ドドドドドドドドドドドドドド・・・・・・・・・・




「あああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!」




ラッキーマンの空前絶後の足音による地響きと絶叫が木霊する。




そう、彼は全力疾走で逃げている。




「待て!!!ラッキーマン!!!!!」




それを地響きなんて立てず、素早く光速で、物凄い殺気を放った形相で、ラッキーマンを追う者・・・・



一匹狼マンである。





「いやいや来た来たーーーー!!!


元祖ラッキーマンの大バカヤローーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!」
























「長年の恨みはらさでおくべきか」





























懸命な「ラッキーマン」読者の皆さんならばこれだけの展開で一体何が原因で

一匹狼マンがラッキーマンを追いかけてるのかはもうお分かりであろう。

彼、一匹狼マンは昔、自分を谷底に落としいれた犯人を長年恨んできている。

そいつを倒すためにヒーローになったといっても過言じゃない。

その犯人とは紛れも無く元祖ラッキーマンだ。

・・少なくとも読者から見ればその事実はすぐにわかることだった。

だが当の本人の一匹狼マンは、谷底に落ちたときのショックで犯人の顔を忘れてしまっていたのだ。

その一匹狼マンがどうして犯人がラッキーマンだと解り追いかけているのか。

まずはそこから説明しなければなるまい。












「みんなで!!THE・宝探し大会ーーーーーー!!!!!!」


ワーーー!!ドンドンパフパフ☆☆☆


友情マンがマイクを持ってノリ良くアナウンスする。


今の歓声や効果音は出場する16ヒーロー達が放ったものではなく、

彼のお友達達が演出してくれたものである。

当の16ヒーロー達はしらけたわけでもないがぽかんと口を開けてあっけにとられていた。

いきなりめちゃくちゃ唐突にそんなこと言われてもといった感じに・・。


「兄さん・・皆を集めるから何かと思ったら・・。」


「けっ・・くだらねー。」


友情マンの実の兄弟達が批判の声を出す。


「くだらないなんて言わないでよ!僕だって自分で土に埋めた折り紙金メダルを皆に探させるほど

 「とにかくイベントを行ってみんなの友情を深めよー!男」じゃないよー!」

友情マンが何気にシャレになんない事を言う。

「そんなもんがお宝だったらホントに冗談じゃねーぞー!!

 こんな辺境の星まで呼びやがってさー!」

と、文句を言うスーパースターマン。

彼の言うとおりここは宇宙の中の辺境の星。

とても綺麗とは言えぬ森かジャングルかと称するならばジャングル近い木々が生えている以外は

荒れ放題の荒野であった。


「まあまあ、一見寂れたこの辺境の星になんと金銀財宝のお宝が眠ってるんだそうなのです!!」



「えええええ!!!???」


皆が一斉に驚きの声を上げた。


「マジかよ!!」


「デマじゃねーだろうな!」


パシリやら男のロ・マンやらみんな興奮してきて率先して友情マンに質問を浴びせた。



「大丈夫大丈夫!なんせこの情報はぼくの友達の中でも一番信用できる優秀な情報屋から

得たものだからね!ぬかりはないよ!」


それを聞いてみんなは目の色を変えた。


「よっしゃーーー探すぜ!やろうぜ!THE・宝探し大会ーーーーー!!!!」


ワーーー!!!!ドンドンパフパフ☆☆☆

今度は効果音こそ相変わらず演出係がやってるものの、歓声はヒーロー達本人のものであった。



「よーし行くぞ!」


「ちょっとまったあ!!!」


みんなが一斉にやる気を出し、一瞬にしてシャベルなどを用意し、宝探しに向かおうとした所にストップをかける友情マン。

当然顰蹙買いまくりである。

「何さー!せっかくやる気だしてんのにー。」

ラッキーマンもぶーたれてる。

「その前に・・・・・

 THE・チーム分けのくじ引きタイム♪」

と、友情マンは台詞とほぼ同時に何処から出したのかくじ引きの箱を取り出した。


「えー?チーム分けすんのかよー。」


「当然!折角の大会、言わばゲームなんだからこれ位しなきゃ盛り上がんないじゃない!

