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核兵器禁止条約
――2017年7月7日採択 抜粋仮訳――
(2017.7)

  この条約の締約国は、
 国際連合憲章の諸目的と諸原則の実現に寄与することを決意し、
 核兵器の使用がもたらす破滅的な人道上の影響を深く憂慮し、その結果としての、いかなる状況のもとでも核兵器が再び使われないことを保障する唯一の方法である、そのような兵器を完全に廃棄する必要を認識し、
 偶然、誤算、あるいは意図したいかなる核兵器の爆発からくるものを含め、核兵器が存在し続けることによってもたらされる危険に留意し、これらの危険がすべての人類の安全保障に関わるものであること、またすべての国がいかなる核兵器の使用も防止する責任を共有していることを強調し、
 核兵器の破滅的な影響は、十分に対処できないものであり、国境を越え、人類の生存、環境、社会と経済の発展、世界経済、食料安全保障及び現在と将来の世代の健康に重大な影響を及ぼし、電離放射線の結果がもたらすものを含め、婦女子の健康に途方もない影響を及ぼすことを認識し、
 核軍備撤廃(注)のための倫理上の責務及び最高の地球規模の公共の利益である国家および集団的安全保障の利益に資する核兵器のない世界を達成し、かつ維持することの緊急性を認め、
 核兵器使用の被害者(ヒバクシャ)及び核兵器実験の被害者にもたらされる許容しがたい苦しみと害に留意し、
 核兵器活動の先住民に対する途方もない影響を認識し、
 すべての国がいかなる時も、国際人道法及び国際人権法を含む適用可能な国際法を常に順守する必要があることを再確認し、
 国際人道法の諸原則及び諸規則、とりわけ武力紛争の当事者が戦闘の方法及び手段を選ぶ権利は無制限ではないという原則、区別の規則、無差別攻撃の禁止、攻撃の際の比例性と事前警告の規則、その性質上過度の傷害あるいは無用の苦痛を与える兵器を用いることは禁止されているという規則及び自然環境を保護する規則に立脚し、
 核兵器のいかなる使用も武力紛争に適用可能な国際法の規則、とりわけ国際人道法の原則及び規則に違反するものとなることを考慮し、 
 核兵器のいかなる使用も人道の諸原則及び公共の良心の命ずるところと相反するものになることを再確認し、
 国家は、国際連合憲章に従って、その国際関係において、武力による威嚇または武力の行使は、いかなる国の領土保全または政治的独立に対する、また、国際連合の目的と相反するいかなる方法によるものも、これを慎まなければならないこと、並びに国際の平和及び安全保障の確立及び維持は、世界の人的及び経済的資源の軍備への流用をできるだけなくして促進されるべきことを想起し、
 また、1946年1月24日に採択された国際連合総会の第1号決議およびその後の核兵器の廃絶を求める諸決議を想起し、
 核軍備撤廃の進展が緩慢であること、軍事上及び安全保障上の概念、ドクトリン及び政策において核兵器に依存し続けていること、並びに核兵器システムの生産、維持及び近代化のプログラムに経済的及び人的資源を浪費していることを憂慮し、
 核兵器を法的拘束力をもって禁止することは、核兵器の不可逆的で検証可能かつ透明性のある廃棄を含む、核兵器のない世界の達成及び維持に向けた重要な貢献となることを認識し、この目的に向けて行動することを決意し、
 厳重かつ効果的な国際管理の下での全般的かつ完全な軍備撤廃に向けての効果的な前進を達成することを目指して行動することを決意し、
 厳重かつ効果的な国際管理の下で、あらゆる面における核軍備撤廃に至る交渉を誠実に追求しかつ完結させる義務が存在することを再認識し、
 核兵器の不拡散に関する条約は核軍備撤廃および不拡散体制の根幹として役立っており、その全面かつ効果的な履行は、国際の平和および安全保障の促進において緊要な役割を果たさなければならないことを再認識し、
 核軍備撤廃及び不拡散体制の中核的要素としての包括的核実験禁止条約およびその検証体制の死活的重要性を認識し、
 関係地域の諸国間で自由に締結される取り決めを基礎として、国際的に認められた非核兵器地帯の創設は、世界と地域の平和と安全を強化し、核不拡散体制を強化し、並びに核軍縮の目標を実現することに対して貢献するという確信を再確認し、
 この条約のいかなる規定も、差別を受けることなく平和的目的のための原子力の研究、生産及び利用を発展させるすべての締約国の不可譲の権利に影響を及ぼすものと解してはならないことを強調し、
 女性及び男性の双方による平等で、全面的、効果的な参加は、持続可能な平和と安全保障を促進し達成するうえで不可欠な要素であることを認識し、女性の核軍備撤廃への効果的な参加を支援し、かつ強化することに取り組み、
 あらゆる面での平和・軍縮教育の重要性、並びに現在および将来世代に核兵器がもたらす危険と影響についての意識を高めることの重要性を認識し、この条約の原則及び規範の普及をはかることに専念し、
 核兵器の全面的な廃絶の要請に示された人道の諸原則推進をはかるうえでの公共の良心の役割を強調し、また、このために国際連合、国際赤十字・赤新月運動その他の国際機関及び地域的機関、非政府組織、宗教指導者、議員、学術研究者及びヒバクシャが払っている努力を評価し、
 次の通り協定した。

