城南山人編・著書一覧


1.甲骨文字書道のすすめ    1984 日貿出版社 3500 円(絶版)

 「作品集」と「字形字典」、そして甲骨文のことを一から知りたい人のために必要な文献を紹介する「甲骨文への招待」、「索引」とからなる入門書。これ一冊でいきなり三千数百年前の殷帝国に舞い降りることができます。

古代文字で作品を書く場合、一番難しいのは字典の使い方です。多くの学者のいろんな意見が存在するからです。本書の「甲骨文字形字典」は1984年時点で考えられる、最も重要な五冊の字典(『甲骨文編』・『続甲骨文編』・『京都大学人文科学研究所蔵甲骨文字索引』・『漢字の起源』・『漢字類編』)を比較一覧してあるので、自分の考えで適切な文字を選ぶことが出来ます。


2.金文字形字典        1986 日貿出版社 4800 円(絶版)

 前著『甲骨文字書道のすすめ』と同じスタイル。「作品集」と「字形字典」、「金文書道へのアプローチと問題点」、「中国図書の入手について」などを含みます。金文というのは、金属器に鋳込まれたり彫りつけられた文字のことなのですが、甲骨文がほぼ殷代固有だったのに対して、金文は甲骨文と同じ頃から始まって篆書時代の全ての時期に存在します。このうち書道では西周期金文を特に尊重して他の時代の金文とは峻別します。本書は前著に次いで、金文の重要な五冊の字典(『金文編』・『漢語古文字字形表』・『古文字類編』『漢字の起源』・『字統』)を比較一覧化していますが、このうち『漢語古文字字形表』と『古文字類編』は意図的に、西周期金文に特化した欄に作り直しています。つまりこの二つの欄を使えば、他の時代の金文が混入することなく、黄金時代といわれる西周期金文の書道が安心して行えるのです。


3.春秋戦国篆書字典      1988 木 耳 社 3500 円 (絶版)

 殷代はごくわずかの金文や陶文なども見られますが、殷を代表するのは何と言っても甲骨文で、しかもこれだけで書道を行うだけの文字の量があります。次代の西周期は、西周期金文以外に殆ど文字遺品が知られません。つまり、殷と西周は甲骨文と西周期金文によって、それぞれ質の均一な書道が行えるのです。ところが東周期(春秋・戦国時代)になると、王朝の支配力の低下とそれに伴う文字の職掌による独占化が衰えて、文字の地方化が顕著になります。特に戦国時代には群雄割拠した列国間で、文字が互いに通じないという様なことまで起こってきたのですが、これは後に秦の始皇帝が文字統一を行い、一応の解決を見ました。本書は、この春秋戦国時代の多種多様な文字群に注目し、書道の可能性のある時間と空間の交点を探りました。方法としては、『漢語古文字字形表』と『古文字類編』を比較しながらこの時代の主要な作品を見、「古文」「籀文」との関連も考えられるような構成にしました。
 

4.古代文字書道入門      1994 芸術新聞社 2854 円 (税込)

 古代文字書道という名称は私が作りました。それまでは甲骨文も金文も「篆書の一種」というほどの認識で、作品にする人も少なく、篆書といえば小篆だったのです。東周期の文字まで詳しく見、これを書道しようという人も殆どありませんでした。書道として篆書時代を総括し、古代文字書道に体系を与えようというのが本書の目的です。

書をやらなくても、漢字と書に興味のある人には面白い読み物になるように心がけ、グラフ誌並みの膨大な量の図版と作品を掲載しました。またタイトルは『古代文字書道入門』ですが、これまで興味はあっても思い切って書の世界に飛び込めなかった人のための「書道入門」と中・上級者の「再入門」を兼ねた技法編を工夫して作りました。他に必要十分な基礎知識編と資料編があります。        序文:松丸道雄氏(東京大学名誉教授・中国古代史、甲骨金文学)

5.書の絵本ー古代文字動物園ー 1997 日貿出版社 2400 円 (絶版)

 私は変わり者の書家で、古代文字書道を実践するために中国の甲骨文や金文の字典をひっくり返す毎日がやがて20年になります。以前から気づいていたのですが、これらの字典の中に動物の名前が相当出てくるのです。これらを全部並べてみたら面白いものが出来るかも知れない、と思ったのが本書を書き始めた動機です。一字ずつ並べて「作品集」にしようと思ったのと、私自身の興味と関心を文章にして、作品例と対照させてみようと考えました。「書の絵本」と題したゆえんです。私の興味と関心は、古今の名称があるかどうかということ、現在の種との関連性、和名と漢名、学名を中心にした現在の日中の動物名比較、自然と人間のこと、人間と動物のことなど、きりがないほどあります。更には又、麒麟・鳳凰・竜など想像上の動物も数多く見られるので、これらのことも調べてみました。兎に角「大好きな」古代文字と、動物に関して、楽しんで作った本です。

 

6.説文解字篆書字典      1998 木 耳 社 12000 円 (絶版)

より深い漢字理解のためには「『説文解字』の全文を見なければならない。それもわかりやすい形で。」というのが私の持論である。字説にはいろいろあって何を信じるかは正にその人の勝手であるが、総ては先ず、現に残されている最古の整備された字典(即ち『説文』)に目を通すことから始まるだろう。『説文』には一万字近い文字があって、これが最も古代文字寄りの由緒ある集合である。注目すべきは、『説文』約一万字のうち第一・第二水準漢字と補助漢字(いわゆる第三水準漢字)にもない文字が約三千あることで、これら三千字はもう殆ど使われなくなった文字であり、滅びつつある文字といえる。しかしこれら三千字は決して無用無能の代物ではない。それどころか漢字そのもの、漢字の歴史、漢字を通してみる古代人の生活や歴史を知る上での宝庫なのである。理由は滅びつつある文字には濃厚に過去が残っているからである。『説文』は決して学者だけのものではないし、単なる篆書(小篆)字典でもないのである。日本に簡単に『説文』を一覧できる字典の出版のなかったことが、私にこの字典を編ませた最 大の理由である。(序文より抜き書き)

7.漢字のルーツー古代文字で遊ぶー   2001 マール社 1200円(税別)                    マール社編集部編・城南山人監修

 この度マール社から、古代文字を初心者にもわかるように取り上げた楽しい入門書を作りたいという相談があり、いささかの協力を致しました。古代文字と古代文字書道フリークの私が一から本を作るとどうしても硬いものになりますが、本書は楽しくカジュアルな内容で、しかもあらゆる方面の人々に開かれた入門書になったと思います。楽しんで下さい。(跋文より)

8.漢字のルーツー古代文字字典ー     2002 マール社 2000円(税別)  甲骨・金文編 

 1.『甲骨文字書道のすすめ』と2.『金文字形字典』が長く絶版状態になっていたのをやっと回復する事が出来ました。

 「甲骨編」も「金文編」も資料を新しくし、字例が私の手書きであったのを原字コピーに改めました。

 マール社の提案でカラーの口絵16頁のやさしいアプローチを設け、僅かながらも旧作を含む作品例と、原字の用字例、カラーの実用語彙作例なども載せました。デザイン関係の人たちにも、大いにこの字典を活用して欲しいと思っています。

9.漢字のルーツー古代文字字典ー     2003 マール社 2000円(税別) 別巻・古文編              



上記既刊が必要な方は各出版社にお問い合わせ下さい。

日貿出版社   TEL   03-3295-8411

木耳社     TEL   03-5276-9001

芸術新聞社   TEL   03-3265-4579

マール社    TEL   03-3812-5437



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