それに、そうしたほうがいろんな人と友情が深まるからね♪」


「結局はそれかい!!!!!」


全員によるツッコミが空に木霊する中、くじ引きは行われた。

チームは二人一組になるように作られていた。

努力マンは天才マンと

スーパースターマンはナイスマンと

勝利マンはスペードマンと

世直しマンはパシリ1号と

救世主マンはトップマンと

男のロ・マンは修正マンと

友情マンは聖・ラマンと

そしてラッキーマンは一匹狼マンとチームになった。


「・・・ラッキーマンガル。」

「あ、一匹ちゃんとかっよろしくね!」


一匹狼マンは内心不安を隠せなかった。

友情マンとはなれて友情マン以外の人と一緒に行動するなんて・・。

そんな一匹狼マンの心中を友情マンはちゃんとわかっていた。

友情マンは一匹狼マンの肩をぽんとたたく。

「大丈夫だよ。たまには他の人と交流持ってみるのも大切だよ?がんばって!」

友情マンにそう言われてはがんばるしかない。

人付き合いを「頑張る」というのも変な言い方なのかもしれないが

彼にとってはまさに人付き合いとは戦場に向かうが如しの事であった。

だが彼は覚悟を決め単身ラッキーマンの元へ歩み寄った。

こんな事をラッキーマン本人が聞けば「僕は爆弾か何かか」と言いそうなものであった。


そんな一匹狼マンを優しく見守る友情マン。

彼のパートナーとなる聖・ラマンがそんな彼を見て声をかけた。

「この企画・・もしかして彼のために開いたんじゃないですか?」

急に言われて友情マンは驚いて後ろを振り返った。

だが次の瞬間にはにこやかな表情になっていた。

「あはは。流石に女の子はそういうのに鋭いねえ。

 ま、勿論宝があるのは本当だけど、くじ引きとかは・・そうかもね。

 そろそろ本当に他の人とも交流持ってほしいからね・・。」


大切だからこそ。


友情マンは心の中でそう付け足した。


「優しいんですね。」

「おせっかいなだけだよ。

 ・・・正直カケみたいなもんだったよ。相手によっては余計アイツを傷つけることにになるんじゃないかと思ったけど、

彼なら大丈夫だ。彼はあの中じゃ親しみやすい方だから。」

「ですね。」

「じゃ!僕たちも宝探しを思いっきり楽しもう!」

「はいっ。」


友情マンと聖・ラマンも宝探しを開始した。

あの二人が少しでも仲良くなってくれる事を信じて。

だけど・・


「彼なら大丈夫」


この考えは大きな間違いだったとあとで思い知る事になる・・・。














この星はどことなく、孤独星に似ている。


この森や地の雰囲気なんかそっくりだ。


思い出したくないようで・・


あの悪党のことはどうしても思い出さなきゃいけない・・・


こんな場所にいるせいか


今日に限ってそういう気持ちに駆られてしまう・・・。




「暑いね〜この星って・・ちょっと歩いただけで喉カラカラ〜。」


ラッキーマンに根性と言うものはないに等しい。

歩き始めてから10分位しか経っていないのにもうばてたらしい。


「うーん・・そろそろ掘ってみる?ぶらぶら歩いてても体力消耗するだけだし。」


「ガル・・。」


そう言ってラッキーマンと一匹狼マンはお互いその付近をシャベルで掘り始めた。

するとラッキーマンが彫っていた場所から水しぶきが出てそして・・



ザッパーーーーーーン!!!!