(訳注)核軍備撤廃=nuclear disarmament.。外務省は「核軍縮」または「核軍備縮小」と訳している。

 【第1条】禁止
 締約国は、いかなる状況下でも、次のことを行わないことを約束する。
 (a)核兵器や他の核爆発装置を開発、実験、生産、製造するだけでなく、取得、保有または貯蔵すること。
 (b)核兵器または他の核爆発装置またはその管理を、いかなる受領者に対してであれ、直接または間接に移譲すること。
 (c)核兵器または他の核爆発装置またはその管理を直接または間接に受領すること。
 (d)核兵器または他の核爆発装置を使用し、または使用の威嚇を行うこと。
 (e)この条約によって締約国に禁じた活動を行うよう、誰に対してであれ、いかなる形によるものであれ、援助、奨励または誘引すること。
 (f)この条約によって締約国に禁止じた活動を行うために、誰かから、いかなる形によるものであれ援助を求めること、または援助を受けること。
 (g)自国の領土あるいはその管轄または支配下にある場所に、核兵器または核爆発装置の配置、設置または配備を認めること。

 【第2条】申告(略)
 【第3条】保障措置(略)

 【第4条】核兵器の完全廃絶に向けて
 1.2017年7月7日以降に核兵器または他の核爆発装置を所有、保有または管理し、この条約が発効する以前にすべての核兵器関連施設の廃棄または不可逆的な転換を含め、核兵器計画を廃棄した締約国は、自国の核兵器計画を不可逆的に廃棄したことを検証するために、本条第6項に従って指定された権限を有する国際機関と協力しなければならない。その権限ある国際機関は、全締約国に対して報告しなければならない。当該締約国は、申告した核物質の平和的核活動からの転用を行わないこと、および同締約国における未申告の核物質がないことについての信頼性のある保証を行うのに十分な保障措置協定を、国際原子力機関との間で締結しなければならない。その協定の交渉は、当該締約国についてこの条約が発効した時から180日以内に開始しなければならない。その協定は、この条約の発効から18ヵ月以内に発効するものとする。当該締約国は、それ以後は少なくとも、将来的に自国が採択する可能性のある関連の追加取り決めに影響を及ぼすことなく、これらの保障措置の義務を維持しなければならない。
 2.第1条(a)にかかわらず、核兵器または他の核爆発装置を所有、保有または管理している各締約国は、直ちにそれらを運用状態から外し、可及的速やかに破壊しなければならないが、それは第1回締約国会議によって定められる期限より遅れることなく、すべての核兵器関連施設の廃棄あるいは不可逆的な転換を含めて、当該締約国の核兵器計画の検証された不可逆的廃棄の、法的拘束力をもち期限を切った計画に従って行うものとする。当該締約国は、この条約が自国について発効後60日以内に同計画を各締約国または締約国に指定された権限のある国際機関に提出しなければならない。同計画は権限のある国際機関との交渉に付され、同機関はその後に続く締約国会議または再検討会議のうち最初に開かれる会議にこの計画を提出し、手続き上の規則に従って承認を得なければならない。
