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 ●提言・声明
 
第72回国連総会第1委員会・日本決議案 文言後退で批判浴びる
日本政府 核兵器禁止条約に言及せず
国連総会第1委員会(2017/11/15)
  10月27日、国連本部で開催中の第72回国連総会第1委員会で、核兵器関連決議案の採択が行われました。今年の論議は、7月の核兵器禁止条約の採択を受けて、これを歓迎し全加盟国に早期の署名・批准を呼びかける決議案が118ヵ国の賛成で採択されるなど、禁止条約の早期発効、核兵器廃絶へ、さらなる行動を求めたことが特徴です。
 こうした国際社会の進展と対照的に、日本政府は核兵器廃絶に対する後退姿勢を示して、少なからぬ国々から公然たる批判を浴びる事態となっています。
 日本政府は1994年以来毎年、「核廃絶決議」案を提出しています。しかし今年の決議案に核兵器禁止条約への言及はなく、「核兵器禁止条約という歴史的な事実を反映していない」(オーストリア)、「核廃絶の取り組みにおける嘆かわしい後退」(ブラジル)などの批判が突きつけられています。
 核不拡散条約(NPT)合意にかかわる「核兵器の全面廃絶に対する核兵器国の明確な約束」の表現をあいまいにする一方で、「核なき世界の実現に向けて様々なアプローチがあることを念頭に置く」との表現を盛り込み、核兵器禁止条約に反対する日本の立場を正当化しています。こうした日本政府の後退ぶりが、核兵器に固執する米国への配慮によることは明白です。
 採択で日本決議案は賛成144,反対4、棄権27で、昨年に比べて賛成が23票減、棄権が10票増となりました。
 被爆国にふさわしい非核の政府の実現は急務です。

【資料】第72回国連総会・日本国核兵器廃絶決議案(骨子)
[タイトル]「核兵器の全面的廃絶に向けた新たな決意の下での共同行動」

[前文]
●国際的な核不拡散体制の礎石としての核兵器不拡散条約(NPT),及び核軍縮,核不拡散,原子力の平和利用を追求するための不可欠な基礎としてのNPTの決定的な重要性を再確認。
●NPT体制の普遍性を更に強化する決意の再確認,並びに核軍縮,不拡散及び原子力の平和利用が相互補強関係にあり,NPT体制の強化に不可欠であることを想起。
●1995年NPT運用検討・延長会議並びに2000年及び2010年NPT運用検討会議の最終文書を想起。
●NPT条約発効50周年に当たる2020年のNPT再検討会議及び同会議に向けた一連の準備委員会等の重要性を強調。
●核兵器のない世界の実現に向けた様々なアプローチに留意しつつ,全ての国の間の信頼関係の再構築と協力関係の強化が核軍縮・不拡散の実質的な進展のために極めて重要であることを強調。
●国際的な平和と安全保障の強化及び核軍縮の促進は相互に補強関係にあることを再確認。
●地域の安全保障状況をめぐる現下の動きについての重大な懸念を表明。
●北朝鮮による累次の核実験・弾道ミサイル技術を用いた発射は.地域及び世界の平和及び安全保障対する.これまでにない,重大かつ差し迫った脅威であること,NPTを中心とする体制に対する重大な挑戦であること等を想起。
●核軍縮の検証能力の発展に向けた取組を歓迎,この点に係る核兵器国と非核兵器国の協力の重要性を強調。
●包括的核実験禁止条約(CTBT)の署名開放以降のCTBT期間準備委員会の成果を称賛。
●核兵器使用の壊滅的で非人道的な結末に深い懸念を表明,国際人道法を含む関連国際法の遵守の必要性を再確認。
●核兵器使用による壊滅的で非人道的な結末が皆に十分に理解されるべきことを認識し,その関連で,こうした理解を促進するための努力がなされるべきことに留意。
●政治指導者による近年の広島・長崎訪問を歓迎。
●核及び放射性物質のテロが引き続き国際社会にとり緊急かつ発展的な挑戦であることを想起し.核セキュリティにおけるIAEAの中心的役割を再確認。