「ひえええええ!!!水が出てキターーー!!」

「ガル!?」


大きい水柱が立った。


「いやー!喉かわいてたし丁度いいねこりゃっ☆ラッキー♪」


一匹狼マンはその光景を見て何か引っかかるものを感じた。


『・・・この光景・・どっかで見たような気がするガル・・。』




さらに歩いて違うとこをラッキーマンが掘ってみたならば、

何故か今度は石油柱が立った。


「なっ・・なんで石油柱?」


「んん?」

無論一匹狼マンはまた何か引っかかるものを感じた。




そしてさらに違うとこをラッキーマンが掘ってみたならば、


ピッカーン!!!


大当たりーーーーーーー!!!!!


金銀財宝お宝ゲットーーーーーーーーー!!!!!!!




「やったあ!!!!ラッキーラッキー♪一匹ちゃーんこれで僕ら大金持ちだよー!」


喜び舞い上がるラッキーマンに反して、一匹狼マンは不信感を隠せなかった。


『な・・何故だガル・・!?何故こんなにもあの悪党の姿とラッキーマンの姿が

重なるんだガル・・!?・・まさか・・・。いや・・でも完全に思い出したわけでもなく

 証拠もないのに決め付けるわけにはいけないガル・・・・。でも・・・・。』


そんな自問自答している一匹狼マンの様子も気に止めず、

ラッキーマンはお宝をできるだけ袋にかき集め持ち帰ろうとしていた。

「さっ!お宝も見つかった事だし、一匹狼マン、最初の場所に戻ろう♪」

「え・・ああ・・ガル・・。」


と、その時!

一匹狼マンは地から飛び出ていた木の根に足をとられ後ろに転倒した!


ガン!!


そんでもって頭をぶつけたーーーー!!!!!


でもってそのショックで一匹狼マンの脳の中にあの!あの時の記憶が!

自分を谷底に落とし入れた犯人の姿が蘇ったーーーー!!!!!!




「!!!!!!!!!」



瞬間確信した。


あのときの悪党は・・・・・・・。




「い・・・一匹狼マン?大丈夫?」



動かぬ一匹狼マンの安否を心配するラッキーマン。

だが彼から漂う不穏なオーラに不吉な前兆を予感せずにいられなかった。


「お・・・。」



「?」




「お前・・・・・だったのか・・・・!!」




「!!!!!????」




ラッキーマンは身の毛がよだった。

その台詞、そのオーラ、

天才マンの時と同じだ!!

この嫌な予感は何だ!!??



「い・・・一匹狼マン・・・・?どしたのかな・・?」



次の瞬間!一匹狼マンはあのときの天才マンにも負けず劣らずの物凄い形相で

ラッキーマンに襲い掛かった!


「許さないガルーーーーーーーーーーーー!!!!!!!」




「ひあああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!????」




ラッキーマンは全力疾走で逃げ出した!



「待つガル!!!」



一匹狼マンはそのアトを物凄いスピードで追った。



一匹狼マンのスピードは協会一で半端じゃない。

死ぬ気で逃げなきゃつかまる!

死ぬ気で逃げたってつかまるかもしれない!

でも今の一匹狼マンにつかまりでもしたらそれこそ殺される!!



「いあああああああああああああああ!!!!!!!!

何でこうなっちゃったのさーーーーー!!!!!」


ラッキーマンが死ぬ思いで走る上でラッキー星がキラリと光った。

「ご説明しましょう!!」

「あ!ラッキー星!早く早く説明してよ!もう何がなんだか!」

「あ〜・・説明めんどい!!これを読めーーー!!!」

そう言ってラッキー星はある本をラッキーマンに託した。

空から落ちてきた本を手にとるとそれは・・


一匹狼マンの過去が描いてあるラッキーマンコミックス第9巻であった。


「ぜったいこれ作者の都合でしょー・・・。」

走りながらその一匹狼マンの過去の部分を読むラッキーマン。

その衝撃的な事実に寧ろ涙を流すほか無かった・・。


「これって〜もしかしなくても〜・・!!!」


「そうだー!!不本意とは言え一匹狼マンを谷底に落としたのは元祖ラッキーマンだー!!

