基発第0808002号
                                             平成15年8月8日

都道府県労働局長 殿

                                         厚生労働省労働基準局長
                                                  (公印省略)


      神経系統の機能又は精神の障害に関する障害等級認定基準について


 神経系統の機能又は精神の障害に関する障害等級の認定については、昭和50年9月30日
付け基発第565号別冊「障害等級認定基準」(以下「基本通達」という。)により取り扱っている
ところであるが、今般、平成15年6月に報告のあった「精神・神経の障害認定に関する専門検
討会」の検討結果を踏まえ、基本通達の「5 神経系統の機能又は精神」に係る部分及び昭和
56年1月30日付け基発第51号「神経系統の機能又は精神の障害に関する障害等級認定基準
の一部改正について」を廃止し、別添1のとおり「神経系統の機能又は精神の障害に関する障
害等級認定基準」(以下「認定基準」という。)として定めることとしたので、下記事項に留意の上、
事務処理に遺漏のないように期されたい。
 また、認定基準に係る医学的事項を別添2のとおり定めたので、併せて了知するとともに、新
旧対照表(別添3)を添付したので、参考にされたい。
 なお、本通達の施行に伴い、基本通達の「5 神経系統の機能又は精神」に係る部分を削除する。


                            記


1  主な改正点
 従来の神経系統の機能又は精神の障害に関する認定基準については、昭和50年以降一部
を除き改正されなかったことから、非器質性精神障害の後遺障害について外傷性神経症のみ
を想定していることや現在では脳損傷等の診断に不可欠となっているMRI、CT等の画像診断
が検査方法として記載されていないこと等今日における医学的知見等の進展に適合しない部分
も見られたところであり、さらには、労働能力の喪失の程度を医学的な総合判断に委ねる等明確
さを欠く点もあったことから、今日における医学的知見を踏まえて認定基準の改正を行った。

(1)  脳の損傷による後遺障害の障害等級の認定
 認定基準の明確性の向上を図る観点から、脳の器質的損傷に基づく精神障害については高
次脳機能障害と位置づけた上、高次脳機能障害と身体性機能障害のそれぞれについて以下の
ような基準を設定するとともに、両者が併存した場合の取扱いを示した。 ア  高次脳機能障害
 高次脳機能障害の評価の基準として意思疎通能力、問題解決能力、作業負荷に対する持続力・
持久力及び社会行動能力(以下「4能力」という。)に着目し、4能力の喪失の程度により障害等級
を認定することとしたこと。
イ  身体性機能障害
 脳損傷による身体性機能障害については、麻痺に着目することとし、麻痺の範囲及びその程度
により障害等級を認定することとしたこと。

(2)  非器質性精神障害の後遺障害の障害等級の認定
 脳の損傷によらない精神障害(非器質性精神障害)の認定基準については、外傷性神経症に
係る認定基準のみ設けられていたところであるが、うつ病やPTSD等の精神障害の労災認定の
増加傾向に鑑み、業務上の非器質性精神障害の後遺障害一般に関して適用する基準を設定した。
ア  非器質性精神障害の特質と障害認定
 非器質性精神障害は、その特質上業務による心理的負荷を取り除き、適切な治療を行えば、
多くの場合完治するのが一般的であり、完治しない場合でも症状がかなり軽快するのが一般的である。
 また、重い症状を有している場合でも、非器質性精神障害の特質上、大幅に症状が改善する可能性
が十分にあることから、通勤・勤務時間の遵守、対人関係・協調性等の能力に関する判断項目のうち
複数の能力が失われている等重い症状を残している場合は原則として療養を継続することとしたこと。
イ  障害認定の基準
 「抑うつ状態」等の精神症状が認められるものについて、能力に関する判断項目の障害の程度に応
じて原則として9級・12級・14級の3段階で障害等級を認定することとしたこと。

(3)  せき髄損傷による後遺障害の障害等級の認定
 せき髄損傷による後遺障害の認定基準についても、認定基準の明確性の向上を図る観点から、麻痺
の範囲及びその程度を基本としつつ、せき髄損傷に通常伴って生じる神経因性膀胱障害等の障害も含
めた基準を設定したこと。

(4)  外傷性てんかんの後遺障害の障害等級の認定
 外傷性てんかんについては、従来てんかん発作の型にかかわらず障害等級を示していたが、発作の
型により労働能力に及ぼす影響が異なることから、発作の型と頻度により障害等級を認定することとしたこと。

(5)  反射性交感神経性ジストロフィー(RSD)の評価
 RSDの取扱いは、従来認定基準上明確ではなかったが、一定の要件を満たすものについて、カウザル
ギーと同様の基準により障害等級を認定することとしたこと。


2  的確な認定基準の運用の前提となる症状把握

(1)  主治医等に対する意見書の様式
 主治医等に対して意見等を照会する場合の様式を様式1〜3のとおり定めたこと。

(2)  高次脳機能障害
 労働者災害補償保険法施行規則(以下「施行規則」という。)第14条の2に基づく障害補償給付
請求書(様式第10号)又は施行規則第18条の8に基づく障害給付請求書(様式第16号の7)裏面の
診断書の傷病名の欄等に頭部外傷又は脳血管疾患等による高次脳機能障害が想定される障害
が記載されている場合については、主治医に対して様式1により、家族(あるいは家族に代わる介
護者)に対して様式2により障害の状態についての意見を求めること。
 また、様式1の裏面に記載されている「高次脳機能障害整理表」は4能力の喪失の程度別に後遺
障害の例を示したものであり、主治医が4能力の障害に関する意見を記載するに当たって活用する
ものであること。
 なお、高次脳機能障害の状態について家族(あるいは家族に代わる介護者)と主治医の意見が著しく
異なる場合には、再度必要な調査を行うこと。

(3)  身体性機能障害
 様式第10号又は様式第16号の7裏面の診断書の傷病名の欄に脳損傷又はせき髄損傷が想定
される傷病名が記載されているものについては、主治医に対して様式1により障害の状態について
の意見を求めること。
 また、麻痺の範囲と程度は、身体的所見及びMRI、CT等により裏付けられることが必要であるから、
主治医の意見書に記載されている麻痺の性状及び関節可動域の制限等の結果と麻痺の範囲と程度
との間に整合性があるか否か確認し、必要に応じて調査を行った上で、障害等級を認定すること。
 たとえば、麻痺の性状の欄に弛緩性、関節可動域の制限の欄には麻痺している部位のいずれの関節
も自動運動によっては全可動域にわたって可動させることができると記載されているにもかかわらず、
麻痺が高度であると記載されている場合には、主治医に再度意見を求める等の調査が必要であること。

(4)  非器質性精神障害
 主治医に対して様式3により障害の状態の詳細についての意見を求めること。


3  基本通達との関係
 基本通達は、障害等級認定の一般的な考え方を示したものであるので、基本通達のうち、「第1 障害等
級認定に当たっての基本的事項」については、神経系統の機能又は精神の障害に関する障害等級の認定
を行うに当たっても適用があること。


4  施行日等
(1)  改正した認定基準は、平成15年10月1日以降に支給事由が生じたものについて適用し、
平成15年10月1日前に支給事由が生じたものについては改正前の認定基準によること。
(2)  現に障害(補償)年金を受給している者については、改正した認定基準を適用しない。
 ただし、労働者災害補償保険法第15条の2施行規則第14条の3又は施行規則第18の8に基づく障害(補償)
給付変更請求書(様式第11号)の提出がなされた場合には、改正した認定基準に基づき障害等級を認定し、
必要に応じて障害(補償)年金を改定すること。


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