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バート・ウッド米国連軍縮大使の国連第1委員会での発言
――2017/10/12 米国務省ウェブサイト――
(2017.10.12)

  米国は核軍備撤廃という目標、並びにその目標に向けた条件づくりを追求することに引き続きコミットしている。前進は、安全保障環境が許すときに成しとげられるということは歴史が明確に示していることだ。敵対的冷戦関係の緩和によって、米国とロシアは最終的な核軍備撤廃という共通の夢に向かって大きなステップを取ることが可能となった。このような動きは、それまでの数十年間では不可能であった。将来を展望するとき、すべての政府は、さらなる前進にむけた基盤をつくるよう、沈着かつ断固として協力しなければならない。我々は、NPT第6条で求められている核軍備撤廃に関して、効果的な措置を追求する。軍縮の成功は、忍耐、細部への関心、効果的検証、前進にとって必要な安全保障環境における変化を起こすという課題への忍耐強い配慮にかかっている。核抑止が国際の平和と安全を保全し、防衛する上で果たす決定的役割と、抑止力が依然として必要なのにもかかわらず、それが取り除かれた場合に起こりうる破滅的結果を考慮すれば、この最後の要素こそ決定的に重要だ。
 「核兵器禁止条約」はこれらすべての要素に反する。その義務は、あいまいな言葉が使われ、不正確で、ときに内部矛盾しており、検証に関しては空っぽでしかない。さらに悪いことに、それは今日の安全保障上の課題にとって、根本的にふさわしくない。それは単に非生産的な条約であるだけでなく、おそらく、逆効果でさえあり、不拡散体制と軍備撤廃の大義の両方に永続的な害をもたらす可能性がある。
 この禁止条約は、決定的に重要な国際安全保障問題への対処は軍備撤廃にとって不必要だという前提にもとづいている。禁止条約賛成派は、一例を挙げれば、核兵器とその運搬手段に対する北朝鮮の容赦ない追求――これは公然とした国際法違反だ――による危険にもかかわらず、核抑止力を放棄できると我々に信じ込ませようとする。
 さらに挙げれば、この条約には信頼性ある検証メカニズムがない。この課題をほとんど扱っていない。それは、IAEA(国際原子力機関)の包括的保障措置協定を核物質の保障措置の基準として支持しつつ、不可欠の追加議定書は要求しないということによって、不拡散の検証における数十年の前進に逆らっている。経験が示すところによれば、包括的保障措置協定だけでは、秘密核計画を探知するのに不十分だ。追加議定書を拒否した条約起草者たちの決定は、根本的な判断の誤りであり、追加議定書を普遍化するという取り組みを損なうことになりそうだ。
 最後に、禁止条約はその他の面でもNPTに現実の損害を与える可能性がある。それは、軍備撤廃に関する政治的緊張を悪化させる。それは、共有の利益――とりわけ、さらなる軍縮の前進を可能とする条件を創り出す課題――を認識するのではなく、諸政府を「核兵器支持派」と「核兵器禁止派」の陣営に短絡的に分断する。この誤った二分法を強め、軍縮問題での世界の対立を悪化させることは、NPT再検討会議のような、成功のための推進媒体となってきた諸機関内でのさらなる前進を、きわめてむずかしくするだろう。
 軍縮を促進するためには国際緊張を緩和し、加盟国間の信頼を強めることが必要あることを認めたNPT前文に啓発され、米国は、核軍備撤廃のための条件改善に向けた効果的措置について、他の諸国と協力する用意がある。一例をとれば、核軍備撤廃の検証に関する複雑な課題を特定し、対処するため、「核軍備撤廃検証のための国際パートナーシップ」(核軍備撤廃検証のための方途・技術について核兵器国と非核兵器国が議論・検討するイニシアティブ。2014年12月の米国による提唱で始まった)を通じて引き続き努力する。
 この取り組みは、安全保障条件が改善した際、実質的な前進を可能とするための技術上の課題を克服することに焦点をあてている。また、我々は、今日当面する多くの課題に対して世界的不拡散体制を支持し、強化するという年来の努力を続ける。ほかの者がだれも核兵器を持たないという固い確証なしに今日の核保有国がそれを放棄するなどと考えることは不可能だ、ということを否定できるものがいるなどと考えられないからだ。
 核軍備撤廃に近道はない。いきなりゴールに向けて間を省略しようとする非現実的な試みには、我々が懸命に努力して築いてきた制度や基準を損なう可能性がある。我々の共通の経験では、包容性とコンセンサスへの探求こそ、前進につながるものであり、対立は失敗へのレシピだ。より安全な世界を追求し、共通の問題に共有の解決を探す取り組みで、すべての諸国が我々と協力するよう我々は促すものである。