 ご説明終わり!!」


勝ち誇ったように言い切るラッキー星。

ラッキーマンは走りながらも既に半泣き状態だった。

「そんなあああ!!!なんなのさ元祖ラッキーマンの奴!

 天才マンの時といいヒーローの癖になにやってんだよーーーー!!!!

何でも私に押し付けないでよおおおおおおおおおおおお!!!!!」






ドドドドドドドドドドドドドド・・・・・・・・・・




「あああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!」




「待て!!!ラッキーマン!!!!!」




「いやいや来た来たーーーー!!!


元祖ラッキーマンの大バカヤローーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!」





ラッキーマンの悲痛な叫びが星じゅうに木霊した・・・・。











その頃、努力マンと天才マンは・・・・


「なんかさっきから地響きが聞こえません?」


「・・だな・・。」


謎の地響きに警戒間最中であった。



ドドドドドドドドドドドドドドドドドド・・・・・・・・


徐々に近づいてくる地響きにますます警戒心が高まる。

二人は戦闘態勢にまでなっていた。

だが次の甲高い声を聞いた瞬間戦闘態勢は崩れる事になる。


「やああああああああああああああああああ!!!!!!!

 たすけてええええええええええええええええええええええええ!!!!!!!」



「!あの声はっ・・」

「師匠!!!??」


その声を聞いて約一名いろんな意味でさらに気合の入った戦闘態勢になる。


「師匠の身に何かが!!??今行きますよ師匠ーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!」


そして努力マンは一瞬にして声がする方角に走り抜けていった。

天才マンも後を追った。











「ぜえっはあっ・・・なんで・・・こんな・・目に・・・。」


一生懸命走ってるもののだんだんスピードダウンしているラッキーマン。

一匹狼マンとの距離はだんだん縮まってそして!


ガシ!!!


「うわあ!!?」


「追いついたガル!!」


腕をつかまれついにつかまってしまったラッキーマン。

もう駄目かとあきらめかけたその時、


バシ!!!


一匹狼マンを手刀でラッキーマンから払いのけたのはそう、


努力マンであった。



「一匹狼マン!!何をしている!?」


「努力ちゃ〜ん・・・!!」


天の助けだとお祈りポーズをして努力マンに見惚れるラッキーマン。


天才マンも少し遅れてその場に到着していた。


「驚いたな。地響きの正体がこの二人だったとは。」

天才マンは少し感心したような物言いで言う。


そんな言動も一匹狼マンの耳には入っていなかった。


「そこを退くガル・・・。」


前に立ちはだかる努力マンを鋭い目で睨みつける一匹狼マン。

努力マンも負けじと鋭い目で一匹狼マンを睨みつける。


「退いてなるものか!!師匠には指一本触れさせない!!」


両者が睨み合いをしている間に天才マンは努力マン、ラッキーマンの後ろに回って

ラッキーマンに事情を聞いた。

「一体何故こんな事になったんだ?」

「あっ・・あのね・・かくかくじかじか。」

事情を知った天才マンは深いため息をついた。

「私だけにとどまらず・・一匹狼マンまでも不幸にしていたのか・・元祖ラッキーマンは・・。」

「ねえ?おかげでこっちがいい迷惑してるんだから・・。」

二人が後ろでこそこそ話している間にいつのまにか

努力マンVS一匹狼マンの戦いが繰り広げられていた。


「どりゃあああ!!!」

「ガルルルル!!!」


お互い実力派同士、なかなかの攻防戦であった。

「ラッキーマン、この隙に遠くへ逃げたらどうだ?」

「あ、そうねそうね。」

天才マンの提案に納得したラッキーマンは即座に回れ右をして再び走り出した。


「あ!待つガル!!」


バッ!!


