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外国人の交通事故

日本で、外国人と外国人、外国人と日本人が交通事故をおこす、
外国で外国人と日本人、日本人と日本人が交通事故をおこすなど、
色々なパターンの渉外交通事故があります。

ここでは、日本における交通事故についてご紹介します。

:裁判の管轄はどうなるの?
:外国人と外国人、外国人と日本人のいずれの事故の場合も、日本の裁判所に国際裁判管轄が認められます。
 ただし、事故に遭った外国人が本国で訴訟を起こした場合は、管轄をめぐって争われる可能性があります。

:どこの国の法律が適用されるの?
:原則として日本の法律が適用されます。
  参考  法の適用に関する通則法  第17条  本文
 「不法行為によって生ずる債権の成立及び効力は、加害行為の結果が発生した地の法による。」

:損害賠償は日本人の場合とどう違いますか?
:在留資格や滞在の可能性などのに差があるため、日本人が被害者になった場合とは別の配慮が必要となります。
  
積極損害(治療費、通院費等)
    … 日本人とほぼ同等の額が認められます。
      渡航費、遺体運搬費、将来の費用が問題になることがあります。
  
消極損害(休業損害、逸失利益)、慰謝料
    …被害者の本国が、所得や生活水準の高い国の場合、あまり問題は起きません。
     日本と比べて所得水準や生活水準が著しく低い国の場合は、その水準が問題となる場合があります。

:自賠責保険から支払があったとき、注意することはありますか?
支払基準は日本人と同じです。
  従って、場合によっては損害の全額が自賠責から補償されることがあります。
  
訴訟の提起が結果的に無駄になった例

 ○ 東京高裁 平成13年1月25日判決(上告)  事件番号 平成12年(ネ)第3166号
   (原審) 東京地裁 平成12年4月28日判決  事件番号 平成10年(ワ)第23212号
   <出典> 自動車保険ジャーナル・第1385号

 平成6年発生の、不法就労のスリランカ人(43歳男子一家支柱)の死亡事案につき、日本人の慰謝料と別に考えるのは不相当であると、2600万円認定した原審判決を変更し500万円に減額して認めた事例。
   
 ○東京高裁 平成7年1月19日判決 事件番号 平成5年(ネ)第3801号 損害賠償請求控訴事件
   <出典> 自保ジャーナル・判例レポート(別録ハ−38)  交民集28巻1号13頁
   (1審)
   東京地裁 平成5年9月10日判決 事件番号 平成2年(ワ)第14786号
   <出典> 自動車保険ジャーナル・第1044号 交民集26巻5号1176頁

 韓国の大学を卒業し、日本の大学院に入学するため来日中の36歳韓国籍男子が死亡した事案で、被害歩行者に6割の過失相殺が適用されたため、認容された損害額の合計が自賠責保険で支払われた金額以下となり、請求が棄却された。

:外国人の交通事故で、何か特別な点はありますか?
:外国人が関係した場合、まず、その外国人の身分確認がされます。
 旅券又は外国人登録証明書その他の提示が求められます。

  領事機関へ通報されます。それは、永住許可を取得していても同じです。
  オーバーステイなどの不法滞在者は、現行犯逮捕されます。

国際運転免許証で注意することはありますか?
:次のようなことに注意する必要があります。
 ・ジュネーブ条約締約国であること
 ・国際運転免許証の有効期限が満了していないこと
 ・日本に上陸してから1年未満であること
 ・18歳以上であること (国によって免許がとれる年齢が違う)
 ・普通車の免許であっても、原付が運転できない
 ・国際運転免許証を持たないで運転すると、無免許運転になる


特に裁判で問題となる損害賠償額について判例をあげておきます。

自賠責保険の支払基準は日本人と同じです。
裁判では過失がシビアにとられますし、本国での生活水準なども考慮にいれないと、上手な裁判ができないようです。


積極損害 渡航費、遺体運搬費用等

○東京地裁 平成10年1月28日判決  事件番号 平成5年(ワ)第20060号 確定判決
   <出典> 自動車保険ジャーナル第1252号 (平成10年7月2日掲載)

・頸椎捻挫等を負った韓国人主婦が妊娠中でX線検査等が受けられず、帰国して漢方治療を受けた事案で、漢方治療の相当因果関係が認められた。
・頸椎捻挫等を負った韓国人主婦の帰国は、里帰り出産が目的であると、休業損害から60日分が出産目的に控除され、漢方治療は日本でも受けられることから帰国費用が否認された事例。
・両親の来日費用は、妊娠中の受傷であることから1名分が認められた。

