2005/9月:記)
経済時評 (9) 貧乏神が固執する”郵 政の民営化”待ったなしの石油価格高騰

日本経済が スタグフレーションで危機的状況に至るの可 能性のあったこの時期(2003年〜2005年)ですが、大きなダメージもなく順調に過ぎようとしています。数年 前の金融証券市場の絶望的な低迷か ら、日銀も過剰な流動性を確保し、経済活性化を促進する姿勢を継続 し、ようやく2005年 から多少その効果が現れはじめたと見るべきでしょう。この好況感は 構造改革による回復ではなく、一部 の情報関連や、自動車や、中国など海外の市場による回復です。日銀金 利政策の限界も見えましたが、とにかく問題意識を持って集中的に対処した結果、経済の 失 調が回避されたことは幸いでした。
インターネットによる経済活動の情報化は、 社会に大きな変化をもたらしました。在庫圧縮によ る需要減衰効果、消費経済のネット化、現金レス決済による貨幣機能の 低下、また、一方で脆弱な事業にリスクが集中発生し社会の不安定要因も増加させまし た。 以 前アメリカの情報化が有り余るマネーの回転効率を上げインフレを回 避したのとは対象的に、日本ではブロードバ ンドによる情報の高速化が、その影の部分では不良債権の発生やデフレーター的役割を果たしました。(不況時の情 報化のパラドックス)

景気回復の メカニズムは、財政難により公共事業先導型 から外需と民間市場型へと変わりました。経済活動のインターネット化の大き な特徴は、いわゆる過去の市場という 概念が全く通用しないことです。 必 要に応じて企業の運営が効率よく行わ れ、流通や在庫投資の役割は最小限のものに最適化されます。データに よる決済や在庫調整が的確に制御され、ボトルネックの全般的なインフレは発生しませ ん。 先進的領域での経済効率は高まるけれども全体の需要超過につながらない特徴を持っています。また、経済活動の波行現象も少なく、内外要因により経済指 標がはっきりと変化を示すまでには大変長い 時間がかかります。
一方データがある制御レベルを超え、局所的 な過剰流動性が他の非効率分野まで及ぶ場合は、通 常コントロールを超えて在庫投資や設備投資の急激な増加に発展して行 きます。実データの制御から市場の心理への転換が起き、やがて社会全体にインフレシグ ナ ルが現れます。 ブロードバンドの普及と伴に、経済の情報伝達速度も高ま りました。一国のインフレは瞬く間に世界に 影響します。景気回復といわれる現在、若年層フリーターの増加、激しさを増 すリストラ、サービス残業、等々、人 々の置かれている環境は経済回復とは程遠いものです。

現在最も重 要な課題は、遅れている政府行政部門の規制 緩和、古い法律制度の廃止、社会的人為的負荷の軽減などマイナス要因を全て 除去することです。 しかしながら為政者は根拠の定かでない”郵政の民営 化”に執拗なこだわりを見せています。” 目や唇細く、縮れ髪の貧乏神”。日本が豊かになるためには貧乏神と決別しなければなりません。選挙が人気投票であって も将来へ の期待に答えるべく新しい政党に比例投票の一票を投じてほしいも のです。あなたの国の将来が かかっています。 失われた国富、年金、財政赤字を 回復させることはそう簡 単にできるのでしょうか?その責任にちゃんと応えられる者が一国の代表者となるべきです。 もっ と自由な社会、規制によらず自律した社会、効率の良い行政府の実現に向けて努力する人を選びたいものです。

さて、ヘッ ジファンドや投機筋が狙っている原油価格で すが、市場は近い将来1バ レ ル100 ルまで高騰する可能 性があります。 産油国 の供給能力には一定の限界があり、過剰生産による価 格下落は期待できません。またヘッジファンドの投機資金も大きく100日 単位の備蓄量の放出では焼け石に水です。年末はさらに原油高を見込んだ仮需が発生しスパイラルな高騰 へ 進みます。国際通貨としてのドルは、赤字を生じながらもアメリカ国外に決済通貨として供給しバランスを維持し続けることも可能ですが、 原 油高騰は産油国に富が集中するため、徐々にドルの価値も下落して行きます。年内にドル下落 → 金利の上昇→債権金融市場混乱→経済財政再建の大きな障害へと拡大するでしょう。1000兆 円に近い国の借金が返済不能になる可能性がでてきます。同時に豊かさを伴わない忍び寄るインフレの進 行 が始まります。

