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 ●全国総会の方針
 
戦核兵器禁止条約の一日も早い発効を。「非核の政府」の声を大きく
非核政府の会が第32回全国総会ひらく(2017.7.15)

[非核の政府を求める会第32回全国総会活動方針]

第32回全国総会議案
常任世話人会  (2017.7.15)
はじめに――「非核の政府を」の国民的合意めざして

 いま、「全人類共通の緊急課題として核戦争防止、核兵器廃絶の実現を求める」課題をはじめとする「非核5項目」を掲げて非核の政府の実現を求めてきたわが会の眼前に、会結成の値打ち、役割を浮き彫りにする歴史的な情勢が広がっている。 

 
 核兵器禁止条約が1週間前の7月7日、国連加盟国の圧倒的多数の賛成で採択された。広島・長崎の被爆から70年余、いま私たちは歴史上初めて、核兵器を違法化し、禁止し、廃絶に導く画期的な政治展望を手にしている。
 2週間前に投開票された東京都議会議員選挙では、政治を私物化し、憲法を壊し、異論を敵視する傲岸不遜な姿勢に加え、核兵器禁止条約交渉にさえ参加しない安倍政権に都民が厳しい審判を下し、自民党は歴史的大敗を喫した。各社世論調査で内閣支持率が3割台前半まで急落するなど「安倍離れ」「首相不信」が沸騰し、情勢は政治激変の様相を呈してきた。
 こうした情勢のもとで開かれる本総会の任務は、(1)核兵器禁止条約採択の意義、核兵器廃絶を求める世界の流れの到達点と今後の運動方向を明らかにすること、(2)日本政府の核兵器問題の基本姿勢を問い、「非核の日本・非核の政府」の展望を示すこと、(3)来たるべき国政選挙に向けて、戦争法・「共謀罪」法廃止、立憲主義回復などの一致点にもとづく国民的共同の発展と安倍政権退陣への決意を交わすこと、(4)いまこそ非核政府の会の役割発揮を≠フ新活動方針と役員を選出すること、である。


[1]「核兵器禁止・廃絶」に向かう歴史的転換点に立って

(1)人類的・国際的規範を確立した、画期的な核兵器禁止条約採択

 ついに国連の場で、核兵器禁止条約が採択された。「核兵器を禁止し、完全廃棄に至る法的拘束力のある文書を交渉する国連会議」は、第2会期(6月15〜7月7日)最終日の7日、核兵器禁止条約を国連加盟国の3分の2にあたる122ヵ国の賛成で採択した(反対1、棄権1)。これにより、核兵器は初めて違法化され、人類史上類をみない残虐な大量殺戮兵器である核兵器は廃絶すべきとする、人類的・国際的規範が確立する時代を迎えることとなる。
 わが会は1986年に発足して以来、「全人類共通の緊急課題として核戦争防止・核兵器廃絶の実現」を基本要求に掲げてきた立場から、核兵器禁止条約の採択を感慨を持って受け止め、心から歓迎し、その一日も早い発効を求めて力を尽くすものである。
 採択された同条約は、その前文で、「核兵器の法的拘束力を持つ禁止は…核兵器のない世界の実現と維持に向けた重要な貢献となることを認識し」「全面的な核軍備撤廃に至る交渉の締結を誠実に追求し実現する義務が存することを再確認」するとうたって、核兵器禁止からさらに廃絶へと向かう基本的立場、決意を力強く宣言している。この見地は、国連交渉会議の論議を通して豊かに練り上げられ、第4条「核兵器の完全廃絶に向けて」で、核保有国および核配備国の条約参加に道を開く枠組みとして規定された。まさに核兵器禁止条約が実現すれば、国際社会は、核兵器を違法化し、禁止し、全面廃棄へと導く新たな歴史的段階に踏み出すことになる。
 条約第1条「禁止」では、核兵器の開発、実験、生産、製造、取得、保有、貯蔵、移転、受領、使用等を禁じ、交渉会議の議論を経て「使用の威嚇」の禁止も新たに明記された。この規定は、核兵器による威嚇=核抑止力論を否定するものであり、「核兵器依存」理由を根本的に否定する重要な意義をもつ。
 条約に織り込まれたこうした方向こそ、わが国の被爆者・国民の積年の苦難・願いに応える道であり、当会の原則的立場と合致するものである。
 同条約はまた、前文で「ヒバクシャにもたらされた容認しがたい苦難と損害に留意」するとともに、ヒバクシャや市民社会が果たしてきた「人道の諸原則を推進するための市民的良心の役割」を強調している。このことは、広島・長崎の被爆者を先頭にした長年にわたる被爆の実相の告発が禁止条約の原点であることを示すとともに、同条約実現の流れを推進してきた力が被爆者を先頭にした日本の非核・平和運動はじめ世界の草の根の運動にあることを、国連・各国政府が一致して国際的合意文書=条約に明示したものとして、大いに注目される。

