構音障害 言語リハビリ

術後3年経過して初めて行う、少し遅すぎる言語のリハビリについてです。

1回目 (A)
 
 初めてのリハビリですので、まず私がどの程度話せているのかの事前確認をしました。STの先生は、50代と20代の女性でした。
若い先生で取り合えずラッキーかなという感じでした。
男の怖い先生とスパルタなリハビリでは、先が思いやられますからね。
まずはランダムに並んだ五十音を読み、それをテープレコーダーとホームビデオで撮影しました。ビデオは私の口元を主に撮り話し方を見ていました。
また同時に5人の学生さんとST(言語聴覚士)2名の方も同席して、私が話した言葉をどれだけ分かったかテスト形式で確認してもらいました。
後日その評価、平均何個ぐらい私の話した語を理解したか集計してくれるそうです。



2回目(A)
前回のテストの結果はまだ教えてくれませんでしたが、話しにくい言葉が「カ」行だという事を言われました。
まあそれは自分でも当然自覚していました。
そこで「か」行を話せるように、今入れている装具(入れ歯)を改良してもうらおうという事になり、歯医者(医師)さんに今の装具へ新しくプラスティックを付け足してもらいました。
とは言っても今の装具のどこをどう改良すれば「か」行が話せるかなんていう事は誰にもわかりません。
いわゆるカット&トライで試すしかありませんので、とりあえず私のリクエストで喉の奥側に新しくプラスティックを盛ってもらいました。
そうすると喉の奥が装具と多少あたるようになり、その接触で上手くすれば「か」行が出るかもしれないという事で試してみました。
当然すぐには効果はでませんので、新しい装具に慣れながら自分で「か」行を出せるようになるか今から模索を始めて行きます。
新しい装具の感触ですが、たいてい新しくすると慣れるまで違和感を感じます。今回もそうです。
喉奥ぎりぎりまで、装具が迫っているので嘔吐反射がでそうな感じで少し圧迫感のある感じです。
いつもなら先生に装具へ盛るプラスティックの量を減らして貰うようにお願いするのですが、今回は話が早く上手くなれるように続行でお願いしました。最近の社会復帰へのあせりから、少しの嘔吐反射は我慢する事に決断しました。
とりあえず応急的なお試しなので、どうしても無理な時は新しく付け足した部分を自分でも手で簡単に取り外せるような物で作ってもらってます。
比較的弾力性のあるプラスティックのような素材だそうです。
その後1週間もすれば喉の違和感もだいぶ和らぎ、あまり気にならなくなりました。「か」行は特に上達はしていませんが、喉の奥のスペースが狭まり飲み込む時の圧力が増して以外に物を食べ易くなりました。
これから新しい装具で自分なりに話方を模索しながら勉強していきたいと思います。
そしてもう一つの方法として今喉や首が手術後の影響でガチガチに硬いので、それをもう少し柔らかくなるようにマッサージをする方法です。
首や顎が柔らかくなれば、舌(皮弁)が少しでも動くようになり、そしてなんとかそれが「か」の発音に近づくかもしれないと言う事でした。
マッサージはとにかく手で揉む事らしいです。
今思えば術後半年程は、首の外科手術の傷口が治らずあまり触れるような状態ではありませんでした。
そしてさらに数ヶ月後、又首を開いて組織検査をしてまた数ヶ月間傷口が治らなかったので今まで触る週間がありませんでした。
術後3年半そのまま放置していたので、余計に硬いようです。
少しでも柔らかくなるように、自分流マッサージを頑張りたいと思います。



3回目 (B)

 今回は別の病院でボランティアでSTの先生が見てくれるとの情報があり行ってみました。このSTの先生は、60歳過ぎくらいの女性の方でした。
若くはありませんが、流石ベテランというような実績を感じるSTの先生でした。
今までも医者やSTの人と話し方について、話をしますが大抵は私が舌の全摘と言う事もあり話せないという事が前提的な感じでした。
話し方を教えて貰うどころか、今が良くその状態で話せますね。とかどうしましょうかね。と言ったその場しのぎの話がほとんどでした。
でも今回のSTの先生は、日本語や五十音それぞれについてどのような口の動きをして話しているのか図に描きながら分かり易く教えてくれました。
流石経験のある人は違うなと言う感じでした。
日本語の言葉、五十音は全て最後が母音で終わる「アイウエオ」行の言葉なんですね。
ですから基本の「あいうえお」に不明瞭な音があると、その行の音は全部聞きづらくなるという事でした。
言われてみればそうですが、なるほどと思いました。
そして自分の聞きずらい音は今まで「え」だと思っていましたが、実は「お」だと言う事も教えてくれました。
私の話は「あ」と「お」の音は基本的に同じで、どうやって私が今「あ」と「お」の音をごまかして話しているかは、音程の違いで出しているという事を教えてもらいました。
つまり基本的に限りなく「あ」の話し方であり、音程を低くして「お」にしているというという事でした。
なるほど、言われてみればそうだなと・・・思いました。
そして驚いたのは、今「あ」と「お」の区別が付きにくい原因は、装具にある事も教えてくれました。「あ」「お」はその発音の仕方で、口の中を大きくした状態(舌を引っ込めた状態)で発生する音だそうです。「お」は最後唇を細める事で「あ」との音の違いを出しているとの事です。
ですから私の口にはいつも装具があるので、口の中が広い状態で息がスーっと通り抜けるような道がない為音がこもってしまい、「あ」と「お」の区別がつきにくいとの事でした。ですから確かに装具を外すと「あ」「お」の音の違いがはっきりとわかるようになりました。
今まではとりあえず装具を大きくすればなんとかなるの考え方でしたので、ある意味逆転的な発想に驚かされました。
とはいえ装具で話し易くなる言葉もありますので、今後の装具の改良の仕方についてとってもいいヒントを教えてもらいました。
装具はただ盛ればいいという事ではなく、今の装具を削る事も検討しなければいけない事を教えて頂きました。
リハビリには決まった方法がないのでSTの先生それぞれ、自分の経験と考え方の違いで色々なやり方を教えてくれるんだなと、関心しました。



