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■ここでは1996年から現在までの個展を掲載しています。インスタレーションの場合特にその作品の持つ雰囲気を言葉に置き換えるのは不可能なことですが、ここでは出来るだけその<現場>の状況の説明と作品制作の契機に触れることで作品の本質を伝えようと試みてみました。

写真をクリックするとさらに詳しいイメージが現れます。 

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『部屋』1996

1996.11.2-12.1 旧ギャラリーサイト(宮崎市

■『部屋』シリーズの最初の作品。ギャラリーの入口を入ると曲がりくねった細長い廊下が続きその先に「部屋」を写したモノクロ写真でおおわれた第一の部屋がある。その部屋の奥の紡錘形の小さな入り口を入ると一面鏡張りの第二の部屋がある。鏡を背後にして第三の部屋が闇の中から浮かび上がる。ラジオから流れる幽かなノイズと水の流れる音。正面の壁の隙間からは自然の光が差し込み、部屋の片隅の吹き溜まりのような土塊からわずかに産毛のような植物の芽が伸びている。時間によって光が様々に変化してそのつど部屋の装いが一変する。

Untitled 1997

1997.12.20-1998.1.25 ギャラリーサイト(宮崎市

■迷路のような通路を進むと、床・壁・天井が白く塗られた小さな空間に導かれる。天窓から差込む光はごく僅かであり、目が慣れるまでには暫くかかる。正面には柩のような物体がひとつ。左側のタイル貼りの机の上には小さなテレビがのっている。右側には背もたれの長い白い椅子が2客、壁を背にして並んで置いてある。聞こえるのは何も映っていないテレビからの<砂嵐>ーホワイトノイズ。それと自分の足音だけ。

正面のオブジェは函状になっていて、中には砂が入っている。その砂に蒔かれた芝生の種はは時間と共に人の形に発芽してくる。函の内径の大きさは作家の身体と寸分違わない。

Untitled 1999

1999.2.13-3.21 ギャラリーサイト(宮崎市

■『部屋』シリーズの第三作目。部屋に導く通路は奥に行く程狭くなり、ほの暗い部屋の戸口はひと一人入るのがやっとである。中に踏み込むと両壁の明かりが点灯して、始めて部屋の全貌が見え始める。床には荒い砂が敷き詰められ所々小さな小山が築かれている。子供の頃に見た墓場の<土饅頭>の記憶と重なる。部屋には机と椅子、ベッドそしてノイズを発するだけの画像のないテレビ。そのいずれもが赤茶けた錆に覆われている。入り口の側にある壊れた水道の蛇口の下にはどんよりと濁った水溜まりがあって底から鈍い光りを放っている。

床に蒔かれた芝の芽は少しづつ確実に成長していき最終日には床全体を覆い尽くした。

THE BROOKLYN ATTIC

2000.4.8-5.21 BIGHEAD GALLERY (NewYork)

 

■始めにあったのは光の届かない何もない天井がやたらと低い空間。片方の壁を斜に削って窓を開き光を入れた。その空間を『ブルックリンの屋根裏』と名付け、住んでみることにした。最初はベッドと年代物の白黒テレビがあるだけ。小さな立方体のオブジェを増殖させていったら段々快適な空間になっていった。

暗い階段を上がると、さっきまで暗かった部屋の窓から急に明かりが差し込み、ブラウン管がゆっくり発光し始める。ゴーストの合間に聞こえるヒスパニックの笑い声。針のない時計のカチカチという音。ついでに扇風機までもが回りはじめ、急に何だか賑やかになった。

展示期間中、オブジェは増殖し続ける。夜はこのベッドで、寝てシーツの乱れはあえてそのままにした。

ブルックリン、ミヤザキ 2000』

2000.7.10-7.22 ギャラリーグレース(宮崎市

■愛着が出始めたブルックリンの部屋に未練があったのか、この空間に足を踏み入れた時すぐに気付いたのはその大きさの奇妙な一致だった。そこで『ブルックリンの屋根裏』をこの空間に移植させてみようと思った。まず壁を垂木で斜に仕切り、『屋根裏』の写真で壁を飾った。暮すのに必要なベッドもテレビもここには無かったので代わりに『屋根裏』の小さな模型を作り、その中に身代わりとして小さな関節人形を置いた。そして住むかわりに毎日この空間に通ってきて少しづつ壁にオブジェを増殖させていった。