 ▽核兵器禁止条約と非核の政府を求める会の歴史的課題
 被爆者・日本国民も、核兵器禁止条約づくりを推進した国連・各国政府も、目標は「核兵器なき世界」の一日も早い達成にある。史上初めて手にした禁止条約そのものの説得力を依りどころとして、核兵器禁止条約を早期に発効させ、完全廃絶へと充実・発展させることが強く求められている。
 「非核の政府」を求めるわが会は、その基本課題「非核5項目」に「核兵器廃絶の実現」などとともに「原水爆禁止世界大会のこれまでの合意にもとづく国際連帯」を掲げてきた。被爆者を先頭にした「被爆の実相」の発信自体、米日支配層による妨害・圧力とのたたかいと不離一体であった。広島・長崎への原爆投下から7年というもの、被爆の惨状はGHQのプレスコードによって厳しく秘匿され、1954年のビキニ環礁での水爆実験による第五福竜丸の被災がきっかけとなった原水爆禁止世界大会の開催も、被災のすべてを闇に葬ろうとする米国などによる圧力とのたたかいの連続であった。
 1960年代、米政府は、核兵器全面禁止の課題を意図的に遠ざける「部分的核実験禁止条約」などを企て、ソ連も米国と結んで反核運動への乱暴な干渉を行ったが、わが国では原水爆禁止世界大会が確実に開催され、80年代に米国などで「核凍結」論が振りまかれたなかでも日本では「核兵器全面禁止は緊急・中心課題」だと訴え続けてきた。まさに核兵器禁止条約の採択は、戦後一貫して国内外で核兵器廃絶の先駆的役割を担ってきたわが国の原水爆禁止運動の誇るべき歴史的成果と言って過言ではない。
 日本政府は被爆者・国民の声に背を向け「核兵器禁止条約に署名しない」と表明している。7月の国連会議閉会直後、被爆者の藤森俊希さんは、日本政府の態度について「はらわたが煮えくりかえる思い。しかし政府の対応は国民の力で変えることができる」と述べ、「核兵器のない世界をつくる日本の政府が必ずできると期待している」と語った。まさに、広島・長崎の被爆の惨禍を身をもって知る唯一の被爆国日本で、わが会が発足いらい中心課題としてきた、「非核の政府」を可能な限り早期に実現することが、いよいよ切実な現実的課題となっている。

(2)核戦略の制約に危機感募らせる核兵器固執勢力

 核兵器禁止条約づくりの動きを前にして、核保有国はいま、かつてなく危機感を募らせている。とりわけ、核戦力を海外展開する米国は、日米核密約をはじめとする同盟国との核軍事提携が阻まれることへの警戒感をあらわにしている。昨年暮れの第71回国連総会での「核兵器禁止条約の交渉開始」を求める決議(L.41)採択に先立って、米国が北大西洋条約機構(NATO)諸国やパートナー諸国に書簡を送りつけ、決議案採択で反対票を投じること、国連交渉会議に参加しないことを求めたことは、その端的なあらわれと言えよう。
 核保有国・核依存国は、核兵器禁止条約に反対し国連交渉会議をボイコットしたことについて、「(核兵器禁止条約は)世界を危険にさらし、不安定化させることになる」からなどと弁解した。だが、世界にはいまなお1万5000発もの核弾頭が配備・貯蔵されており(うち1800発は高度な緊急警戒態勢下)、「偶然、誤算、計画によって起こる核爆弾を含め、核兵器の継続的存在がもたらす危険」(核兵器禁止条約「前文」)こそ、全人類の安全にとって最大の脅威となっていることは、いまでは国際社会の共通認識となっている。
 また、核兵器禁止・廃絶の流れは、「世界を不安定化させる」どころか、国際紛争の平和的解決を求める世論の成長、国際規範の確立と相まって、平和的国際秩序の新たな基礎と発展の展望を開くことになる。核兵器禁止・廃絶の先にこそ人類の平和的未来があることに疑いをはさむ余地はない。
 国際的孤立を深めながら、なおも核兵器の保有・「抑止力」に固執し、核兵器なき世界の実現を妨害する核保有国・核依存国の責任が今ほど厳しく問われているときはない。

 トランプ米政権の6ヵ月――核兵器政策の危険性と矛盾  
 米国にトランプ新政権が発足して6ヵ月、その核・軍事政策に警戒感が高まっている。トランプ氏が大統領当選後の昨年12月、米国防総省の「国防科学評議委員会」がトランプ次期政権に対し、「状況に応じて迅速に核兵器を限定使用できる柔軟な核戦略体制」の構築を提言する報告書を作成したが、トランプ氏は同月、これに呼応して「核兵器に関して世界が分別を取り戻すまで、米国は核戦力を大幅に強化、拡大すべきだ」とツイートして、「十分にぞっとさせる」(米紙ワシントン・ポスト)など波紋を広げた。トランプ氏はその後、「米国史上最大」の軍事費増を求めて前年度比10%増の国防予算を計上し、「我々は核兵器保有国のトップにいるつもりだ」と核兵器増強を公言している。
 ツイッターで突然、核軍拡政策を発信するトランプ政権に対し、米国内で不信、警戒感が広がっていることも見落とせない。核兵器に関する米国内の世論調査(2016年8月)で、「トランプ氏が大統領になったら核兵器の使用について正しい決定を下すと信じるか」との設問に57%が「信じない」と回答し、「信じる」は27%にすぎなかった。米上下両院では1月、大統領が持つ核兵器の使用権限について、議会の同意なしに大統領が核兵器を使用することを認めないとする法案が提出された。「手遅れになる前に核兵器の破滅的な計画を防ぐこと以上に緊急なことはない」(核兵器廃絶を求める国際団体「グローバル・ゼロ」の声明)との批判がいま、主要メディア、識者、反核平和団体を中心に米国内に広がり始めており、注目される。