「・・しまった!!」


そして一瞬の隙を突いて一匹狼マンは努力マンを掻い潜り再びラッキーマンを追いかけだした。



「待てーーー!!ラッキーマンーーー!!!」


「うひゃあああああ!!!意味なーーーい!!!」


そのあとを追おうとした努力マンだったが一人の男に呼び止められ振り向かざるえなかった。


「努力・・・一匹狼マンとラッキーマン・・一体どうしたんだい・・?」


友情マンだった。

















ひたすら走り続けるラッキーマン。


自分にしちゃ頑張ってると思う・・・・。


けど・・・・・。



「も・・もう駄目・・・。」


心身ともに限界が来ていたのと同時に逃げ道にも限界が来ていた。


ラッキーマンがいる場所は断崖絶壁の崖の上だった。


ラッキーマンはその崖の上でへたりと座り込んでしまった。


「もう逃げ場は無いガル・・・覚悟はできているだろうなこの悪党が!」


後ろを振り向けば仁王立ちしている一匹狼マンがいた。


「ち・・違うんだってばそれは私なんだけど私じゃなくてぇ・・・。」


今更事情の説明など聞いてくれそうにも無かった。


一匹狼マンの鋭い爪がラッキーマンに勢い良く向かう。


ラッキーマンは恐怖で目つぶった。


その時!




「やめるんだ!!」




一匹狼マンにとってとても聞きなれた声が木霊した。

その声に反応して一瞬にして一匹狼マンの動きは止まった。

そして次の瞬間には一匹狼マンの目の前にはラッキーマンを庇う友情マンの姿があった。


「ゆ・・友情マン。」


「一匹狼マン、やめるんだ。ラッキーマンを殺しちゃいけない・・。」


友情マンの目は無論真剣だった。

だがその態度が余計に一匹狼マンの怒りを掻き立てた。


「何故だガル!?友情マン!

 あの時あんたは悪党を成敗するのに協力してくれると言ったじゃないか!

 あれは嘘だったのか!?」


「あの時言った言葉に嘘偽りは無い!けどその相手がラッキーマンとわかった以上・・・。

 お前も勿論大切な友達だが・・ラッキーマンも友達だ・・・

 二人のどちらも失いたくない・・二人が傷つけあう所なんて見たくないんだ・・。

それに、ラッキーマンはお前の知ってるあの時の悪党とは違うんだ!

彼は元祖ラッキーマンというお前の知ってるあの時のラッキーマンと

 人間の追手内洋一くんが合体して今のラッキーマンになっているんだ。

 そして今のラッキーマンの意志は追手内くんのものになっている。

だから違うんだよ・・別人なんだよ。」


それを聞いた一匹狼マンの表情が揺らぐ。

大方迷いが生じているのだろう。

だが決してさっきのオーラは消えなかった。

「でも・・合体したというのなら・・・元のラッキーマンもそいつの中にいるはず!」


「それはそうだが!今の彼には何の罪も無い!そんな彼をいたぶっても意味ないだろう!?」


「く・・・。」


俯く一匹狼マン。

その後ろから数人の声が聞こえた。


「そうよ!一匹狼マン!もう許してあげてよ!

 こんだけあなたに追い掛け回されてラッキーマンは充分いたぶられた事になってるのよ!?

 もういいじゃないの!」

聖・ラマンが言う。


「一匹狼マン!お前の気持ちは良く解る!良く解るからこそ言うんだ!

こんなことをしても意味ないと!かつて私も元祖ラッキーマンに恨みを抱き

ラッキーマンに復讐しようと痛めつけた。

だが元祖ラッキーマンと今のラッキーマンが別人だと悟った時・・

自分の中に残ったのは罪悪感や後悔・・申し訳なさといった感情だけだった・・。

納得できないかもしれないが・・解ってくれ!お前になら解るはずだ!」

天才マンが言う。


「一匹狼マン!頼む!これ以上師匠を苦しめないでくれ!」

努力マンが言う。



「一匹狼マン・・・・。」

友情マンの後ろで情けない声を出すラッキーマン。

声だけでなく姿も弱々しく、恐怖に怯えうるんだその瞳は

あの時の悪党とは確かにまるで別人だ・・。

その姿を見ると殺気が少し揺らぐ・・だが・・。


「・・・苦しめないでくれだと・・・?

