脾臓の亡失について

【脾臓とはこんな働きをする器官です】

リンパ球を作って、体の免疫力を高める
古くなった赤血球の破壊を行う
血液を蓄える

脾臓の亡失については
13級11号とされています。
(平成18年1月25日付基発第0125002号によりますので、平成18年4月1日以降の事故から適用されます)

【ばらばらに分かれている、かつての判例の例】

脾臓の全摘出が人体に特段の影響はない(昭和63年8月22日福岡地裁)
疲労がたまりやすく、風邪をひきやすい(平成6年8月30日大阪地裁)


脾臓に関する判例

【1】

 自転車に乗っていて右折貨物車に衝突されて転倒し、全身打撲に近い傷害を負い
約半年後から全身懈怠を訴え仮性嚢腫の診断で摘脾、肝左葉辺縁の切除を受けた
44歳主婦の事案につき、全身打撲に近い打撃で仮性嚢腫が発症し徐々に大きく
なったとされて、本件事故との因果関係が認められた事例

 脾臓喪失の右事案の後遺症逸失利益算定につき、血液の産生、赤血球の破壊、生
体防御等脾臓の機能を失っていることから、症状固定時センサス同年齢を基礎に
67歳まで20%の労働能力喪失をホフマン式で算定された事例。

大阪地裁 平成5年1月29日判決
(自保ジャーナル・判例レポート第110号−No,3)

【2】

 8歳男児の脾臓摘出後遺症の逸失利益算定につき、しばしば疲労を訴え欠席も多
く、抵抗力が減退していること等から、事故時判明のセンサス全年齢平均に10
%を加算し18歳から67歳まで40%の労働能力喪失をライプニッツ式で算定。

   広島地裁 昭和61年5月30日判決
   (自保ジャーナル・判例レポート第68号−No,17)

【3】

 病弱で生活保護を受ける75歳女子が本件事故で脾臓摘出等併合7級の後遺障
 害を残した事案で、将来も就労の可能性はなく、家事労働を評価することも困難で
あるとされて逸失利益が否定された事例

   東京地裁 平成7年9月12日判決
   (自動車保険ジャーナル・第1133号)

【4】

公務員が事故で脾臓摘出し8級相当の後遺障害を残した事案で、後遺症逸失利益
を否定し、慰謝料で斟酌された事例

右後遺障害否認につき、慰謝料で斟酌され1200万円が認められた。

   東京地裁 昭和63年9月30日判決
   (交民集21巻5号1004頁)

【5】

主婦兼農業従事者の45歳女子が脾臓摘出等で5級相当の後遺障害を残した
事案で、センサス 学歴計女子平均を基礎に21年間、労働能力喪失率79%を
ホフマン式で控除し、逸失利益を認めた事例

8ヶ月間の入院後、9ヶ月間(実通院45日)通院し、5級相当の後遺障害を残
す45歳女子の慰謝料を600万円と認定した事例。

   松山地裁西条支部 昭和55年1月18日判決
   (交民集13巻1号71頁)

【6】

脾臓を摘出、腹部に15センチの手術瘢痕を残す右事案の後遺症逸失利益算定
に つき、18から67歳まで45%の労働能力喪失として請求するが、身体状態は
特段不自由を感じておらず、将来の職業選択も不確定であることから、53年セ
ンサス(請求)初任給につき10年間30%の労働能力喪失で認定された事例

入院66日、通院約1年(実通院30日)して右の後遺症を残す事案につき、慰
謝料が500万円認められた事例

   大阪地裁 昭和57年2月16日判決
   (自保ジャーナル・判例レポート第43号−No,16)

【7】

併合2級の左大腿切断、顔面醜状、脾臓摘出、骨盤変形、左肩・右手・右足各機
能障害を残す50歳有職主婦の将来の付添費が義肢を使用して1人で歩行でき、
時間をかければ料理、洗濯できることから否認された事例

逸失利益は左大腿切断の4級相当の92%の労働能力喪失率で実収入を若干
下回る事故時センサス平均で67歳まで算定された。

   東京地裁 平成8年4月10日判決
   (交民集29巻2号564頁)