(3)北朝鮮問題の外交的平和的解決を

 北朝鮮は7月4日、今年10回目となる弾道ミサイル発射を強行した。昨年9月には5回目の核実験を実施している。こうした北朝鮮の相次ぐ核実験・弾道ミサイル発射は、北朝鮮に核実験と核開発計画の放棄を求めた度重なる国連安保理決議に背く暴挙である。これはまた、「朝鮮半島非核化共同宣言」「日朝平壌宣言」「6ヵ国協議共同声明」等の北朝鮮自らの国際公約をも反故にするものであり、北東アジアと世界の安定を損なう蛮行である。北朝鮮は、すべての核兵器と核兵器開発計画を放棄すべきである。
 国連安保理が6月2日、加盟国による「対話を通じて平和的かつ包括的な解決への努力」を呼びかけたように、北朝鮮問題の解決は北朝鮮に核開発計画を放棄させる平和的・外交的解決以外ない。この間、トランプ米政権は北朝鮮対応として、「あらゆる選択肢がテーブルの上にある」などと公言して武力による威嚇・行使をほのめかし、北朝鮮近海への米空母打撃群の派遣など圧力を強めたが、こうした軍事対応が「国際社会の一致した対応」に亀裂をもちこむ最悪の選択であり、事態の解決に役立たないことは明白である。
 最近、核兵器禁止条約づくりをめぐり、北朝鮮は、国連交渉会議の開催に賛成票を投じながら、核兵器開発を禁じる条約案には反対の姿勢に転じた。このことをみても、北朝鮮の核開発を封じるうえで、また、北朝鮮の核開発の「動機」となっている米国などの核兵器の使用と使用の威嚇を根本的に排除するうえで、核兵器禁止条約の実現が重要な意義をもつことは明白である。

[2]「日米同盟第一」政治ノー、「非核の政府を」の声いまこそ

(1)被爆国の原点放棄した日本政府の「核兵器禁止条約反対」表明

 核兵器政策をめぐり、安倍政権と国民要求との乖離はますます深刻となっている。
 日本政府は、第71回国連総会における「核兵器禁止条約締結のための交渉開始」決議採択で、あろうことか被爆者・国民の声に背いて「反対」票を投じて核兵器固執政府≠フ姿をさらけ出した。この態度表明に、被爆者はじめ国民から「被爆国政府に裏切られた」「被爆国の重大な責任放棄」との失望、批判の声があがっている。安倍政権のこの選択は、「被爆国政府」を語る資格を喪失するに等しい選択であり、国民の間に「日本が非核の政府であったなら」との思いが広がり始めている。
 「核兵器禁止条約反対」表明は、核兵器廃絶拒否宣言にほかならず、政府が従来主張してきた「核保有国と非保有国の橋渡し」論も、「核の傘」依存の論理も、「ステップ・バイ・ステップ」廃絶論も破綻したことになる。日本政府は被爆国として恥ずべき「反対」姿勢を見直し、核兵器禁止条約を承認・署名し、早期発効の先頭に立つべきである。
 「海外で戦争する国づくり」路線のもと、戦争法推進政治と軌を一にした閣僚等による核兵器使用容認発言、核兵器の保有・使用を「合憲」とする閣議決定等、安倍政権のこうした姿勢の根っこに、国民に秘匿して進められる自衛隊と米軍の核共同作戦態勢の強化があることも看過できない。
 この間、米国防総省が2015年、歴代国防長官の実績に関する史料『メルビン・レアード長官時代』(1969〜73年)を公刊し、佐藤栄作首相とニクソン米大統領が交わした「沖縄核密約」(1969年11月)を日米両国間の約束として初めて公然と扱い、沖縄への米国の核兵器持ち込みを米国の「既得権」と印象づける表明を行ったことが明らかとなった。密約を当事国の米国が公表したいま、日本政府は米国政府に対して沖縄への核兵器再持ち込み「盟約」の破棄を断固求めるべきである。
 西日本新聞1月3日付は米公文書にもとづき、日本の外務省が1987年、米国政府に対し、核兵器の持ち込みに関する密約を含む50年代後半の日米関係公文書を、機密解除の審査対象後も非公開とするよう要請していたと報じた。日本側が非公開を求めたテーマには「核兵器の持ち込み、貯蔵、配置ならびに在日米軍の配置と使用に関する事前協議についての秘密了解」等が含まれている。事は日本の安全にかかわる重大事案であり、日本政府は国民に真相を明らかにすべきである。

〈日本政府は被爆国にふさわしい「非核の政治」を〉
 わが会は、昨秋の第71回国連総会および今春の核兵器禁止条約づくりの国連交渉会議に際して、日本政府に対し、米国の「核の傘」依存をやめ、核兵器禁止条約づくりの先頭に立つよう重ねて強く要請してきた。
 核兵器禁止条約が採択されたいま、被爆国の最小限の政治的・道義的責任として同条約に署名し、批准に積極的役割を果たすよう求めることは、焦眉の課題となっている。同時に、安倍政権の戦争法推進政治を阻止することと結んで、わが国が米国の核戦略にいっそう深く組み込まれる危険を防止し、非核・平和の国づくりへの転換を求める世論を広げることがますます重要となっている。
 わが会は、日本政府に対し、以下の諸点を中心に、政府が被爆国にふさわしい「非核の政治」を行うよう求め、これらを実行する政府をめざす。
 ○核兵器禁止条約に署名し、その早期発効のために力を尽くす。国連全加盟国に同条約加  盟を促す。
 ○原爆被害の非人道的な実態を世界に発信し、核兵器はいかなる状況下でも二度と使用さ  れてはならないことを世界に訴える。「ヒバクシャ国際署名」に署名し、推進する。
 ○国家補償による被爆者援護法を制定する。
 ○国連総会で非同盟諸国、新アジェンダ連合と協力し、核兵器廃絶諸決議を支持・推進す  る。
 ○核兵器の保有と使用を是認する「核抑止力」政策=「核の傘」から離脱し、国際社会に  宣言する。
 ○「非核3原則」を厳守し、非核の日本を実現する実効性ある措置を講じる。
 ○日米「核密約」の存在と構造を徹底的に調査・公表し、これを破棄する。
 ○「日朝平壌宣言」「6者会合共同声明」の履行を当事国として誠実に追求し、朝鮮半島の  非核化、北東アジアの平和と安定のために積極的に貢献する。
 ○「日印原子力協定」を破棄する。