 じゃあオレはどうなる!?今まで苦しんできた俺はどうなる!!?

解るもんか!!解ってたまるもんかああああああああああ!!!!!!」


そう言って一匹狼マンは気が狂ったかのようにラッキーマン目掛けて突進してきた。


「あぶない!」

友情マンは瞬時にラッキーマンの腕を引き一匹狼マンをよける。


だが目標を失った一匹狼マンはそのまま足の踏み場の無い所へ行ってしまっていた。

考える暇も無く体が傾く・・!

重力に引っ張られる・・・!


「ガルっ・・・!!!」


「しまっ・・・。」


友情マンは言い切る前に一匹狼マンのほうへ手を伸ばした。

それとほぼ同時にとなりにいたラッキーマンも体ごと腕を伸ばしていた。




「一匹狼マン!!!!!」




その姿は紛れも無く一匹狼マンを助けようとしている姿だった。


友情マンと一緒にラッキーマンも一匹狼マンの腕を掴む。


一匹狼マンは驚いた。




が驚ききる暇も無く3人は谷底目掛けて落ちていった。





「ああ!!」


「師匠ーーーーーーーーーーーーー!!!!!!」


























ほんと・・・馬鹿だよね・・・。


「みんなして飛べる事忘れてるんだもんな〜・・・。」

その忘れてた張本人の友情マンが苦笑いしながら語る。


「まあ・・私も兄さん達だけでどうにかなるということも忘れ助けに向かったわけですけども・・・・。」

努力マンも篭りながら言う。






谷底に落ちていった3人。

あまりの落ちるスピードの速さにラッキーマンは途中で気絶していた。

一匹狼マンの腕を掴んだまま・・。

友情マンも一匹狼マンも

もはやこれまでとあきらめていた・・。

と、その時。


フワ!


自分の体が忠に浮いてる!?何故!?


そう思うと下には自分も含め大の男3人を持ち上げている我が弟の姿が。

「努力!?」


「兄さん・・・よく考えたら・・・。

 自分で飛べますよね・・・?」


その言葉に友情マンと一匹狼マンは目が点になっていた。

おまけにその顔は赤かった。

気絶しちゃっているラッキーマンはともかく、

自分たちは何をやっているのだろう・・と・・・。








「フッ・・マヌケだな・・。」

「天才ならもうちょっと綺麗な言い方してくれない・・?」

ついさっきの事を思い出し、おまけに天才マンに適切な言葉を

浴びせられた友情マンは再び顔を赤くしていた・・。


ラッキーマンは気絶したままで努力マンのひざの上を借りて横になっていた。

そんなラッキーマンを一匹狼マンはやるせない表情で見つめていた。


「ねえ・・一匹狼マン・・。別人にもほどがあるだろ?

 だって・・ちゃんとお前を助けようとしたんだぞ?彼は・・。」

友情マンは穏やかに笑いながら一匹狼マンに言い聞かせる。


一匹狼マンは今にも涙を落としそうな表情で叫んだ。


「そんな事解っている・・!!解っているけど・・!!

 お前らにわかるか!!200年もの間暗い谷底に一人きりにされた俺の悲しみが・・!苦しみが・・!!!

人にぬか喜びをさせておいて・・!!裏切って・・!!!

裏切ったくせに・・・・!!なんなんだガル・・・!コイツは・・・・!!