【8】

交通事故で、脾臓破裂及び肝機能障害等の傷害を受けた被害者が、事故後9か
月を経て欠致死性不整脈で死亡した事案で、以前より白血病に罹患していたこと
も考慮され、損害の5割を寄与度減額された事例

白血病に罹患していた47歳男子会社員の事案で、被害者の死亡逸失利益で、
就 労可能年数を5年として算定された事例。

東京地裁 昭和62年1月27日判決
 (判例タイムズ640号211頁)

【9】

脾臓を摘出したが現在は一応通常の生活をしている8才男児の後遺症逸失利益算
定につき、その就労可能全期間にわたり30%の労働能力喪失を認め、賃金セン
サス第1表の旧中・新高卒男子労働者の平均賃金を基礎とし逸失利益668万8,
400円を認めた事例

東京地裁 昭和51年5月27日判決
(自保ジャーナル・判例レポート第13号−No,13)

【10】

上場企業入社間もなくの大卒男子が脾臓摘出、左肩・手関節用廃等併合4級後遺
障害を残し復職、同期入社者と給与差が生じている事案で、症状固定時の同期入
社者の平均収入で67歳まで60%喪失で算定された事例

   東京地裁 平成10年6月23日判決(控訴中)
   (自動車保険ジャーナル第1267号)

【11】

併合1級を残した被害者の入院日認定につき、住宅改造費の交渉が「保険会社の
査定等で遷延もやむをえない」として症状固定までの入院を認め、固定後の入院
が否認された事例

住宅改造で家族が利益を受けたとしても、反射的なものに過ぎず限定要素とすべ
きでないとされた。住宅改造費等で公的扶助を受けた場合は損害の填補となるが、
制度があっても受ける義務はなく、扶助制度があるとしても減額の対象とはなら
ないとされた。ライプ・ホフマン、搭乗者傷害給付、好意同乗でも注目される判


   仙台地裁 平成9年10月7日判決
   (自動車保険ジャーナル 第1231号)(平成10年1月29日掲載)

【12】

20歳男子大学生が事故で脾臓破裂の傷害を負い、脾臓摘出手術を行なった事案
につき、成人での脾臓喪失は肝臓その他の臓器が代替する側面はあるものの、長
期的にみて敗血症を起こしたり、一般的にも全身の倦怠感が生じやすく、将来的
な職業選択や勤務において影響がでることが推認されるとの医学的見解から、大
学卒業時の22歳平均収入を基礎に、67歳までの45年間、15%の労働能力
を喪失したものとして後遺症逸失利益が算定された。

   大阪地裁 平成6年6月27日判決
   (交民集27巻3号826頁)

【13】

脾臓摘出で8級11号の後遺障害残す51歳男子飲食店経営者の事案で、8級相
当の45%喪失の3分の1である15%の労働能力を喪失したものと、67歳ま
で逸失利益が算定された。

   大阪地裁 平成6年8月30日判決
   (交民集27巻4号1153頁)

【14】

『スポーツ関係志望の男子大学生の脾臓摘出等に25%喪失を認定』

脾臓摘出、肋骨変形の併合7級を残す症状固定時24歳男子大学生の事案に
つき、スポーツインストラクターなどになる可能性を十分に有していたものと、
「ハンディになることの蓋然性は、極めて容易に予測できる」ことから労働能力
喪失率を25%で後遺症逸失利益が認められた事例

   横浜地裁 平成11年11月15日判決(確定)
   (自動車保険ジャーナル・第1379号)

【15】

 19歳男子大学生が本件事故で脾臓全摘出した事案につき、機能
は短時日の間に肝臓、リンパ節、骨髄などに代償され、人体に特段
の影響はないことから、労働能力の喪失が認められないとされて逸
失利益が否定された事例

 脾臓の全摘出は、免疫能の低下の有無など医学上議論の余地を
残していることもあって慰謝料算定の斟酌事情であるとされ、540万
円請求する後遺症慰謝料が400万円認められた事例

   福岡地裁 昭和61年8月22日判決
   (交民集19巻4号1133頁)


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