「ラッキーマン!オレと勝負しろ!」




勝つことに命を賭ける男、勝利マンが言う。



だが勝負を申し込まれた彼はこう言った。





「やだ。」













「負けたこと無いもの同士」














事の始まりは単純明快。

勝利マンがラッキーマンと勝負したいと思ったから挑戦状を出したのだ。

明日の昼12時に初めて戦ったときの野原に来るようにと。

理由だってこの男からすれば勝負したいと思って当然のことだった。

ラッキーマンは「ラッキー」を頼りにしているとはいえ一度も負けたことが無いヒーロー。

なんとなく「負けた」ことになってる戦いもあるにはあるが

それだって本当に負けたことにならない「負け」がほとんど、しかも数えれるほど数回あっただけだ。

たとえば自分とラッキーマンがはじめて戦った時なんかがいい例だ。

結局あれは自分の勝ちにしてしまったが、誰が見ても明らかに反則勝ちであった。

それにまともな勝負だったとはとても言えない。

だから改めて戦いたくなったのだ。

ずっと「勝ち」を築いてきた「勝利マン」というヒーローとして

どちらが真のいちばん強いヒーローなのか。

「無敗」のヒーローにふさわしいのか。

だから彼に挑戦状を送った。

彼だって約束の時間どうりにこの場所に来た。


なのに・・・・・。








「なんだと?今なんて言いやがった?」


「やだ。って言ったんだよ。」

ラッキーマンが淡々と言葉を放つ。

明らかにやる気が無いのはその態度からも読み取れる。

その態度に当然勝利マンは怒りを覚えた。

「なんだそれ!?じゃーお前ここに何しに来たんだよ!」

「来なきゃ勝利マン怒るでしょ。もう怒ってるみたいだけど。」

「当たりめえだろ!!やだってのは勝負から逃げるってことだろうが!!情けねえと思わねえのか!」

「うん。いつものことだし。」

二人の態度やオーラは雲泥の差だった。

怒りで熱くなってる勝利マン。

何を考えてるのかかなり冷め切ってるラッキーマン。

ただラッキーマンの表情は少し物悲しげでもあった。

「いずれはこうなるんじゃないかなって思ってたし・・。

その時はちゃんと僕の思ってること話そうと思ってたから。」

「なんだよ。それって・・。」

ラッキーマンはふうとため息をついて口を開いた。

「僕は勝負する事自体元々大嫌いだよ。それぐらいは知ってるよね。」

「まあな。」

「それはね・・。最初は凶悪な宇宙人なんかと戦ったって勝てっこない、絶対負ける、

 死んじゃったらどうすんのさって思ってたから・・。」

勝利マンは自分の大ッ嫌いな言葉を次々といわれてムカッと来た。

「なっ・・てめっ!」

「最後まで聞いてよ・・。」

そう言われて勝利マンは無意識に出そうとしていた右手のこぶしをゆっくり引っ込めた。

「・・・でもね・・最近はそうじゃないんだ。戦って痛い思いしたり、怪我したりするって事には

 変わりないからやっぱり怖いし戦いなんてイヤだけど・・。

 でも・・こう言ったら自慢になっちゃうかもしんないけど、最近は気づいてるんだ。

 僕は絶対に死なない。負けないんだってね。」

勝利マンは何を今更と思っていた。

だから勝負を申し込んだんだというのに。

その反面今彼の言った言葉に反発心も抱いた。

自分が絶対死なない、負けないヒーローなんだと心の奥で叫んでいる感覚があった。

だが黙ってラッキーマンの話を聞いた。

「でも・・勝利マンも絶対死なない、負けないヒーローだよ。

 けど・・・それって・・・勝ってる限りでしょ?」

勝利マンはその言葉に頷いた。

「ああ。オレは勝ってるから勝利マンなんだ。
 
 オレが勝利マンじゃなくなるのは俺が負けたときだ、それはオレの死を意味するがな。」

その言葉にラッキーマンは少しビクッと動いた。

「ほら・・それって負けたときに自分で死ぬって事でもあるんだよね?」

「・・そうなるな。」

「・・・・・だから戦わないんだよ。勝利マンとは。」

そこまで落ち着いてた勝利マンだったがその言葉の意味を悟ったときに

再び怒りがこみ上げてきた。

「おい・・それはつまり・・オレがお前に負けるっていいたいのか?