(2)改憲・戦争法推進の歴史逆行政治ストップ、「市民と野党の共闘」で国民  が主人公の政治ひらく新しい時代へ

 改憲・戦争法推進、歴史逆行の安倍暴走政治を許すか、それとも市民と野党の共闘で主権者は私たち≠フ政治の流れを加速させるか――。「憲法順守擁護義務」などどこ吹く風の安倍首相の異常な改憲発言、国会運営のルールを乱暴に蹂躙しての「共謀罪」法強行、安倍首相自身の関与が焦点の「森友」「加計」問題にみられる国政私物化、失言・暴言・不祥事による閣僚の相次ぐ更迭等を目の当たりにして、いま国民の多くは「もうがまんならない」との思いを募らせている。7月に実施されたマスコミ各社の世論調査で、内閣支持率は軒並み30%台前半まで急落し、不支持率は5割前後へと大幅に上昇した。安倍政治への国民の批判の高まりは、先の東京都議会議員選挙での自民党の大敗、安倍政権と真っ向から対決する日本共産党の躍進となった選挙結果にも鮮やかに示された。
 こうした国民の批判は、「共謀罪」法の強行や9条改憲発言に示される「海外で戦争する国づくり」政治への審判にとどまらない。その怒りは、安倍サポーター≠フ「読売」でさえ「安倍離れ」「首相不信」と指摘するように、安倍政権の政治私物化、傲岸不遜・国民不在の強権政治に対する深い不信感、嫌悪感に根ざしている。つまるところ、安倍首相自身の政治姿勢、資質、体質への拒絶反応である。内閣改造などの小手先の取り繕いで国民の批判をかわすことはできない。
 国政の私物化、憲法破壊の政治をこのまま続けさせてよいのかが真っ正面から問われているいま、「安倍内閣退陣! 国会解散・総選挙で国民の信を問え」の声を大きく巻き起こすうえで、「総がかり行動」など新しい市民運動、市民と野党の共闘の役割がいよいよ重要となっている。市民と野党の共闘は、昨夏の参議院選挙や新潟県知事選挙等で野党と市民の統一候補の勝利を牽引し、野党と市民が国民の願いに応える「大義の旗」を掲げ「本気の共闘」に取り組むなら、支配層の攻撃を跳ね返して勝利できることを示した。市民連合は、掲げる国民的要求も戦争法・「共謀罪」法廃止、立憲主義回復に加えて労働法制改悪反対、原発再稼働反対など多彩に発展させて、共闘の生命力を証明している。来たるべき総選挙で自公とその補完勢力に痛打を与え、主人公は私たち≠フ政治を実現するために、新しい市民運動、市民と野党の共闘を発展させることが強く求められている。

(3)一般市民対象に内心の自由奪う違憲立法「共謀罪」は廃案に

 「共謀罪」法が7月11日、施行された。政府与党、日本維新の会などは、通常国会会期末寸前の6月15日、委員会での採決を「中間報告」によって省略して本会議で議決するという前代未聞の議会制民主主義違反まで弄して、同法案の採択を強行した。政府が、同法案の制定を急ぐ理由として挙げた「国際組織犯罪防止条約」(パレルモ条約)は、暴力団やマフィアなどによる国境を越えた組織犯罪を防止するための条約であって、「テロ対策」のための条約ではない。法案の政府による命名「テロ等準備罪」は、明らかなデマである。
 今回の「共謀罪」法の本質は、277の犯罪について「準備行為」の段階での摘発と処罰を可能にすることで、一般市民の生活を警察が広く、深く監視し、社会を萎縮させて、国民の民主的な運動の出足を止めることである。それは、健全な市民社会による本来のテロへの対策を妨げる危険性すらある。
 「共謀罪」法強行成立に対し、日本弁護士連合会はじめ、法律家、メディア関係者等、広範な国民各層から批判が巻き起こっている。同法についての世論調査で、国民の63%は「理解していない」と答え、「禁じ手」を使った政府与党の採決強行にも64%が「納得しない」と回答している。本会は、国民の内心の自由――思想・信条の自由、言論・表現の自由を侵す違憲立法としての「共謀罪」の強行成立を断固として糾弾するとともに、国民の幅広い各層と協力して、その廃止をめざす。