 コイツ・・・・・・・!!!!!」


一匹狼マンの目からは大粒の涙がぼろぼろと流れていた。

みんなには見えないように俯きながら・・。

そんな彼を友情マンはそっと抱き寄せる。

そして優しく髪を撫でた・・。


「もういいじゃない・・。彼は彼だよ・・・。

たとえば本当に彼が遠い昔の彼と同一人物だったとしても・・。

もう今の彼を見てあげようよ・・。

人は変わっていくんだ・・。

いい方向にも・・悪い方向にも・・

彼は確実にいい方向に変わった・・。

そう思えばいいじゃないか。

もうお前を仲間と慕い、崖から落ちそうにでもなれば

助けようとしてくれる彼がいる・・。



それに・・僕が・・・



友達がいるでしょ?」


一匹狼マンはハッとなって友情マンの顔を見上げた。

すると友情マンはにっこりと笑った。




「君はもう一人じゃないんだよ。」



もう一匹狼マンの涙は止まらなかった。

でもそれは悲しみの涙じゃない・・

喜びの涙だった。

一匹狼マンは友情マンの胸に顔をうずめ只ひたすら泣いていた。

今まで我慢してきたものが一気にあふれ出たかのように。


その様子を天才マンや努力マンは穏やかに眺めていた。

聖・ラマンはもらい泣きまでしていた。


そして気絶していたはずのラッキーマンも努力マンのひざの上で

目をつぶったまま穏やかに笑っていた・・・。













「で、結局宝は見つかったのか?」


最初、宝探しを開始した地点で勝利マンが遅れて戻ってきたラッキーマンたちに問う。

それは同時に「こちらはさっぱりだった」という意味も表していた。

勝利マンだけじゃなくその場に戻ってきていた全員がこちらの結果を気にしていた。


「ふふふ・・ジャジャーン!!見つけたに決まってんでしょーーー!!」

ラッキーマンが見つけた金銀財宝がつまった袋をみんなの前に差し出した。


「よっしゃーーーーーーー!!!!!さっすがラッキーマーン!!!」

と、皆が一斉に飛びはね喜んだ。

「ラッキーマンなら絶対見つけてくるって思ってたっス!」

と、ナイスマン。

「てゆうか、最初からラッキーマンに探させた方が早かったんじゃないか?」

と、ごもっともな事を言うスペードマン。

「ひどーい。こんなただっぴろい星で僕一人に探させようって言うのー?」 

すねるラッキーマンを見て皆が豪快に笑った。



「まあまあ、友達皆で探す事に意義があるんじゃないか。ね。」

「ガル。」


どことなくだけど、前よりも友情マンと一匹狼マンの仲が良くなってる気がした。

一匹狼マンの表情は何処となく穏やかだった。


そんな二人を見ながらラッキーマンは考え事をしていた。

『今回、胸のマークはちゃんと大吉だったのになんであんな散々な目に

 あわなきゃいけなかったんだか・・・・。

 でも・・これで一匹狼マンも長かった苦しみから解放されたんだろうし、

 友情マンともさらに仲良くなれたみたいだし。

 そういう意味ではラッキーなのかな。

 つーかそう思わなきゃやってらんないよ。もうっ。』

 そう考え事をしている所に一匹狼マンがやってきた。

「ラッキーマン・・。」

「え!?一匹狼マン・・何?」

ラッキーマンはもう大丈夫だと思いつつも体が勝手にビクッとした反応をとってしまっていた。

だがすぐにその警戒心は解かれることになる・・。


「・・すまなかったガル・・。」


「あ・・。」


「お前・・いい奴みたいだから・・もう、それでいいガル。」


そう言うとすぐに一匹狼マンは友情マンの元へ戻っていった

どことなく照れているといった感じだった。


ラッキーマンもそんな彼を見送りながら微笑んでいた。





「うん、ラッキーなんだよ。うん。」



運命の悪戯で二人の間に生まれてしまったわだかまりも、

消えた日にはそれもまた二人の友情の証・・・。
















後日談・・・・。



「みんなしてわしを仲間はずれにしてさ・・ひどいよな〜。」

