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Split Crest スプリットクレスト

筆者情報

インプラント手術の為のスプリットクレスト

スプリットクレスト

インプラント手術において一番頻繁に問題となることはインプラントを埋入するのに十分な骨量がないことです。上顎の大臼歯部であれば上顎洞底をサイナスリフトで挙上してインプラントを埋入することができますが、前歯部は鼻腔があり、若干であればネイザルリフトという手がありますが、幅と高さを確保したい場合にはオンレーグラフトということになります。直径4ミリのスタンダードサイズのインプラントを良い状態で埋める為にはインプラントの唇側に2ミリの骨の厚みが必要です。またインプラントの舌側には1ミリの厚みが必要となります。つまり、審美的に安定したインプラントを埋入する為には、最低7ミリの骨幅が必要となります。また、インプラントの長さも10ミリ程度は確保したいので、最低10ミリの骨の高さが必要となります。現在の骨の枠組みの外側に骨を造成するのに、従来は腸骨ブロックをスクリューで固定することが一般的でしたが、腸骨ブロックは非常に緻密な皮質骨で、内部に新生血管が入ることが困難な為、骨のリモデリングが難しく、短期的には問題はおこりませんが、5年単位で観察すると50%程度吸収して無くなってしまうことがしばしばあります。今回のケースは脛骨から海綿骨と骨髄を採取して、左右両側のサイナスリフトと前歯部から小臼歯部にかけてスプリットクレストで骨髄海綿骨をサンドイッチしその上から海綿骨をチタンメッシュで固定する方法をとりました。

インプラント術前シンプラント画像

術前のシンプラント画像ですが右上前歯部歯槽骨が根尖部まで吸収しています。

インプラント術前シンプラント画像

前歯部は垂直的に骨吸収があるだけでなく、水平的にも骨量が不足しています。

インプラント術前シンプラント画像

インプラント埋入をシンプラントでシュミレーションしてみると、インプラントの大部分が骨の外にはみ出してしまします。

インプラント術前シンプラント画像

前歯部にも臼歯部にもインプラントを埋める十分な骨はありません。

インプラント術前シンプラント画像 インプラント術前シンプラント画像

前歯部はインプラントを埋入するのに高さはぎりぎりありますが、幅はありません。唇側からのベニヤグラフト単体も考えましたが、ドナーサイトが脛骨ですので皮質骨ブロックの採取ができません。また、歯槽骨内部も皮質骨化しており、オンレーグラフトしても血液供給が十分でなく、移植骨の壊死や感染のリスクが高くなります。

インプラント術前シンプラント画像

また上顎洞は異常に大きく、前方部は犬歯の近心まであります。

インプラント術前シンプラント画像

残存歯は最終的には全て抜歯の予定です。

インプラント手術の為の脛骨移植 インプラント手術の為の脛骨移植

両足とも毛を剃り消毒し、滅菌したストッキングを履かせます。後で傷跡が目立たないように皮膚の皺に平行し切開します。

インプラント手術の為の脛骨移植 インプラント手術の為の脛骨移植

スキンフックでひっぱり術野を明示します。切開は2センチくらいです。

インプラント手術の為の脛骨移植 インプラント手術の為の脛骨移植

トレフィンバーで直径1センチ程度の孔を開けます。

インプラント手術の為の脛骨移植 インプラント手術の為の脛骨移植

開けた孔から鋭匙で海綿骨と骨髄を採取します。
固い部分の皮質骨は入り口の部分だけで、採取する骨は本来体重を支えるような硬い骨ではいので、患者さんは次の日からほとんど痛みもなく、普通に歩くことができます。
腸骨からの骨採取の場合だと翌日の歩行は結構痛みがありますし、一週間経っても結構痛いです。一ヶ月くらいは痛みが残ると御考え下さい。

インプラント手術の為の脛骨移植

さて、実際は脛骨採取と同時に別チームで口腔内の手術も行われています。
左右のサイナスリフトが終わり、スプリットクレストが終了した時点で骨の採取が完了する段取りです。

インプラント手術の為の脛骨移植

大量の骨で造成しますので、切開線は歯肉頬移行部から5ミリ前庭側になります。

インプラント手術の為の脛骨移植

粘膜骨膜弁を剥離したところです。

インプラント手術の為の脛骨移植 インプラント手術の為の脛骨移植

右側のサイナスリフトから始めます。ピオクタニンで開窓部をマークしラウンドバーでシュナイダー膜ぎりぎりまで削ります。

サイナスリフトが終了したら右上中切歯から第二小臼歯部にかけて、歯槽堤増大の目的でスプリットクレストを行います。 

平ノミでラウンドバーで削った最深部を軽くマレッティングし破折させ、大型の止血ノミかボーンタンパーでウインドウの上から皮質骨をたたきます。
ウインドウ部分の皮質骨が可動することを確認したら、隙間からシュナイダーメンブレンを剥離します

インプラント手術の為の脛骨移植 インプラント手術の為の脛骨移植

サイナスリフトが終了したら右上中切歯から第二小臼歯部にかけて、歯槽堤増大の目的でスプリットクレストを行います。
尚、後方第二小臼歯部は開窓部から歯槽頂にかけてスプリットが拡大できるように垂直的に骨切りしてあります。

インプラント手術の為の脛骨移植

前歯部から第二小臼歯部にかけて歯槽骨基底部にかけてスプリットが終了した状態です。
この隙間に脛骨から採取した骨髄を充填していきます。

インプラント手術の為の脛骨移植 インプラント手術の為の脛骨移植

左側も同様に頬側皮質骨を開窓していきます。

インプラント手術の為の脛骨移植

今回のケースは左側上顎洞が犬歯の近心まである、非常に大きい上顎洞でしたので、まず、通常の位置と大きさでウインドウを開け、それから前方に広げていく方法をとりました。
ぺらぺらの薄い皮質骨を折り紙のように折り曲げながら、新たな上顎洞底として空洞を作り、内部に骨髄を充填します。

インプラント手術の為の脛骨移植

脛骨骨髄は20cc程採取できました。これは腸骨の通常採取骨量の倍程度の量です。

インプラント手術の為の脛骨移植

これを、サイナスリフトをした上顎洞内部に充填し、スプリットクレストした歯槽骨にサンドイッチで挟み込み、その外側にも骨髄を置きます。

インプラント手術の為の脛骨移植

上からチタンメッシュで固定します。

インプラント手術の為の脛骨移植

左側の上顎洞にも骨随を充填します。

インプラント手術の為の脛骨移植

縫合が終わったところです。右側前歯部の歯槽堤が増大したのがわかります。

インプラント手術の為の脛骨移植

術後のレントゲンですが大幅な上顎洞底挙上ができていることがわかります。

インプラント手術の為の脛骨移植

上は術後一週間で抜糸時の脛骨採取部の状態ですが、痛みもなく良好です。

口腔外からの骨採取では腸骨からの採取が一般的でしたが、術後一ヶ月程度の術後痛が問題でした。

脛骨採取では術後の翌日から大きな痛みは無く、患者様にとっては、口腔内からの採骨よりも遥かに快適なような気がします。

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