(4)施行70年――いまこそ憲法を守り生かす政治を

 「2020年を新しい憲法で迎える」という、5月3日の安倍首相による改憲団体に対するビデオ・メッセージを契機にして、明文改憲の動きが一気に速度を増した。自民党は、憲法改正推進本部に新たに党幹部を勢揃いさせて「挙党体制」を敷いた。自らの「憲法尊重擁護義務」(99条)を一顧だにしない安倍首相の改憲発言は、戦争法を成立・施行させたものの、その十全な発動は憲法9条の存在によって阻まれており(南スーダンPKO活動からの自衛隊の撤退など)、9条改憲論議の低調さに対する彼らの焦りのあらわれでもある。7月2日の東京都議会選挙での自民党の「歴史的敗北」は、その改憲策動への痛打となったが、安倍首相はなお、「憲法改正案を臨時国会に提出する方針にかわりはない」などと強弁している。
 本会は、非核の政府の実現にとって不可欠の前提としての憲法9条の堅持と、安倍改憲阻止のために全力をあげる。そのために「9条3項加憲」論など安倍改憲の手口のウソの徹底的な暴露や、9条改憲の行き着く先が日米核軍事同盟の完成であることの解明などを通じて、「安倍改憲反対、憲法守れ」の声が国民多数のものとなるよう奮闘する。
 安倍首相が昨年末以来、「緊急事態条項」創設や憲法9条改定など改憲について発言を繰り返していることは重大である。3月2日の参院予算委員会では「在任中に(明文改憲を)成し遂げたい」などと答弁し、改憲への執念をむき出しにした。この動きの狙いは、違憲の戦争法と一体で「海外で戦争する国づくり」を完成させることにある。安倍氏の一連の発言は、閣僚その他の公務員に対して憲法尊重義務を課し、立憲主義の核心的規定と言うべき憲法99条を乱暴に踏みにじるものである。安倍氏に政権を担う資格がないことは明白である。
 自民党も3月の党大会に提出した2016年運動方針で、「改憲発議に必要な衆参両院の3分の2以上の獲得」など「憲法改正推進」を柱に掲げ、明文改憲を狙う姿勢を鮮明にした。自民党の改憲方針は、▽戦力の不保持を定めた9条2項の削除と「国防軍」創設で海外での武力行使を無制限に可能とする、▽「緊急事態条項」創設で事実上の戒厳令を可能とするもので、まさに「憲法を憲法でなくするもの」にほかならない。
 同時に、国民多数は、改憲を望まないばかりか、戦争法を強行したうえ明文改憲まで狙う安倍政権に警戒感を強めている。安倍首相に近いとされる「読売」の世論調査でさえ、任期中に改憲したいという安倍首相の考えを「評価する」回答は37%で、「評価しない」が52%を占めた。「共同」世論調査(5月)では、「改憲不要」が58%に達している。今夏の参院選から選挙権を得る18、19歳を対象にした4月の「朝日」世論調査では、憲法を「変える必要はない」が57%を占め、9条については「変えないほうがよい」が74%で、「変えるほうがよい」20%を大きく上回った。かつて第1次安倍政権時、「九条の会」はじめ国民の反対運動で9条改憲を阻止したように、安倍首相に改憲策動を断念させるまで「改憲反対!」の国民運動を広げることが重要となっている。

(5)沖縄新基地建設反対・基地撤去の攻勢的たたかいを

 「勝つ方法はあきらめないこと」  安倍政権は4月末、沖縄県名護市辺野古の新基地建設に向けた護岸工事を開始した。沖縄県が政府に出した岩礁破砕許可は3月末に切れており、政府の工事は県知事の許可を得ていない違法行為である。問答無用で進められるこの違法工事を食い止めようと、沖縄県の翁長雄志知事が工事差し止め訴訟を決断したのは正当であり、至極当然である。4月末の世論調査では、辺野古新基地建設に沖縄県民の6割が「反対」を表明し、賛成は2割にすぎない。安倍政権の埋め立て強行に対しても「妥当でない」とする回答が65%を占めた。県民の意思ははっきりしている。
 だが安倍政権は、護岸工事着工から2ヵ月余、猛暑の中、シュワブゲート前で抗議の座り込みを続ける県民の眼前で、砕石の海中投下を急増させている。その超法規的、強権的な振る舞いに示される、沖縄に対する冷淡さの際立つ安倍政権のもとで、約束されたはずの「基地負担軽減」さえ霧消し、昨年も米海兵隊軍属による女性暴行・殺害事件(4月)や米海兵隊普天間基地のオスプレイ機墜落事故(12月)が続くなど、沖縄は依然として深刻な基地被害の危険、不安と隣り合わせの生活を余儀なくされている。これが「施政権返還45年」を迎えた沖縄の現実である。
 だが沖縄県民は、「勝つ方法はあきらめないこと」との姿勢を堅持し強化している。県民世論に逆らう新基地建設強行は早晩、破たんに直面せざるをえない。埋め立て中止だけでなく、新基地建設を断念させ、普天間基地の即時閉鎖・無条件撤去にむけ、沖縄と全国の連帯したたたかいがいま、強く求められている。
 沖縄への核持ち込み「盟約」破棄を  重要なことは、米日支配層が沖縄の米軍基地強化に執着する背景に、米国が戦後一貫して、沖縄の米軍基地を米国の核戦争の最前線基地として位置づけてきたことである。
 「沖縄核密約」では、「沖縄に現存する核兵器の貯蔵地、すなわち、嘉手納、那覇、辺野古、並びにナイキ・ハーキュリーズ基地を、いつでも使用できる状態に維持しておき、重大な緊急事態が生じた時には活用できる」とされている。このことは、日米間でその後、「沖縄核密約」を破棄した事実がない以上、いまも生き続けていることになる。
 占領時代の「キューバ危機」と「ベトナム戦争」の際に、沖縄に1300発もの核弾頭が配備、発射態勢におかれていたことは歴史的事実である。国際問題研究者の新原昭治氏によると、当時、沖縄には西ドイツと並び世界最多の19種類もの核兵器が持ち込まれていたこと、米海兵隊の実物の核地雷を使ったテスト中の放射能漏れ事故の発生や、南ベトナム駐在の米第3海兵師団将校らがしばしば核兵器訓練のために沖縄に派遣されていたことも判明している。
 米国防総省は、核時代の基地づくりとして耐用年数200年の新辺野古基地≠設計しているとされる。沖縄を米国の核戦争の前線基地として、半永久的に使い続けようとする米日支配層の危険な企てを許してはならない。

