2012.2.22 更新
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「充弘――ここからはひとりでお行き。母さん足が動かなくなった。これ以上歩けないから、ここで骨になるまで座ってる。ひとりでお行き。まだまだ長い道だけどひとりでお行き」
 そう言うと母は、まだ若い桜の木の細い幹を動かなくなった足のぶんまで手に力を篭めて揺すった。花片は枝を離れ、無数の塵になって母の体に、彼の小さな体に降り注いだ。  
「暗色コメディ」より
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連城三紀彦 いんとろだくしょん

 1948年、愛知県に生まれる。
 早くから映画好きで、早稲田大学経済学部在学中、シナリオ作家を目指し、フランスへ留学する。
 1978年、「
変調二人羽織」で第3回幻影城新人賞を受賞。
 1981年、「
戻り川心中」で第34回日本推理作家協会賞短編賞受賞。
 フランスミステリ風のトリッキーなプロットと日本情緒がミックスした独特の作風で、一世を風靡する。この頃はミステリの著作も多い。
新耽美派とも言われる。
 「
戻り川心中」を始めとする花葬シリーズで人気を博す。映画への思い叶って、『恋文』『もどり川』『離婚しない女』『少女』など、映像化された作品も多い。
 1984年、『
宵待草夜情』で吉川英治文学新人賞受賞。同年、『恋文』で第91回直木賞を受賞。その後、恋愛小説にも健筆を奮う。
 1996年、『
隠れ菊』で柴田錬三郎賞受賞。この後しばらくミステリから遠ざかっている。実家が浄土真宗の寺ということもあって1985年に得度。法名、智順。
 2002年、『
白光』『人間動物園』の話題作二作で、ミステリシーンに返り咲く。
 2003年、TBS系ドラマ『
恋文』。
 2007年、映画『
棚の隅』(大杉漣主演)が2月より名古屋・高知で先行上映、3月17日より東京・下北沢シネマアートン、4月14日より大阪・九条シネヌーヴォ、5月より甲府でロードショーの予定。原作は『日曜日と九つの短篇』(文春文庫・絶版)及び『棚の隅』(コスミック出版)に収録の「棚の隅」。
 2008年、5年ぶりの新作長編『
造花の蜜』刊行。
 同年冬、『幻影城の時代 完全版』に短編・花葬シリーズ新作「夜の自画像」書き下ろし。
 2009年7月19日、WOWOWにてドラマ『人間動物園』が放映される。
 2011年11月27日から、WOWOWにて連続ドラマ『
造花の蜜』(全4回、檀れい主演)が放映される。
 2012年春、『
私の叔父さん』(高橋克典主演)映画化、上映予定。