Datsuns + The Sights

03年3月27日(木)リーズ・パレス


 日本にいる時はそんなこと滅多にしなかったけれど、(シドニーもそうだったけれど)トロントではチケット代がとにかく安いのでよく知らないアーティストでもライヴに行ける気軽さが嬉しい。この日のDatsunsもたったの16.5カナダ・ドル(約1,300円)だし。
 ただ、そのせいで気安く来るファンではない客が多いせいか、バーが充実しているクラブだと単に酒飲みながらのんびり音楽聴きたいだけの人が多いのか、はたまたそれがトロント気質なのか、どうもトロントの客は盛り上がりに欠ける傾向が。日本の客は大人しいという説もあるけれど必ずしもそうとは思えないなぁ(やっぱり金がかかるだけに気合が入る?)。
 この日のショウはソールド・アウトだったけれど、いざDatsunsがステージに上がっても曲間には拍手や歓声は起こるものの演奏中の反応はどうも鈍い。最初は後ろで見ていたけれど周囲の盛り上がらなさ加減がどうも居心地悪くて前方へ移動したら、さすがにそこはちゃんと盛り上がっていたけれど。

 それにしてもこのバンドはとにかく熱い!トロントに来てから大御所・ロートル・中堅バンドのライヴばかり相次いでいたし、こんなに若くてハングリー(貧乏ともいう)でギラギラしてるバンドを見たのは一体いつ以来だろう?
 曲はDeep Purple、AC/DC、Motorhead、Thin Lizzyといったバンドを思わせるもろに70年代風ハード・ロック(1曲目はCheap Trick"Hello There"という嬉しい選曲!)で、ガレージ・ロックに分類されてるのは単にそう呼んだ方が今は売りやすいから?音楽といい狭いステージ上、いや時に勢い余って客席に飛び込んで楽器をかきむしるメンバーたちのステージ・アクションといい新しさは無い。けれども、引き合いに出して悪いけれどちょっと前に観たWhitesnakeやDokkenの後ろ向きな姿勢とは丸っきり無縁だし、ノスタルジーもなければ年配ロッカーのトホホさをあえて愛でるというヒネくれた楽しみ方(やっぱりお年寄りには広い心で接しないと、ってか?!)をわざわざする必要もなく、ただただ純粋に気持ちいい。バンドのがむしゃらなパワーは1時間の間衰えることはなく、上り調子の若いバンドならではの新鮮さをたっぷり味わわせてくれた。
 ろくに曲を知らないバンドのライヴをここまで楽しめるなんて滅多にないし、それ以上に、たとえDatsunsがこれから長いこと活躍し続けるとしてもこればっかりは今しか出せないであろうデビューしたばかりの時期の特別な勢いを生で経験できたのは本当に良かった。CDも絶対聴かないと!

 前座のThe SightsはKerrang!に同名のデトロイトのバンドが載ってたけれど、あまりにローカルな雰囲気で本当にそのバンドか同名異バンドかは不明。彼らの可も無く不可も無い60年代風ロックはDatsunsを観た後ではすっかり霞んでしまった。
03年4月6日
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