(6)原発再稼働・輸出反対、東電と政府は福島の賠償責任果たせ

 ●福島第一原発事故から6年余、今も6万人近い県民が避難を余儀なくされている。今年4月には、帰還困難区域を除く避難区域がすべて解除された、商店や病院、学校などの環境は整わず、被災者は不安を抱えている。
 ところが「原発推進政治ありき」の安倍政権は、原発再稼働と原発輸出のために、福島原発事故を「終わったもの」にしようとし、「避難指示解除」とセットで精神的賠償、営業損失賠償、自主避難者への住宅無償提供の支援などを打ち切ろうとしている。原発推進のために、原発事故の被害に苦しむ被災者に新たな困難を押しつける政治は断じて許されない。東京電力と国は加害責任を認め、すべての被災者の生活と生業が再建されるまで責任を果たすべきである。
 原発事故現場では、燃料貯蔵プールからの使用済み燃料の取り出し作業が大幅に遅れ、燃料デブリの取り出しについては工法の検討を始めたにすぎない。汚染水問題では、政府は無責任に汚染水は完全にコントロールされている≠ネどと喧伝するが、建屋地下への地下水の流入は続いており、その流入量をいかに減らすかは、依然として緊急課題である。
 ●安倍政権は産業界と一体となって既設原発の再稼働に突き進んでいる。原子力規制委員会は5月、関西電力大飯原発3、4号機が新規制基準に適合しているとする審査書を確定し、設置変更を許可した。関西電力は高浜原発4号機と3号機をそれぞれ5月と6月に再稼働し、年内にも大飯原発3、4号機の再稼働を狙っている。
 審査書が確定したのは6原発、12基にのぼる。安倍政権は「世界で最も厳しい基準」で再稼働するなどとうそぶくが、その中身は、重大事故対策でEU諸国の基準にはるかに及ばず、地震・火山対策でもまともな基準と言えるものではなく、国民の厳しい批判に直面している。3月の「毎日」世論調査では、原発の再稼働に「反対」の回答が55%に達し、「賛成」の26%を大きく上回った。こうした国民世論の背景に、首相官邸前抗議行動等の「再稼働許すな」「原発ゼロ」を求める国民的運動の継続と広がりがある。高レベル廃棄物の処分場の候補地さえ決まっていない、地震多発・国土狭小・人口過密の日本で、国民の生命と財産を守る確かな道は「原発ゼロ」以外にはない。わが会は政府に対し、原発再稼働の断念、原発ゼロ、エネルギー政策転換の政治決断を強く求める。
 安倍政権の原発輸出姿勢も重大である。6月7日、核保有国インドへの原発輸出を可能にする日印原子力協定の承認案が参院本会議で、自民、公明などの賛成多数で可決・承認された。インドは、核不拡散条約(NPT)の締約を拒み、包括的核実験禁止条約(CTBT)に署名もしないで核兵器を開発、製造、実験し、自ら核保有国であることを公言している。唯一の被爆国日本がこの国と原子力協定を締結することは、インドの核兵器開発を追認し、新たな核兵器の製造を助長することになりかねない。それはまた、核兵器の全面廃絶につながる禁止条約づくりが進む世界の流れに逆行するものである。日本政府は、被爆国として、インドへの原発輸出はきっぱり中止すべきである。

[3]「非核の政府」の合意へ、会の活動前進を
   ――核兵器禁止条約の大義のもと、さらなる攻勢的とりくみへ

 今日、核兵器禁止条約の制定・核兵器廃絶を求める被爆者・国民の願いと、核兵器禁止条約を否定し妨害者として立ち現れた日本政府との乖離は劇的に拡大し、被爆国の国民の良心を代表する「非核の政府」の実現を、いよいよ切実な課題としている。結成いらい一貫して、核兵器の廃絶と「非核の日本・非核の政府」を求めて国民運動、国民的共同の発展を探求してきたわが会の役割は、ますます重要となっている。

(1)政府に条約署名を求める世論喚起へ、「ヒバクシャ国際署名」の前進を
 核兵器禁止条約が採択された新たな情勢下、「日本政府に核兵器禁止条約の署名を求め、『非核の政府』の実現をめざす対話と合意」の運動が重要となっている。今後いかに速やかに、核兵器禁止条約加盟を世界の圧倒的多数にし、核保有国・核依存国に条約加盟を決断させ、核兵器廃絶を導くかは、被爆国日本をはじめ世界の非核・平和の世論の発展にかかっている。その決定的な推進力となる「ヒバクシャ国際署名」運動の本格的な前進のために、さらに力を尽くす。
 ▼ 戦争法廃止・立憲主義の回復をめざす市民連合に、共同政策として「核兵器禁止条約の署名、締結」等、「非核の政府」の緊急課題を提唱し、実現に務める。被爆国日本政府に核政策見直し・条約署名を迫る非核・平和運動分野の識者らによる「共同アピール」等を提案し、非核・平和の諸団体とともに野党各党への働きかけ等を推進する。
 わが会はこの1年、日本政府に対し、第71回国連総会や核兵器禁止条約交渉国連会議に向けての政府要請等を行った。引き続き、核兵器政策をめぐる日本政府の危険な言動に対して機敏に対処するとともに、核兵器、原発等国民の安全にかかわる重要問題について、政府に適宜、要請を行う。各界識者「新春メッセージ」の取り組みの充実をはかる。

