高次脳機能障害の新しい判例   平成18年5月26日札幌高裁

高次脳障害、画像で無傷でも認定 札幌の女性が逆転勝訴

北海道新聞 2006/05/27 より

 記憶力などの人間らしい脳の働きが著しく低下し、日常生活を満足に送れなくなったのは、
交通事故に遭い高次脳機能障害を負ったからだとして、札幌市内の女性(25)が事故を起こ
した運転手(35)に約一億二千万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決が二十六日、札
幌高裁であった。
末永進裁判長は、女性が交通事故によって高次脳機能障害になったと認定。
一審札幌地裁判決は高次脳機能障害を認めず、運転手に対し、女性に通院慰謝料約二百
四十万円の支払いしか認めなかったが、それを変更し、約一億千八百万円を支払うよう命じ
る逆転判決を言い渡した。

 自動車損害賠償保障法(自賠法)では、高次脳機能障害に認定されれば保険金が支払われる。
認定されるには
《1》脳の損傷が画像で認められ
《2》意識障害が一定期間続き
《3》人格の変化や記憶の低下が著しい−という三要素を満たす必要がある。
だが女性は《1》と《2》を満たさず、女性を高次脳機能障害と認めるかどうかが争点だった。

 末永裁判長は判決理由で「高次脳機能障害は最近ようやく社会的に認識されるようになり、
現段階では外見からは診断が困難な場合もある。このため患者に対する保護が不十分なケー
スがある。それらの事情や、女性の事故後の症状と生活を考慮し、女性は事故で高次脳機能
障害を負ったと判断した」と述べた。

 女性は高校一年だった一九九七年六月、札幌市内で車に乗っていて追突事故にあった。
事故直後は目立った異常はなかったが、二週間ほどたってから舌がもつれたり頭痛がひどく
なるなどした。ひらがなも書けなくなるなどし、学力は次第に下がり大学進学は断念。
高卒後の勤務先は解雇された。

 病院での診断では高次脳機能障害の三要素を満たさなかったため、保険金を受け取ること
ができずにいたが、症状は悪化をたどったため二○○二年、障害の認定を求め提訴した。

 この日命じられた賠償額のうち高次脳機能障害に対する慰謝料として認められたのは、障害
と認定されれば保険金として受け取ることができたはずの約二千万円。残りは、女性が将来得
られたであろう逸失利益など約九千八百万円。
判決が確定すれば、合わせて運転手側の自賠責保険と任意保険から支払われるとみられる。


トップページ脳外傷による高次脳機能障害について平成18年5月26日札幌高裁判決

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