○広島地裁 平成11年3月31日判決(確定) 事件番号 平成9年(ワ)第118号
   <出典> 自動車保険ジャーナル・第1385号

・不法就労するペルー国籍29歳男子の死亡慰謝料につき、日本とペルーの経済状況の差異等から、1000万円認めた。
・葬儀関係費用 34万円余、 日本からペルーヘの遺体搬送のための梱包費用63万円余、日本からペルーへの遺体搬送費用 32万円余が認められた。


積極損害 将来介護費

○ 大阪地裁 平成17年11月30日判決(確定) 事件番号 平成16年(ワ)第4618号 損害賠償請求事件
   <出典> 自動車保険ジャーナル・第1629号  (平成18年3月9日掲載)

・1級後遺障害を残す43歳男子韓国籍不法就労者は在留特別許可を得たので本邦の介護基準日額8,000円で介護料を認めた
・原告は赤信号で横断したので、8割の過失相殺を適用され、損害額の合計は1億円余であったから、上記の過失割合を控除すると、結局、原告の損害賠償請求権は、2,443万円余となり、既に自動車損害賠償責任保険より3,220万円を受領しており、これを控除すると、既に損害額は全額填補済みであるとされた。


休業補償

○定着居住者:永住者、日本人の配偶者等、永住者の配偶者等、定住者、特別永住者
→ 日本人の場合と同じ基準で算定されます。

就労ビザを持って働いている場合:人文知識・国際業務、技術、技能、投資・経営、企業内転勤
→日本で得ていた収入を元に算定されます。
 算定の期間が在留期間を超える場合は、更新される可能性を証明する必要があります。

○就労ビザを持たず働いていない場合 :商用、観光、親族訪問等の短期滞在ビザ
→本国で得ていた収入を基礎に算定されます。
 治療が長引いた場合は、家賃や食費などの生活費は、別途請求出来ることもあります。

就労ビザを持たず働いていた場合 :家族滞在、留学生、就学生
→日本での実際の収入を元に算定されます。

○オーバーステイ、密入国者の場合
→日本での実際の収入を元に算定されます。


逸失利益

○定着居住者:永住者、日本人の配偶者等、永住者の配偶者等、定住者、特別永住者
→ 日本人の場合と同じ基準で算定されます。

就労ビザを持って働いている場合:人文知識・国際業務、技術、技能、投資・経営、企業内転勤
→日本で得ていた収入を元に算定されます。
 しかし、算定の期間が在留期間を超える場合は、更新される可能性を証明する必要があります。

○就労ビザを持たず働いていない場合 :商用、観光、親族訪問等の短期滞在ビザ
→本国で得ていた収入を基礎に算定されます。
 治療が長引いた場合は、家賃や食費などの生活費は、別途請求出来ることもあります。

就労ビザを持たず働いていた場合 :家族滞在、留学生、就学生
→日本での実際の収入を元に算定されます。

○オーバーステイ、密入国者の場合
→日本での実際の収入を元に算定されます。


傷害慰謝料  全ての場合について、日本人と同額とされます。


後遺障害慰謝料

○定着居住者:永住者、日本人の配偶者等、永住者の配偶者等、定住者、特別永住者
→ 日本人の場合と同じ基準で算定されます。

○ある程度長期の在留期間が見込まれる場合:就労ビザを持っている外国人
→ 日本人の場合を基準としつつ将来の在留期間、日本や本国での就労の可能性、本国での所得等を勘案して算定されます。

○長期の在留期間でない場合:就労ビザを持っていない外国人で、事故時に働いていない場合、
 又は、就労ビザを持っていない外国人で、不法に働いていた場合、等々。
→ 基本的に日本人と同等の算定をされますが、本国の生活水準が低い場合は、日本人が被害者となった場合よりやや低くなる傾向があります。  


死亡慰謝料

○定着居住者:永住者、日本人の配偶者等、永住者の配偶者等、定住者、特別永住者
→ 日本人の場合と同じ基準で算定されます。

○ある程度長期の在留期間が見込まれる場合:就労ビザを持っている外国人
→日本人の場合を基準として、日本や本国における就労の可能性、本国の物価水準等を考慮して決定される。

○長期の在留期間でない場合:就労ビザを持っていない外国人で、事故時に働いていない場合、
 又は、就労ビザを持っていない外国人で、不法に働いていた場合、等々。
→ 被害者が生活水準の低い国の外国人である場合、日本人が被害者となった場合より低めに算定している裁判例が多い。


その他の外国人

外交官等(外交特権享有者)、アメリカ合衆国軍隊の構成員等がありますが、このページでは省略しました。

最後に 「交通事故のミステリー」 江守一郎著から

「外国に行くなら、それなりの覚悟がなければならない。
よその国に出かけて、その国に迷惑をかけてはいけないのだ。」


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