きのこはうまいぞのっ 10月31日 

巨大きのこの群生?

きのこのあずまや

あずまやの中、炭火の煙が…

なば刺しと椎茸の煮付け

椎茸が炭火責めにあう

背中のところが少し齧れてます(笑)

別注のつくね(旨!)とこんにゃく

サラダの一種、サル食
 秋になればきのこが旨くなります。私はこの季節、いつもたらふくきのこを食べたいと思っていましたが、ローカロリーでノンファットなオイシヘルシなきのこにも落とし穴があります。痛風の原因となるプリン体が多いのです。でも、薬飲んで抑えてるし、一週間きのこ断ちしたのでダイジョウブと、きのこをバクバク食いに行って参りました。
 相方が調べて見つけたのが、群馬は桐生の山にある「きのこ茶屋」。秋限定のきのこコースを食べに行ってきました。
 さて、お店は桐生川沿いの一般道からちょいと山道を登ったところに隠れていました。個室で炭火を前に、きのこや山の幸を焼いて食べるのだそうで、野趣満点。その個室は、店の入り口からいっとう低い森の中に、さながらきのこの群生のように作られていて、離れになった八角形の四阿(あずまや)が七室。気分は森野熊八…いえ、森のプーさん。ハチミツでも舐めてみる?
 ハチミツ舐めなくてもゴチソウがあるんですよ。まず出てきたのが、「なば刺し」ときのこ汁。なばは九州の方言できのこのことらしいですが、要するにきのこを酢味噌でぺろりと食べるのです。山の上とて少し寒ければ、きのこ汁の熱々が嬉しいですね。私は寒さに思わず熱燗を頼んでしまいました。運転の相方には申し訳ないですが、こういう料理に酒があればたまらんでしょう?
 炭火を熾して網をのせ、そこできのこや色んなものを焼いて、味噌か甘醤油かポン酢でいただく。お店の方が目の前で焼いて出してくれるのですが、椎茸の焼き加減がたまらんねえ。肉厚の椎茸を笠をひっくり返して網にのせ、焼けるのを待ちます。椎茸は熱い熱いと汗をかき、それが食べ頃の合図。塩降り焼きだったかな。椎茸ってほんときのこの王様よ。欲を言えば焼き松茸も味わいたかったけど、予算にかんがみてパスしました。予約時に別注で頼んでおけば、松茸様にもお目通りかなうそうです。
 海老や焼き饅頭などをきのこと一緒に焼いてハフハフしていると、ほんに、浮き世離れした空間じゃねえ。まわりは森閑とした林、他の客も静かで、ただひたすらきのこの焼けるのを待つ。お店の人に話を聞くと、どうやら訪れる数日前にテレビで取り上げられたそうです。「花まるマーケット(笑)」。秋だからねえ。
 焼き物につける味噌や甘醤油も程よくて、全体的に上品な味付け。上州名物焼き饅頭も、高速のSAで売ってるどでかいアレとはおもむきが違います。山女は炭火で焼くと柔らかくて、頭からまる齧り。画像に撮るのを忘れて齧ってしまいました(お約束)。
 さらに別注のつくねとこんにゃくも頼んでみました。やはり群馬だもの、こんにゃくはね。つくねの旨さに相方がうなっていました。
 締めのご飯の前に、「サル食」なるサラダ(?)が出てまいりました。聞けば、猿が好きな野菜にオリジナルの「サル味噌」をのっけたもので、ネーミング、なかなか趣がよろしいです。森の中、気分はウッキーです。こういうシチュエーションで、園山俊二のマンガに出てくる「サル酒」も飲んでみたいぞ。
 締めはきのこご飯になめこの赤出汁。すいーつにこーしー。料理は素朴ですが、立派に懐石料理くらいの値打ちはあります。このお店はもともと、「きのこの森ホテル」なるホテルの食事施設だったのですが、ホテルのほうは残念ながら店じまいして、お食事処だけ今夏リニューアル・オープンしたのが「きのこ茶屋」。
 ところで、茶屋に向かう山道の途中に、大きな建物が見え隠れしていたのが気になったので調べたら、食用きのこ栽培の父と言われる森喜作氏の設立した「日本きのこ研究所」でした。どうやら「きのこ茶屋」もこの森氏の森産業とかかわりがあるようです。きのこ刺の「なば」の由来も、きのこの父の出身地である大分の方言のようです。
 私の実家である和歌山県の山間部でも椎茸はじめきのこの栽培が盛んですが、それもこの森氏のおかげらしいとわかって、なんだか親しみが湧きました。かつてきのこは奥山に分け入って採取可能な特殊な山の恵みでしたが、今、私たちはいともたやすくスーパーで買い求めることが出来るようになりました。それもこれも、きのこ栽培に情熱を傾けた先人のおかげ。ありがたいことですね。
 泉鏡花の名作「茸の舞姫」にきのこの旨いのを誉める言葉がございますので、これを引いて、きのこ尽くしの一段、お開きにいたしましょうか。曰く…、
 「牛肉のひれや、人間の娘より、柔々として膏が滴る……甘味(うまい)ぞのッ」
 ついでにサル食もよろしく。ウキーッ!!