数の単位


 江戸時代の数学者、吉田光由は、1627年に 「塵劫記(じんこうき)」 という書物を著しています。 この本は当時の数学知識の集大成というべきもので、命数法(数の単位の分類)の説明があります。 「塵劫記」 の命数法は、中国の数学書 「算法統宗」 を参考にしていますが、何度も改訂版が出版され、 版によって命名が異なるため、現在も命数について解説した本などでは、漢字、けた数などが 異なっています。
 以下は、最も一般的と思われる命数です。

数の単位 (大きい単位)
単 位 読み方 指 数 備 考
いち10 0
じゅう10 1
ひゃく10 2
せん10 3
まん10 4(萬)
おく10 8
ちょう10 12
けい10 16「きょう」 とも読む。
がい10 20
( 杼 )じょ10 24 正しい漢字は、(禾+予)。
(禾+市) と書いて、「し」 ともいう。
じょう10 28
こう10 32
澗 (潤)かん10 36
せい10 40
さい10 44
ごく10 48
恒河沙こうがしゃ
(ごうがしゃ)
10 52 (10 56) 恒河 ( ガンジス川 )の無数の砂。
阿僧祇あそうぎ10 56 (10 64) 数えられないこと。
那由他なゆた10 60 (10 72) 「那由多」 とも書く。
不可思議ふかしぎ10 64 (10 80) 常識では理解できない不思議なこと。
無量大数むりょうたいすう10 68 (10 88)


数の単位 (小さい単位) 虚空、清浄は、虚 10-20、空 10-21、 清 10-22、浄 10-23 とするものもある。
単 位 読み方 指 数 備 考
10-1
りん10-2
もう10-3け。
10-4いと。
こつ10-5たちまち。
10-6わずかな。
せん10-7繊維。
しゃ10-8水辺の砂。
じん10-9ちり。
あい10-10ほこり。
びょう10-11かすんでいること。
ばく10-12 ぼんやりしていること。
模糊もこ10-13 あいまいなこと。 「模湖」 とも書く。
逡巡しゅんじゅん10-14 決断がつかないこと。
須臾しゅゆ10-15しばらくの間。
瞬息しゅんそく10-16 まばたきをし、息をする間。
弾指だんし10-17 指の爪の先を親指の腹にあてて、音を立てること。
刹那せつな10-18短い時間。
六徳りっとく10-19 知・仁・聖・義・忠・和。または、礼・仁・信・義・勇・知。
虚空きょくう
(こくう)
10-20 一切が存在する空間。
清浄せいじょう10-21 煩悩や悪行が無く、心身が清らかであること。


■ 「割」 について

 野球などで、打率 0.315 は、「3割1分5厘」 といいます。また、「2割引セール」 などとも使います。 この 「割」 は歩合計算に使う 1/10 のことです。 なお、「9分9厘間違いない」 という場合は、0.99 つまり 99%のことです。また 「5分5分」 は、0.5、0.5 で 50%50%です。

 広辞苑を見てみましょう。

 「割」 ・・・ 10分の1の率。
 「分」 ・・・ 10分の1。
 「厘」 ・・・ 100分の1。

 つまり、○割○分○厘という場合の 「分」 は、「割」 の 1/10、「厘」 は、1/100 ということです。


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関連ファイル

数字のいろいろ
国際単位系 ( SI )



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