13. 忠利公思召 「国の名物・天下の目明し」
 
  妙解院様、妙応院様 御稽古被遊 牛王ニ御血判之御神文被為頂戴候.
 其節 佐渡殿迄曽祖父御断申上候処ニ 妙解院様 御意被遊候ハ 此後 能諷之
 上手ハ可有之候得共 真之能之筋相伝之者 壱人も無之候. 其方迄ニ而候.
  然共 芸者ニ而も無之候間 子孫共ニ至 麁抹ニ致絶可申事御気毒ニ被思召候.
 依之御神文を被為頂戴候間 末々絶無申様ニ 子孫共ニ可申伝候.
  御国の名物 天下之能の眼明しと被思召由 被仰付候事. 「元禄覚書 庄右衛門正智」

 注: 恕斎日録によれば 上は左馬進正辰が細川家に仕官するに当り、主君の
    神文に付き 如何と 松井佐渡守まで問合せたことへの御意であったと言う.