算数 (おまけ 2)



おまけ 2
三方一両損

 誰もが1度は聞いたことがある 「三方一両損(さんぽういちりょうぞん)」。
 これは、落語の中のひとつです。


 左官の金太郎が往来で財布を拾った。中には書付けと印形と三両の金が入っている。 書付けから持ち主と所がわかったので、返しに行った。
 落し主は大工の吉五郎。ところが、
「書付けと印形は自分の物だからありがたく受け取るが、金は俺のだという証拠がない。 お前にやるから持って帰ってくれ」
「礼金貰いたさに届けにきたわけじゃねぇ」
「いいから、持って帰れ」
「いや、受け取れねぇ」
と、とうとう殴り合いの喧嘩になる。

 そこへ長屋の大家が止めに入って、金太郎は帰ってくる。
 自分の長屋に戻った金太郎は、自分の大家にこの一件を話す。 わけを聞いた大家は、怒って奉行所へ訴える。

 そしていよいよ、南町奉行大岡越前守様のお裁きになる。
 大岡様は喧嘩をした吉五郎、金太郎、両人の正直を褒め、
「金は奉行が預かり置くがどうだ」 というと、二人は 「そうして下さい」 と素直に従う。
 そこで大岡様は 「改めて、両名に褒美をつかわせるが、どうだ」 というと、 同じく二人は 「ありがたく頂戴いたします」
「ならば、預かった三両に奉行が一両足して四両とし、両名に二両ずつ褒美をつかわそう」
「それなら、いただきます」
「吉五郎は届けられし三両を受け取らず、褒美の二両を受け取り、一両損したことになる。 金太郎も礼としての三両を受け取らず、ただ今褒美として二両受け取り、一両損しておる。 それに、このような騒ぎから、奉行も一両出して損をいたした。三人がそれぞれ、 一両ずつ損をした勘定になる。そこでこの裁きは、三方一両損と申す」
「さすが、大岡様」
というわけで一件落着。

 そのあと、奉行は二人に食事をご馳走し、二人は大喜びで食べた。
奉行は心配して、
「腹も身の内。たんとは食うなよ」
「へぇ、多かぁ(大岡)食わねぇ」
「たった一膳(越前)」



--- 算数 (おまけ 2) ---
2002.10.14 作成



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