたりで「元祖ナントカ」を名のる店と似たようなものかねえ。
 もう最終日なので漢語でやりとりするのも馴れて、注文も支払いも手慣れたもので、るんるんで「鹹豆漿」と「蛋餅」を。ここの「鹹豆漿」は油條と葱のほかに、海のものの味も濃厚にしました。私は魚卵、おそらく唐墨の干し粉の味ではないかな、と思いましたが、どうなんでしょうか。相方は違う、と言ってます。干し海老かもしれませんね。
 フツーの店ですが、この美味しさ。ほんと朝から元気になるメニューで、豆乳だし、おそらくヘルシーで美容にもよろしいのでしょう。もし台湾にいらっしゃることがあれば、ホテルの近所に必ず豆漿店があるはずなので、そこで早飯にぜひとも豆漿の旨味を味わっていただきたいものです。有名店でなくとも、おそらく普通以上の満足は得られるものと思います。