(2)核政策をめぐる調査・研究活動の強化――調査専門委員会の強化へ
 「非核5項目」をめぐる調査・研究活動は、わが会の特色をなすものである。取り上げるテーマの掘り下げ、外部の研究者の発掘と共同・連帯の拡大等、この分野の活動の質的・量的発展をいかにかちとるかは、わが会の中心的な課題である。
 ●この間、会結成30周年記念シンポジウム「非核自治体運動の今日的意義と『非核の政府』の展望を語る」(2016年12月3日)を、「みやぎ県民の会」宮城県議会議員、日本非核宣言自治体協議会等の参加を得て開催してきた。引き続き、非核・平和の重要テーマを中心に、シンポジウム・講演会等に取り組む。
 ●核問題調査専門委員会の活動について、メンバーの拡充、テーマの充実、研究成果の対外的発信など、全体的な強化をはかる。
[調査専門委員会の当面のテーマ]
 ▽世界の核兵器状況・核兵器政策、▽核兵器禁止・廃絶条約、▽米国の核兵器戦略・使用政策、▽中国の核兵器政策、▽「核抑止力」論批判、▽日米「核密約」問題、▽日本国憲法と「非核の政府」、▽原発と核兵器の関連、▽北朝鮮・中東問題、▽国際テロと核拡散、▽「北東アジア非核地帯条約」問題、▽「非核の政府」をめぐる各国政府との交流、▽その他。

(3)原水爆禁止2017年世界大会の成功へ
 原水爆禁止2017年世界大会は8月3〜9日、広島、長崎両市で開かれる。今年の大会は、核兵器禁止条約が採択されたもとで、「核兵器なき世界」の実現に向けた運動と共同の発展の新たな方向性を示す場として、また、被爆地の広島・長崎からこれまで以上に被爆の実相、核兵器の非人道性を内外に発信し、「ヒバクシャ国際署名」を発展させる大きな結節点として、重要な歴史的意義を持つ大会となる。また、同条約が採択されたいま、日本政府に対し、これまでの米「核の傘」への依存政策を見直し、核兵器禁止条約の署名と廃絶への積極的寄与を求める日本の非核・平和運動の決意を示す場ともなる。わが会は、今年の世界大会が核兵器廃絶に向けて、日本と世界の反核世論と運動の新たな発展の跳躍台となるよう、その成功をめざす。

(4)被爆者支援・連帯の強化
 採択なった核兵器禁止条約は、その前文で核兵器の非人道性を告発し続けてきた被爆者の役割を高く評価するとともに、第6条で条約締約国は被爆者に対し「支援を差別なく十分に提供し、かつ彼らの社会的かつ経済的包摂を提供する」ことを義務づけた。この条約に照らしても、日本政府が広島・長崎の被爆から70年余を経てなお、放射線の影響を極めて狭い範囲に限定し、原爆症認定申請を却下する姿勢を改めない被爆行政の冷淡さは異常である。原爆症認定集団訴訟に続く「ノーモア・ヒバクシャ訴訟」でも、司法は基本的に認定却下処分を続ける行政の過ちを断罪している。被爆者の国家補償を∞現行の認定制度の抜本的改正を=\―被爆者のこの切実な要求の速やかな実現のために、「ノーモア・ヒバクシャ訴訟」をはじめ被爆者運動への支援・連帯を強める。

(5)非核自治体運動、非核「神戸方式」の前進を
 ●非核自治体宣言運動、非核・平和自治体行政の発展を引き続き追求するとともに、自治体から「核兵器禁止条約を支持し、日本政府に署名を求める」合意と共同を広げる。平和首長会議、日本非核宣言自治体協議会との連帯、共同を発展させる。
 ●神戸市議会が1975年3月18日に「核兵器積載艦艇の神戸港入港拒否に関する決議」を全会一致で採択し、非核「神戸方式」がスタートして今年で42年、この間、米軍艦は1隻も入港していない。核兵器禁止条約により核兵器が違法化されたいま、日米「核密約」破棄の課題とかかわってその存在意義を増している非核「神戸方式」の全国化にむけて、調査・検討を進める。

(6)会の組織的・財政的強化のために
 ●非核政府の会活動の再建・再開をめざす地方の会への協力・援助をはかる。
 ●ブロック別交流会、中央賛同団体との懇談会等を推進する。
 ●「非核の政府を求める会ニュース」の普及に努めるとともに、同紙がいっそう情報発信力を増し、会の活動を伝える紙面となるよう、紙面改善をはかる。「地方の会ニュース」編集者の経験交流をはかる。
 ●ホームページの更新を改善し、内容の充実をはかる。              □