展示期間中、毎日壁のオブジェを増殖させていった。それは最終日の夕方まで続き、最後に破壊して終わった。

THE BROOKLYN ATTIC 2

2000.11.26-2001.4.1 BIGHEAD GALLERY (NewYork)

 

■だんだん肌寒い季節が近づくと木々が色付くようにこの『屋根裏』にも<色>が欲しくなった。『THE BROOKLYN ATTIC』の第2弾である。床を格子状に仕切りその中をアトランダムに色分けした。行灯の明かりのような柔らかい光に包まれてみたくなり割箸と薄葉紙で大きな行灯を作ってみた。その空間の中に身を置くと何だか母親の胎内に居るようで崇高で無垢な気持ちになった。そうすると今度はテレビや時計などの具体的な生活臭がするものが似合わなくなり、空間自体が寺院や教会のように何か求心的なものを探し始めた。

床のグリッドはあらかじめパースペクティブな直線を描いていており、空間の奥行きを強調させた。

『部屋ー日記より

2000.12.15-2001.1.13 ギャラリーイデア (宮崎市

 

■以前住宅だったというその空間には確かにある<気配>があったと思う。いくら壁を塗り替え、畳みを上げても長年住み続けた人の<気配>は消せないものだ。だだ床・壁・天井に仕切られただけの空間なのに<部屋>は覆い尽くせない程の人間の情動を包括してしまう。今回は極めて個人的な所作の産物である<日記>を引用してこの部屋の過去の住人に対してのオマージュとした。

コンクリートの床には消失点の異なる複数のパースペクティブな直線が交差し、そのグリッドは金や銀のメタリックな塗料で施されている。割箸と薄葉紙で作られた空間の仕切からは柔らかく仄かな灯りが暗い室内を照らしている。<壁行灯>には様々な人々の様々な時代の<日記>が無数に無作為に張り付けられている。

THE BROOKLYN ATTIC 3

2001.4.21-4.22 BIGHEAR GALLERY (NewYork)

 

■『THE BROOKLYN ATTIC』シリーズの最後の個展。前展に対して構造的には同じだが今回の作品は前作の連続線の延長には無い。作品の完成度といった点からみればやや不満も残るが自分にとって異なる次元からの視座を獲得する契機になった。

壁は金と銀の紙で覆い尽くされ壁と床に人形(ひとがた)が現われる。

この作品が一般公開されたのはわずか2日間、時間にして10時間だけだった。

 

KONJAK HOUSE PROJECT 2001

2001.8.26-9.2 朋雲山居(福島県いわき市)

 

■野外展『田人の森に遊ぶ』への出品作品。古い農家の蒟蒻室(蒟蒻芋の防寒保存小屋)でのインスタレーション。一丈四方の空間を茶室に見立ててそこに新たな草庵を作り出した。空間構成は煤竹や燻された蒟蒻函など以前からそこにあった物を利用することに努めた。

小さな障子戸を開けると細竹の敷かれた一間程の廊下の先に薄暗い部屋がある。金色に輝く砂利敷の床の中央に切られた炉から光が放つ。よく見ると炉の底の土から繊毛のような草の芽が一斉に光りに向かって伸び始めている。空間の一方には畳が敷かれ、対する壁は全体が行灯になってほのかな光りで満ちている。部屋の角には小さな土人形がうずくまる様に置かれ、秒針だけの時計からは幽かにしかし確実に時を刻む音が聞こえる。

KONJAK HOUSE PROJECT 2002/KAWADAIRA

2002.5.17-6.16 ギャラリー昨明・前庭(福島県いわき市

 

