下顎枝からの骨採取
下顎前歯部インプラント埋入
患者は外傷により下顎前歯を喪失 左右側切歯部に2本のインプラントを埋入しブリッジにて補綴予定
骨幅が少ないためインプラント埋入と同時に右下顎枝からK-トレフィンバーにて骨採取、チタンメッシユとスクリューにて移植骨を固定
CTデンタスキャン画像とシンプラントからインプラント埋入には十分な骨幅と高さが足りないことが確認できます。
インプラント埋入と同時に骨移植を行い、大幅に骨ボリュームが増加する為、歯槽頂切開では弁を閉じることができなくなります。
その為、切開ラインは歯肉頬移行部から5ミリ前庭側に行います。
剥離してみると幅の少ない歯槽骨が確認されます。このままではインプラントのフィクスチャーが露出してしまいます。
生理食塩水の注水下でステントで位置を確認しながらのドリリングします。唇側の骨が裂開しないように舌側に力をかけてのドリリングになります。
方向指示棒でインプラント植立方向を確認します。左側はもう少し遠心に埋めたいところですが、犬歯の根尖がかなり近心に振っているのでバッティングをさけました。
骨幅がたりないのでインプラントフィクスチャー表面が露出しています。露出したインプラント表面は採取骨で覆います。
下顎大臼歯部頬棚部から下顎枝にかけて骨採取を直径6ミリのK-システムで行いました。
2cc程度の骨が採取できました。骨を移植する箇所にディコルチケーションを行いましたが、骨が薄いので皮質骨が厚く骨髄がほとんど無く、あまり出血しません。
骨を入れる前に先にチタンメッシュをスクリューで固定します。それを広げながら骨を詰め込んでいきます。
てんこもりの骨です。糊の役目の為、チタンメッシュ表面にも骨のペーストを塗ります
これだけ増大した顎堤を縫うことはたいへんです。チタンメッシュの除去は3ヶ月後に行います。
このケースはあらかじめ骨を作っておき、骨が安定してから2次的にインプラント埋入をするという選択もありますが、手術回数を減らしたいとの患者の希望もあり1回でインプラントの埋入まで行っています。
従来でしたら皮質骨ブロックをスクリュー固定するという方法をとってきましたが、固い皮質骨は骨内部への血管再生が難しく、長期的には骨吸収が著しくおこるので現在はあまり行っていません。また、皮質骨ブロックは感染による露出のリスクも高いように思います。