[国民の皆さんへのアピール]
核兵器禁止条約の一日も早い発効を。「非核の政府」の声を大きく

 国民のみなさん
 2017年の夏、いま私たちは、国民の力が政治を変え、歴史を動かす、胸躍る情勢を迎えています。
 広島・長崎の被爆者はじめ被爆国日本の国民が長年求め続けてきた「核兵器禁止条約」が7月7日、ついに国連の場で採択されました。国連加盟国の実に3分の2、122ヵ国が賛成して採択した瞬間、国連の議場は、各国政府と市民社会代表らの拍手、喝采で沸き立ちました。核兵器は歴史上初めて違法化され、人類史上類を見ない大量殺戮兵器である核兵器は廃絶すべきとする、人類的・国際的規範が確立する時代を迎えることになります。
 全国注視の中、2週間前に投開票された東京都議会議員選挙では、核兵器禁止条約に反対する安倍政権の傲岸不遜、政治私物化の体質に都民が厳しい審判を下し、自民党は歴史的大敗を喫しました。都議選後の全国世論調査で、自民党の大敗は「よかった」とする回答が7割に達しています。内閣支持率も3割を切るなど、「安倍離れ」「首相不信」が沸騰し、情勢は政治激変の様相を呈してきました。
 私たち国民の声と行動が新しい時代を拓くことを実感できるこのとき、社会進歩に向き合って生きる喜びを共有し、ともに手を携えて、新しい変化を加速させようではありませんか。

 みなさん
 採択された核兵器禁止条約は、これまでの核兵器関連条約のように、核実験を禁止したり、核兵器の数を減らすだけが目的ではありません。国連、各国政府、市民社会が、何度も国際会議を開いて、広島・長崎の被爆の実相を学び、議論を重ねてたどり着いた結論――「悪魔の兵器、核兵器はいかなる状況下でも二度と使われてはならない」「核兵器を二度と使用しない唯一の保証は廃絶しかない」との熱い思いにあふれた条約です。同条約は、その「前文」で核兵器禁止からさらに廃絶へと向かう決意を力強く宣言するとともに、第1条「禁止項目」で、核兵器の開発、実験、製造、取得、貯蔵、移転、受領、使用等を禁じ、「使用の威嚇」の禁止も明記されました。まさに水も漏らさぬ禁止条約です。さらに第4条「核兵器の完全廃絶に向けて」を立てて核保有国・核依存国に条約参加の道を開き、廃絶に至る方途をも提示しているのです。内容を知れば知るほど、ワクワクさせられる条約です。条約そのものを学びあい、語りあって、「核兵器禁止条約の一日も早い発効を」「日本政府は速やかに署名し締結せよ」の声を大きく広げようではありませんか。

 みなさん
 それにしても、日本政府の核兵器をめぐる姿勢は驚くばかりです。安倍政権は、昨年暮れの第71回国連総会で、あろうことか「核兵器禁止条約のための交渉開始」決議に「反対」票を投じ、条約に背を向けたのです。この態度表明に、被爆者はじめ国民から「被爆国政府に裏切られた」「被爆国の重大な責任放棄」との失望、怒りの声があがっています。安倍政権のこの選択は、「被爆国政府」を語る資格を喪失することにほかなりません。いま国民の間に「日本が非核の政府であったなら」との思いが広がっているのは、至極当然です。核兵器廃絶を求める国民世論と、「核兵器固執政府」の素顔を露わにした日本政府との乖離がここまで拡大したからには、「市民と野党の共闘で非核の政府≠」の声を、全国津々浦々から巻き起こそうではありませんか。
 安倍政権と国民要求との乖離は、核兵器問題にとどまるものではありません。いま、改憲・戦争法推進、歴史逆行の安倍暴走政治を許すか、それとも市民と野党の共闘で「主権者は私たち」の政治の流れを加速させるかの選択が、鋭く問われています。安倍首相の異常な改憲発言、乱暴な手法による「共謀罪」法強行、「森友・加計」疑惑に見られる国政私物化、失言・暴言・不祥事による閣僚の相次ぐ更迭劇等を目の当たりにして、国民の多くは「もうがまんならない」との思いを募らせています。国政の私物化、憲法破壊の政治をこのまま続けさせてよいのかが真っ正面から問われている今、「安倍内閣退陣! 国会解散・総選挙で国民の信を問え」のコールを全国各地から響かせようではありませんか。

 みなさん
 核兵器禁止条約が採択され、その早期発効が求められる新たな情勢下、原水爆禁止2017年世界大会が、まもなく被爆地の広島・長崎で開かれます。今年の世界大会は、「核兵器なき世界」の実現に向けた運動と共同の発展の新たな方向性を示し、また、被爆地の広島・長崎からこれまで以上に被爆の実相、核兵器の非人道性を内外に発信する場として、重要な意義をもつ歴史的大会となります。今年の大会はまた、日本政府に対し、これまでの米国の「核の傘」への依存政策を見直し、核兵器禁止条約の署名と廃絶への積極的寄与を求める日本の非核・平和運動の決意を内外に示す機会ともなります。とりわけ、国連加盟国の圧倒的多数の締結を促し、核保有国・核依存国に条約加盟を迫り、核兵器禁止から廃絶へとステップ・アップするために、その決定的な力、世論喚起の力となる「ヒバクシャ国際署名」の本格的推進の跳躍台とすることに、世界が大きな期待を込めて注目しています。まさに今年の世界大会は、歴史に残る重要な大会となるにちがいありません。この大会を大きく成功させ、被爆の実相、核兵器の非人道性をさらに強く大きく発信して、核兵器のない平和で公正な世界の実現に向けてともに意気高く前進しましょう。

2017年7月15日    非核の政府を求める会第32回全国総会