この受話器を持ちながらふてくされてるじい様はご存知ヒーロー協会会長である。

受話器の向こうでは友情マンが苦笑いしながら会長に謝っている。

「すみません会長っ人数が合わなかったもので〜。」

「だーっでもひどーい!罰としてその見つけたお宝ぜーんぶわしのもんだからねー!?」

ふてくされモードから一気にどんでんがいえしにとんでもない事を言い出す会長であった。

「ええええええ!?そんなーー!!!」

「なに、お前だってヒーロー協会の経済状況のことは知っているだろう。それに充てるんだ、文句あるまい?」

そう言われては納得せざる得ない。

たしかにヒーロー協会は、これでよくやっていけてるなと思うほどの大赤字なのだから。

「わ・・わかりました・・。そのかわり、私情で使ったりでもしたらゆるしませんからね?

 もー・・皆になんて言ったらいいんだか・・。」

「わかってるわかってる。それじゃあねー。」

のんきに受話器を戻す会長。

この段階では彼もちゃんと金銀財宝を借金の返済に充てるつもりだったのだ。

だが彼の後ろで電話の内容を聞いていた秘書のひしょ香ちゃんがそうはさせてくれなかった。



「ひしょひしょひしょ。」

「え?なに?そのお金で宇宙一周旅行行かせてください。そのかわりお仕事がんばりますから?

 うんわかった〜ひしょ香ちゃんの頼みなら何でも聞いてあげちゃう〜♪」


かくして、金銀財宝をお金に換えたそれの10分の9はひしょ香ちゃんの宇宙旅行に使われた。

それがばれた日には会長は16ヒーロー全員に滅多打ちにされることになる。


その日はまあ、もう少し先のお話・・・・。









END










くろん「オワッタ―ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!」
友情「なんなんだい!いきなり!」
くろん「だってこの話すっごい長いんだもん!疲れたよ!!!マジで!!!」
ラキ「確かに最高記録だよね。つーか1,2,3とか分けなよお。」
くろん「いやだ!めんどくさい!」
ラキ「じゃあ書かないでよこんなの!僕がどんだけ死ぬ思いだったか・・!」
友情「こんなのとはなんだ!こんなのとは!美しい友情物じゃないか!ね!一匹狼マン!」
一匹狼「ガル。」
ラキ「自分で言わないでよー!つーかね、そだね、友狼前線だったね何気に。」
くろん「つーか既にそのつもり。」
一匹狼「ガル!?」
友情「そんなやましい関係ではない!!僕らの関係は美しき「友情」なのだ!!」
一匹狼「う・・ガル。」
ラキ「あー、一匹ちゃんががっかりしてるー。」
くろん「まだこの二人の関係は掴みきれてないんだけどね、こっちとしても・・」(汗




くろん「このお話は「いつか書いてみたいな〜」と思ってたお話ですね。
    つーか本編で一匹狼マンの過去の元祖ラッキーマンに関して何にも触れないもんだからずっと気になってたんですよね〜。
    ガモウさんが忘れてんだかあえて触れないでいるんだか謎だったけど、やっぱちゃんとした話にしてみたいな〜ってね。
    もう一つあるんですよね。本編で出てきた謎のままになってる部分ってものが。
    そっちの方も機会があれば小説にしたいですね。
    しかしネタがネタなだけに創作の難易度が凄い高かった・・。・・(汗
    正直作る前ちゃんとできるかな〜って思ってました。完成してめっちゃ嬉しい!!(おい
    と、言っても・・ちゃんとまとまってましたかね〜?
    何気に結果的にラキと一匹狼の、そして友情と一匹狼の友情物になりましたな。でもって友狼的?
    今回脇役の皆さんがいっぱい出てきましたが・・みんな話しかたがイマイチつかめないです〜。(汗
    NAINAIのみなさんの雑談とかをうまく書ける方はほんとうらやましい・・。」
    



2006・12・1


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