4回目 (A)
前回の1回目で行ったテスト:五十音表をランダムに話して皆がどれくらい理解してくれるか聞き取ってくれたテストです。その結果を教えてもらいました。
その時協力していただいたのは、確か歯医者さんの卵の方達5人でした。
まだ、私のような障害者にあまり接した事のない学生さん達でしたので、実際にそぐった結果が出たのではないかなと思います。結果はSTの分は省いてあります。
当然結果が良くなってしまいますので。
結果、補綴物(装具)のない時は、15%の正答率で、補綴物(装具)を付けた時は、20%の正答率でした。
ですから単純に私が話している言葉は1/5以下でしか皆さん理解出来ていないという事ですね。
でも個人差も結構ありました。
正答率が50%ある人もいれば、10%以下の人もいました。これが、話をしていて私の話を全く理解出来ない人の典型的な例なんだなと、納得しました。
今回のテストの結果は、それぞれの言葉が(「あ」、「か」等)どの程度正解したのか、どの言葉と間違われたのか、こごの回答者がどんなふうに各音を聞いたのかが、細かくまとめられていました。
自分のどんな言葉が聞ずらいのか認識するには、大変役たちました。

また、どんな言葉と聞き間違えたかを良く見てみると、私の言葉を良く理解してくれる方は、子音は間違えても、母音は理解してくれているのが良くわかりました。
つまり「ぱ」を「ま」と聞き間違えているんですね。
そういう方は、たとえ子音「は行」と「ま行」を聞き間違えていても文章を聞いているうちに、聞き間違えた言葉を修正して理解してくれているんだと思います。
「ぱ」を「て」と聞き間違えた方は、多分文章を修正するのが難しいと思います。
そして母音「あ、い、う、え、お」をどれだけ聞き分けられるかが、私の話す言葉全てに対する理解度と一致するという事もわかりました。
つまり、正答率50%の方は、母音は5個全て理解してくれました。正答率10%の方は、母音が全く分からない人や「え」1語のみ分かった人などでした。
全部の言葉に使われる母音というのは、本当に大事な言葉である事が再認識出来ました。
話すときは、やっぱり母音がわかるように、言葉の最後「母音」を印象付けて話す事が大切だと感じました。

そして、今回のテストでもう一つ分かった事は、装具を付ける事で、やはり音のバリエーションが増えるという事でした。
装具がない時は、「両唇音 ぱ・び」と「歯音・歯茎音 つ・り」しか聞き取られていませんでした。
それが装具を付けると、「歯茎硬口蓋音 しっ・ちっ」「硬口蓋音 や・ひ」「軟口蓋音 か・ぎ」等の音を幅広く感じ取ってくれるようになりました。
それでも、正答率は20%なので完全に言葉が一致するという事には程遠いですが、文章で言葉を推測するうえでは、もしかしたらこの言葉?と感じ取ってくれる可能性は非常に高くなるという期待(他人まかせですが)を持てるという事が分かりました。

正答率だけでは15%から20%ですので、装具の威力はあまりたいした効果がないように思えますが、細かいデータを見ると様々な事がわかりました。
そしてなんといってもビックリしたのは、人間の理解力・推測力・考察力です。たとえ言葉一つ一つは20%以下の正答率でも、文章にすればその数倍の確率で理解力も上がるという事の驚きでした。
今回は文章でのデータはありませんが、普段の会話の感じで皆さんの理解力はだいたいわかります。
今回のテストで15%程度の正答率だと認識し、改めて回りの皆さんがどれだけ苦労して私の話を毎日聞いてくれてそして理解しようと努力してくれているかという事に感謝しています。
携帯電話の予測変換機能ではありませんが、皆さんの頭の中ではあれの数倍の処理能力で、私の言葉を解析してくれていたんですね。

舌が全くありませんので、正答率15%といのは当然の数字だと思いますがそれでもある程度普通(本人は)に社会生活が送れているという事は、人間の環境適応能力は凄い事だと思いました。
ここの掲示板やメールでお話させて頂く皆さんは、正答率が80%前後ある方がほとんどのようですので、あまり見た目の変化が少ないかもしれません。私のように極端に悪いデータですと目だって色々見えてくるのかもしれません。皆さんのデータの背景にも細かい所で私と同じような事が現れているのかもしれませんね。

これから、もう少しデータをながめて、今の装具の良い部分、悪い部分、人の聞き取り方等を分析して今後装具の改良検討や、会話のテクニックに役立てようと思います。
言葉の障害をお持ちの方で、まだ100音テストをされた事がない方は、ST先生のいるリハビリ科で是非チャレンジしてみられてはいかがでしょうか。
正答率を見て満足したりがっかりするのではなく、これからの自分の会話の上達への材料として是非お勧め致します。

そして今回は新しい装具用に、型取りも行いました。
今の装具は安全パイでとりあえず残し、次回からはその新しい装具でいろいろな形にチャレンジしていこうという事になっています。
装具を作ってくれる先生(歯医者)は、若い血液型O型の勢いのある女医さんなので、かなり大胆な装具になりそうで楽しみ?です。



1回目(A病院):2007年9月
2回目(A病院):2007年10月
3回目(B病院):2007年10月
4回目(A病院):2007年10月
5回目(B病院):2007年11月
6回目(A病院):2007年12月
7回目(B病院):2007年12月