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 ●国連・世界の動き
 
「沖縄に核貯蔵」日本政府容認
 09年 米議会聴取で在米公使が「説得力がある」と肯定(2018.3.15)

■意見聴取メモ
 オバマ前米政権が新たな「核態勢見直し」(NPR)策定に向け、米連邦議会に設置した諮問機関・戦略態勢委員会(委員長・ペリー元国防長官)が2009年2月、在米日本大使館関係者らを対象に開いた意見聴取で、秋葉剛男公使(現・外務事務次官)が沖縄への核貯蔵庫建設を容認する意向を示していたことがわかりました。
 米科学者団体「憂慮する科学者同盟」のグレゴリー・カラーキー上級アナリストが入手した、戦略態勢委員会スタッフが作成したメモで判明。3月5日付「しんぶん赤旗」が同氏の資料提供を受けて報じ、沖縄地元紙などが相次いで取り上げました(写真)。
 メモによると、意見聴取が行われたのは09年2月25日。秋葉氏は、米国が日本との事前協議なしに核兵器を削減する可能性に深い懸念を表明し、米国の核戦力の維持を要請。シュレジンジャー副議長(元国防長官)の「沖縄かグアムへの核貯蔵庫の建設をどう考えるか」との質問に対し、「そうした提案は説得力がある」と述べています。日本側が沖縄への核再配備を肯定する発言が明らかになったのは、72年の本土復帰後、初めて。

■核再配備を肯定
 今回明らかになった日本政府の表明は、沖縄を再び「核の島」にすることを容認するもの。
 沖縄では戦後、アジア太平洋地域で最大規模の1300発もの核兵器が配備されていました。72年に沖縄が返還されたとき核兵器は撤去されましたが、佐藤栄作首相とニクソン米大統領は69年、米国は有事の際に核兵器を再配備する権利を保持するとした「密約」を交わしていました。米国防総省は2016年に公開した「歴代国防長官史料」で、この密約を日米両政府間の約束として公然と扱い、沖縄への核兵器持ち込みを米国の「既得権」だと誇示しています。
 日本政府は、密約は「今や有効ではない」ことを米国と確認したなどとして、「密約を破棄せよ」の声に背を向け続けています。沖縄への核再配備を容認する立場が表明されている以上、米側による沖縄への核配備打診を、日本政府が拒否する保証などありません。

■核基地機能を温存
 沖縄核密約では、「沖縄に現存する核兵器の貯蔵庫、すなわち、嘉手納、那覇、辺野古、並びにナイキ・ハーキュリーズ基地を、いつでも使用できる状態に維持しておき、重大な緊急事態が生じた時には活用できる」とされています。
 16年4月、共同通信は、米軍嘉手納基地、青森の三沢基地で09〜13年に、核装備事故が少なくとも17件起きていたとの記事を配信し、「米軍が将来の有事核持ち込みの選択肢を排除せず、一定の核支援態勢を在日基地に温存していることがうかがえる」と報じました。デュアル・ユース(核・非核両用)ながら現在は非核基地として運用されている両基地で、米軍が軽微な核装備事故にも神経質になっていること自体、有事の核使用に備える基地の実態を生々しく示しています。 こうした一連の事実は、日米間で密約を破棄した事実がない以上、米軍の戦後一貫した核戦略――沖縄などの米軍基地を米国の核戦争の最前線基地として位置づける危険な現実がいまも生き続けていることを示唆しています。

■「前提が変わった」
 トランプ米政権はことし2月、新たな「核態勢見直し」を公表し、▽核・非核両用任務の戦闘機を北東アジアなどに前方配備する能力を維持・強化する、▽長期的には核トマホークに代わる最新の核弾頭付き海洋発射巡航ミサイル(SLCM)を追求することを打ち出しました。F35Aなどの戦闘機をはじめ水上艦、攻撃型潜水艦による日本への核持ち込みの危険は大きく高まります。こうしたなか、日本政府内に日本の国土、沖縄に隔壁の配備を肯定する考えが存在することはきわめて危険です。
 政府はこれまで、米国が太平洋地域から戦術核兵器を撤退させたことを「前提」として、日本への核持ち込みは想定されないと説明してきました。しかしトランプ政権の核戦略のもとで、日本への核持ち込みの新たな危険性が生まれています。
 安倍首相は国会で、今回の「核態勢見直し」によって非核三原則の「前提は変わる」と認めました。しかし、核を搭載した米軍機の飛来や米軍艦の寄港、領空・領海通過などは日本政府との事前協議なしに自由にできるという密約の廃棄に動く姿勢は見られません。
 核密約破棄、「核の傘」脱却、非核の日本、非核の政府を求めることは、まさに緊急課題です。