 3.第2項が適用される締約国は、申告した核物質の平和的核活動から転用しないことおよび国内全体で未申告の核物質あるいは核活動が存在しないことについての信頼できる保証を行うのに十分な保障措置協定を国際原子力機関と締結しなければならない。その協定の交渉は、第2項で述べられた計画の実行が完了する日に遅れることなく開始しなければならない。同協定は、交渉開始日の後18ヵ月以内に発効する。締約国はそれ以後、少なくとも、将来における追加の関連取り決めに影響を及ぼすことなく、これらの保障措置の義務を維持しなければならない。この項で定める協定の発効に続いて、締約国は、第4条のもとでの義務を履行したとの最終報告を国連事務総長に提出しなければならない。
 4.第1条(b)および(g)にかかわらず、自国の領土、管轄下または支配下の場所に、他の国が所有、保有、管理する核兵器あるいは他の核爆発装置を持つ締約国は、可及的速やかに、かつ第1回締約国会議によって定められる期日に遅れることなく、かかる兵器等の迅速な撤去を確実に行わなければならない。その兵器または他の爆発装置の撤去が行われたら、当該締約国は、第4条のもとで自らの義務を履行したとの申告を国連事務総長に提出しなければならない。
 5.本条が適用される各締約国は、本条に基づく義務の履行に向けた進捗状態について、義務が果たされる時まで毎回の締約国会議および再検討会議に報告を提出しなければならない。
 6.締約国は、本条の第1、2、3項に従って、すべての核兵器関連施設の廃棄または不可逆的な転換を含む、核兵器計画の不可逆的廃棄について交渉し検証するために、権限ある国際機関を指定しなければならない。そのような指定が、第1、2項が適用される締約国についてこの条約が発効する前に行われない場合は、国連事務総長は、必要となる決定を下すために臨時の締約国会議を招集しなければならない。

 【第5条】国内の実施(略)
 【第6条】被害者への援助および環境回復(略)
 【第7条】国際協力と援助(略)

 【第8条】締約国会議
 2.第1回締約国会議は、この条約発効後1年以内に国連事務総長が招集する。それ以後の締約国会議は、締約国が別のやり方に同意しないかぎりは、2年毎に国連事務総長が招集する。締約国会議は最初の会期で手続き上の規則を採択しなければならない。その採択までは、「核兵器を禁止し、完全廃絶につながる法的拘束力ある条約を交渉する国連会議」の手続き規則を適用する。
 4.この条約の発効から5年を経て国連事務総長は、条約の運用および目的達成についての進捗を再検討する会議を招集しなければならない。国連事務総長は、それ以降の同様の目的の再検討会議を、締約国による別途合意がないかぎり、6年毎に招集しなければならない。
 5.この条約の非締約国、国連の関連機関、他の関連する国際組織および機関、地域組織、赤十字国際委員会、赤十字・赤新月社連盟、関連する非政府組織は、締約国会議および再検討会議にオブザーバーとして参加を招請される。

 【第9条】経費(略)
 【第10条】改正(略)
 【第11条】紛争の解決(略)
 【第12条】普遍性(略)

 【第13条】署名
 この条約は2017年9月20日よりニューヨークの国連本部においてすべての国の署名を受け付ける。

 【第14条】批准、受諾、承認または加入
 この条約は調印国による批准、受諾または承認を受けなければならない。この条約は加入のために解放しておく。

 【第15条】発効
 1.この条約は、50番目の批准書、受諾書、承認書または加入書が寄託されてから90日後に発効する。

 【第16条】留保(略)
 【第17条】有効期間及び脱退(略)
 【第18条】他の協定との関係(略)
 【第19条】寄託者(略)
 【第20条】正文(略)