■田人の地でのプロジェクト「蒟蒻ハウスプロジェクト」の第2弾。ダム建設に伴い移転を余儀なくされた土地「川平」。その土地の持つ記憶を辿り、かつて集落があった場所に「蒟蒻室」を建てた。「室」は四体の<うずくまる人>によって支えられ、室の中央には"湧泉池"をもうけた。さらに200個の蒟蒻玉のオブジェが天井から吊された。壁の一面にはこの土地にまつわる伝説や民話を<壁行灯>に貼り、蒟蒻糊で固めた。床に敷かれた砂利の間からは植物の幼芽が伸び、"池"からは絶え間なく水音が聞こえる。約1ヶ月の展示期間の後この室は解体された。

このプロジェクトの詳細はこちらまで

KONJAK HOUSE PROJECT 2002/TABIUDO

2002.8.24-9.1 おふくろの宿・水車小屋横(福島県いわき市)

 

■「蒟蒻ハウスプロジェクト」の第3弾。今回は野外グループ展『田人の森に遊ぶ/2002』の中での展示。「川平」に建てた"蒟蒻室"を水車小屋の横に再構築する。この土地「旅人(たびゅうど)」に伝わる「胡麻を作ってはいけない。」という伝説にインスピレーションを受け制作する。池の中の小島に建てられた室の屋根には大きく手をひろげた等身大の人形が載せられ、池の中に架けられた橋を渡って来る人を迎える。水車小屋に面して設けられた小さな入口を入ると真っ白い空間の中には<うずくまる人>が天窓の下に吊されている。真下には16本の蒟蒻。正面の壁には「蒟蒻を作ってはいけない」「胡麻を作りなさい」の文字。今回も約1週間の展示後、この室は解体された。

THE ROOM 2002/TAIRA

世界は閉ざされた部屋の中で宙吊りにされている

2002.10.3-10.27 平アートサロン(福島県いわき市)

 

■グループ展「平アートさんぽ」出品作品。場所は商店街の中の空き店舗で周辺には大正から昭和初期に作られた古い建物が点在する。その空き店舗につくられた<アートサロン>の2F。暫く使われてなかった廃店舗の一角をパネルで仕切って細長い部屋を作った。

小さなドアを開け一畳にも満たない暗い空間の隅のさらに狭い隙間から「部屋」に入る。「部屋」の奥のTVが突然光を放ち、ベッドにすわる<人>、丸いテーブル、壁に掛けられた幾つかの針のない時計、枯れた木のオブジェなどが浮かび上がる。TVからは絶え間ないホワイトノイズ。小さく開けられた西側の窓からの光が砂に覆われた「部屋」の凍りついたモノ達ををゆっくり撫でながら移動していく。

BARRACK 2003

2003.4.12-5.18 いわき市立美術館(福島県いわき市)

■<NEW ART SCENE IN IWAKI >(いわき市立美術館企画)に於ける美術館のロビーでのインスタレーション作品。錆びたトタンに覆われた「バラック」を1Fのロビーいっぱいに建てる。

エントランスホールには粗末なトタンの小屋が壁に寄りかかるように建ち、トタンはボロボロに錆びついている。中には錆びついた<うずくまる人>の像がある。小屋を通り抜けた先には大きな「バッラック」。軒下には足を投げ出した<人>。小屋を回り込んだところにある入り口を入ると薄暗い室内にはやはり<うずくまる人>の像があり、その像が見据える先に”明るい部屋”がある。光に導かれるままその部屋に入ると、中央に白いタイルのテーブルがある。それは人型に穿たれ、その形状に沿って植物が萌芽する。部屋の隅には白い椅子。もう一方の隅には<白い人>がテーブルの人型を見守る様に佇んでいる。

TEXT

(うつ)の家 2004

2004.8.8-8.15 福島県いわき市田人町旅人

■今年3回目になる「田人の森に遊ぶ/2004」への出品作品。今回は主催者のY宅に隣接する栗林の中での展示となる。「空(うつ)の家」とは何もない空っぽの家という意味。竹材をドーム状に組み和紙と粘土で覆う。屈まなければ入れない狭い通路を抜け内部に至る。その地面は全体に少し掘り下げられ、中央には石で囲まれた窪みがある。そこには膝を抱えて横たわる等身大の人形が半ば土に埋もれて置かれている。天井部を覆う和紙が外部の光を控えめに取り込む。

「空の家」とは始まりの空間である。

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