レベルカラーについての(未来永劫使えない)ムダ知識

 初めてプラモデルに塗装をしたのは多分小学4,5年生の時でした。当時、プラモデル用塗料というと、ミスターカラーとレベルカラー、そしてパクトラタミヤでした。水性アクリル塗料がタミヤから発売されるのはまだ後のことでした。「パクトラタミヤ」は高級品というイメージがあって、子供には手を出しにくい大人の塗料という印象を持っていたように思います。
 「レベルカラー」と「ミスターカラー」の二つのシリーズは、ラベルとキャップの違いだけで中身の色、色番号は一緒でした。当時街のおもちゃ屋さんでプラモデルを買っていたので、『レベルカラーください』と言って買っていたのを覚えています。(ミスターカラーを出されて『違う』と店主に食い下がった事もありました)
 一番最初に買った色が下の写真の右から2番目、ドイツ空軍用のライトブルーでした。何を塗ったかというとオオタキの1/144 F15でした。今になってみるととんでもない色を塗っていましたが、ボックスアートを頼りに色あわせしたのだと思います。因みに、オオタキのキットは試作型でした。多分F15としては世界唯一の試作型のキットだと思います。後に旧オオタキの金型はアリイに移り、このF15は現在でも入手可能です。(後で分かったのですが、水平尾翼の形状は量産型になっています。ここを直せばこのスケールでは大丈夫のはずです)
 さて、ここから本題に入ります。上の写真の4本の『レベルカラー』ですが、一見して判るのが右側2本が『タカラレベル』になっていることと、右から2本目はキャップの背が高いことくらいですが、左側2本はそれとは少々異なる特徴があります。裏のラベルを見ないと判りません。
 ビンを観察することで、日本国内でのレベルカラーの発売元がどのように変わっていったかが判ります。
 『グンゼ産業(株)物資部』→『グンゼ産業(株)レベル部』→『株式会社タカラ』です。
 現在、レベルの塗料は本家Revell社の物しかありません。しかも日本のレベルカラーとはパッケージ(ハンブロールのような缶入り)、色番号が全く違うという状態です。
 左の写真はビンの裏のラベルですが、左側『ダックエッググリーン』のビンの方は、発売元が『グンゼ産業(株)物資部』、右の『ダークアース』では発売元が『グンゼ産業(株)レベル部』になっています。
 こちらは左『ライトブルー』と右『クリヤーブルー』のそれぞれのラベルです。デザインもほとんど同じで、注意書きも同じ文章が使われていますが、『株式会社タカラ』のロゴの大きさが違っています。
 『ダックエッググリーン』のビンのキャップ上面とビンの底面。両方ともそれぞれ
フタ:Revell Color
ビン:Revell
と、統一された表記になっています。
 買った時期はライトブルーよりも後ですが、購入時にホコリをかぶっていた(今でもその一部がフタに残っている)記憶があるので、製造時期はこれが一番古い物と確信しています。
 『ライトブルー』のビンのキャップ上面とビンの底面。こちらもそれぞれ
フタ:Revell Color
ビン:Revell
と、統一された表記になっています。
 発売元はタカラに移っていますが、ビンの上面のロゴはグンゼ時代の物を踏襲しています。差別化のためか、フタの高さが5ミリほど高くなっています。
 ところが、『ダークアース』だけ、バラバラになっています。
フタ:Revell
ビン:グンサン
『グンサン』は『グンゼ産業』の略だと思われるので、ラベルの『グンゼ産業(株)レベル部』を見ると一応、納得がいきますが、これよりも古いはずのダックエッググリーンのビンと、これより新しいライトブルーのビンでは『Revell』の表記になっていることを考えると不思議な気がします。
 レベルカラー末期の物。
ビンのデザインもタカラ独自の物に変わっています。この当時、グンゼのミスターカラーと同じ値段で容量が多くなっていましたが、短期間の販売で終わってしまい、タカラは模型用塗料から撤退してしまいます。
 ビン上部のロゴは『TAKARA』のアルファベット、ビン底部のロゴも同じ書体です。
 オマケの『レペ』
1977(昭和52)年頃、安全な塗料というふれこみでグンゼから発売されたのが『レペ』と『ホッペ』でした。水で薄められ、乾けば耐水性があり、乾燥が早く、さまざまな素材に塗装が出来ると言うことで、期待されたはずですが、このアクリルエマルジョン塗料は数年で姿を消してしまいました。
 同じグンゼから水溶性アクリル樹脂塗料の『水性ホビーカラー』が発売されたのはこの直後だったと思います。
 この水性塗料は思った以上に使い勝手が悪かったのです。ビンを振ってしまうと泡立ってしまい、塗装作業中ばかりか、乾燥するまで泡が消えないこともありました。また、ラッカー系に比べてムラになりやすく、隠蔽力もレベルカラーに比べて良いとは言えませんでした。
 価格と容量を比較すると、
 レベルカラー 18ml 100円
 レペ(ホッペ) 10ml 70円
 レベルカラーの方が得な気がしたのも事実です。
 因みに、『レペ』は『ベルイント』、『ホッペ』は『ビーイント』の略だとのことです。