 負けて俺が死ぬとでもいいたいのか?」

ラッキーマンはしばらく押し黙って首を縦に振った。

「・・・・うん。」

勝利マンは次の瞬間ラッキーマンの側まで詰め寄り肩をガシッと掴んでいた。

「決め付けんなよてめえ!!だから勝負しろって言ってんだろ!?

 勝負してみなくちゃどっちが勝つか負けるかなんてわかんねえじゃねえか!」

「そりゃあ絶対なんて言い切れないよ!でも今まで僕のラッキーにかなう奴なんていなかったもん!」

「オレの勝利の執念にかなう奴だっていなかったんだ!!」

「執念だけでいつでも勝てるわけじゃないよ!!!」

「てめえこそ運だけで戦ってるくせに!!!」

だんだん口喧嘩のごとくになってきていた。

「だって・・だっていやなんだもん!僕達が戦ったら本当に命を賭けた戦いになっちゃうんだよ!?

勝利マンが勝ったら僕が死んでっ、僕が勝ったら勝利マンが死んでっ・・

そんなのイヤだ!!僕だって死にたくないけど!!





勝利マンが死ぬなんて絶対やだ!!!!」




気がつくとラッキーマンは泣いていた。

「おまえ・・・。」


次の瞬間、ラッキーマンの唇に何か温かいものが触れた。

「!?んんーーー///////!!!!」

かなり唐突な勝利マンの口付けにラッキーマンは困惑していた。




「・・ぷはっ!なっなっ何すんのさいきなり!!そっそんなことするとこ!?」

ラッキーマンは顔が真っ赤になっていた。

「これで勝負は無しにしてやる!オレの勝負を放棄した代償なんだからコレ位はな!」

勝利マンはさっきとうって変わったにんまりとした表情で言った。

「ひっひどーい・・!男とするなんて〜!」

「あれ?初めてだったのか?」

「お・・男とはね・・・。」

「え!マジか!いや〜悪い悪い!てっきり努力とはしたことあんだとばかり!」

「なっなんでそこで努力がでてくんだよーー!!」

ラッキーマンの顔はさらに真っ赤になっていた。

「ふーんそうかそうかオレがはじめてかっ。悪いな努力。」

勝利マンはにまにましながら独り言を言っていた。

「なんなのなんなのーー!!」



勝利マンは騒いでるラッキーマンの頭にぽんと手を載せた。

「ったく・・・お前は甘ちゃんすぎんだよっ・・。」

「勝利マンは勝つことにこだわりすぎ・・。死ぬなんて言わないで・・。」

「オレは死なねーよ。負けやしねえ、絶対勝つ男だからな!」

「だからそこが・・。」



素直に嬉しかった。

自分が死ぬ事に本気で嫌がり、悲しみ、涙してくれることが。

同時に悔しいほどに愛しく思えた。




『今回は見逃してやるけどな。いつかは決着つけてやるからな。』






END






くろん「途中までまともな友情物だったというのに最後はなんとキッス!」
ラキ「はずかしいよ〜!僕男とするの初めてだったんだよ〜!?」
勝利「ほんとに意外だな。努力としてないなんて。まあ、オレは何でも一番じゃなきゃな!
    だからラッキーマンの初キス(男)もオレがもらい!」
ラキ「だからなんでそこで努力なのさっ!」
くろん「いやいや、あの二人はね、まだまだウブウブですから♪ね〜努力ちゃん?」
努力「は・・はあ。」
勝利「努力、頑張れよ!」
努力『師匠の唇奪っといて・・・・・怒』


くろん「初の勝ラキ!!ラッキーマンの初キス(男)相手が勝利マンになるとは私自身も予想外でした!(おい
    勝利マンの本命は天才マンですがね。ラッキーマンもとっても大事なんです。
    つーか天才が相手だと受けになりラキが相手だと攻めになるのよ家の勝利は。(汗
    原作でもおおやけになってる勝利マンと天才マンの関係で曖昧になってますが
    本当の勝利マンのライバルとなるべき存在はラッキーマンだよなーって思います。
    いや、二人の性格上張り合いっぱなしってのはありえないんですけど、題名にもあるととおり
    負けたこと無いもの同士ですから。勝利マンもやっぱりいつか決着つけたいと思ってるんだと思います。
    うんうん。(ひとりでなっとくするな!
    
   

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