テロや国防 の問題以外にも難問は山積しています。一体 何の為に税金を徴収しているか目的や税源問題も相変らず曖昧です。一般税は 経済対策や自治福祉の為に、富裕税は 国防や外交の為に、消費税は所得再配分の為に、等々の徴税根拠を納税 者に明確にすべきです。予算が妥当性を欠く場合は当然納税者に返還する義務があるので は ないでしょうか。財政投融資も海外援助金の根拠も全てが暗闇の中にあるかもしれません。やがて大きな清算をしなければなりません。2005年末にはその前兆が見えてきます。悪化 し た経済環境下では消費税引き上げや郵政の構造改革そのものがその引き金になる可能性があるのです。

 




2005/12月:記)
経済時評 (10)団塊という不適切な表現
ある評論家が“団塊の世代”という言葉を作り戦後を支えた世代の呼び名として使われてきました。この“団塊”の表現には適切さを 欠き、以前から私自身不快な思いを抱いてきました。戦後の昭和22年〜24年までの3年間に出生数のピークを迎えた人達をいう言葉ですが、現代の少子化か らは全く違った時代背景にありました。
“団塊”に生を受けた世代はやがて小学校の午前、午後の2部制に始まり、その後の中学、高校でも卒業の後に体育館やプールが出来るといった具合で、社会の インフラや制度の問題に直面することはあっても恩恵をそのまま受けることは少なかった世代です。政府は卒業後の就職難の
経済対策として高度成長路 線を取り入れましたが、その反動も大きく、石油ショックの影響もあり長い間 不況が続きました。その後、産業構造の高度化への転換、海外輸出へのシフト、日本は戦 後の人口増加に支えられ未曾有の経済拡大が続くことになりました。社会の変革、経済の高度化、“3種の神器”など生活水準向上への努力、団塊の世代は制度 改革や経済活動の下支えをする位置にあって、激しい競争原理の中、戦後の経済発展の原動力として働きましたが、その成果は日本の年功序列により、団塊世代 の前の世代(5〜10年前)が享 受してきました。年金や所得の原資はむしろ団塊 世代が大半を作っていました。
日本型社会では人口構成とヒエラルキー(階層)が混同されて、このことが一般的には“団塊”という言葉に”便乗主義”とか”無責任主義”とかの偏見に結び ついているのです。しかしながら事実は全く逆で、働き蜂や群生相のバッタように過重な競争の中で戦後の経済発展を成し遂げ、支え続けててきましたが、その 成果の多くはいつも前の世代に譲ってしまったというのが本当の姿なのです。
これから2007年に始まる大定年時代に、年金、消費税、医療制度改革等、また多くの変革の最中にさらされることになっるでしょう。残念ながら競争過剰世 代は寿命も短命の可能性があり、今後予想外の社会変化となるかもしれません。
“団塊“と蔑視の表現は適切さを欠き、問題があるように思います。大衆が好むのはシニカルな表現なのでしょうか。初めに”団塊“と呼んだ人の責任も大きい と思います。(言葉で得したのは彼だけでしょう

 
大定年時代はどのような時代になるのでしょうか。産出面の減少から日本経済のGDPは最終的に現在水準から10%程度低下するように思われます。維持する ためには、安定的な外国人労働者の受け入れ、ロボットなど省力化、省エネルギーなどが重要でしょう。消費構造は高齢化で一変しますが全体はそれほど減少せ ず、その分長期的には貯蓄率が減少し、サービス経済の比重が高まります。
郵貯の民営化や
金融資産の海外へのシフトも あり、国債受入れ消化率低下、長期利率の上 昇、金融収支の悪化、長期円安、国内経済萎縮、といった循環に入ります。日銀は公定歩合を上げざるを得なくなります。国の700兆円の債務は、金利が1%上がれば7兆円、2%上がれば 14兆円が利払い増加で消えます。国家経済 の最大のリスクは、平価、為替の急変です。タイムリミットは既に来ているかもしれません。これ以上国債発行残高を増やさ ないためには、国債発行予算の30兆を主に消費税や他の税収でまかなわなけ ればなりません。また日本GDPが500兆 と仮定すれば、その内400兆が消費として、10%の消費税は40兆円、5%アップは20兆円増加です。経済の活性化を維持するためには消費税 を10%以内に留めなければなりません。それでも10兆円の歳出カットをしなければ30兆の達成は困難です。”福祉目的税”の言葉は虚言であることが明確 となるでしょ う。また今の日本で経済にダメージを与える 災害が起きれば経済基盤は崩れるでしょう。大定年時代を迎える日本の目標は、現在の国債発行残高をGDPの金額(500兆円)以下までに抑えることです。 海外援助やODAはもう廃止か半減すべきでしょう。 税収の限界は50兆円です。消費税は10%が限界です。これ以上徴収しても結果的に失敗します。50年後の次の世代へ 将来を渡す責任があるのではないでしょうか。もう責任転化やごまかしは許されません。 “団塊世代”という不適切な表現でなく、せめて“戦後世代”に変え時代を正しく認識して欲しいと思います。
 
 


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