[本文]
●国際的な緊張関係を緩和し,NPT前文で想定されているように国家間の信頼の強化等により核兵器の全面的廃絶に向けた共同行動をとることを全ての国により改めて決意。
●全ての者にとって安全で,核兵器のない平和で安全な世界の実現に向け,NPTを完全に実施するという核兵器国の明確な約束を再確認。
●2017年のNPT第1回準備委員会の成功を歓迎し,2020年のNPT運用検討会議に向け最大限努力することを奨励。
●全ての国が,核軍縮・不拡散の実践的,具体的かつ効果的な措置を促す意義のある対話に一層関与することを奨励。
●核兵器の使用による非人道的な結末についての深い懸念が,核兵器のない世界に向けた全ての国の努力を下支えする主要な要素であり続ける旨強調。
●全ての国に対して,国際的な緊張を緩和し,国家間の信頼を強化し,更なる核兵器の削減につながる環境を醸成するよう奨励し,核兵器国に対し,一方的な措置,2国間の措置,地域的な措置及び多数国間の措置によるものを含め,全ての種類の核兵器を削減し究極的に廃絶するため一層努力するよう要請。
●核兵器国に対し,2020年のNPT運用検討会議に向けたプロセス全体を通じ,核軍縮のための取組の一環として,特に,解体・削減された核兵器及び運搬手段に関するより頻繁で詳細な報告を行うことによるものを含め,透明性の向上及び相互信頼の拡大のための取組を発展させていくことを奨励。
●核兵器国から明白で法的拘束力を伴う安全の保証を受けることについての非核兵器国の正当な利益を認識し,核兵器国に対し安全の保証に関するコミットメントを十分に尊重するように求めるとともに,更なる非核兵器地帯の設置を奨励。
●北朝鮮による核実験を踏まえ,核実験モラトリアムの普遍的な遵守の死活的重要性及び緊急性を強調。CTBTの発効要件国である北朝鮮による核実験が続く中,同条約の発効は可能ではない。北朝鮮に対し遅滞なく署名・批准することを要求。
●核兵器用核分裂性物質生産禁止条約(FMCT)交渉が開始され,早期妥結するまでの間,核兵器用核分裂性物質の生産モラトリアムを宣言し維持することの死活的な重要性及び緊急性を強調。
●特に発効要件である8か国がCTBTの署名・批准に向けて取組むことが要請されていることを想起しつつ,CTBTの早期発効,FMCTの早期交渉開始に対する広く浸透した要請を認識。
●とりわけ,指導者や若者等がコミュニティや被爆者を始めとする人々を訪問し,交流し,これらの人々から将来世代に自らの体験を引き継ぐこと等を通じ,被爆の実相に関する認識を向上させるためのあらゆる取組を奨励。
●北朝鮮による,全ての核実験及び弾道ミサイル技術を使用した発射を最も強い表現で非難。北朝鮮に対し,更なる核実験の実施を控えるとともに,全ての進行中の核活動を完全で,検証可能で,かつ不可逆的な方法で直ちに放棄することを強く要求する。北朝鮮に対し,全ての関連する国連安保理決議を完全に遵守するとともに,2005年9月19日の六者会合共同声明を履行し,IAEAの保障措置を含め,速やかにNPTの全面的な遵守に復帰することを要求。
●全ての国に対し,北朝鮮の核・ミサイル計画がもたらすこれまでにない,重大かつ差し迫った脅威に対処するため,全ての関連する国連安保理決議の完全な履行を通じることを含め最大限の努力を行うよう要請。
●全ての国に対し核兵器の拡散を防ぐ効果的な国内管理を確立し執行するよう要請するとともに,不拡散の取組における国際的な連携と能力構築の強化のための国家間の協力及び技術支援を奨励。