長崎先生講義録
サポートシステム 2000.11/1
 裁判所の調査官がこう言ったという。「昔の犯罪はよく見えた」。よく見えたとは、判りやすいという意味。ものがないから盗む、貧乏だからかっぱらう。しかし、今の犯罪は見えにくい。理由がわからない。

 それは現代社会において「関わり」が少ない、希薄であるからである。それは「関わり」を補うものがたくさんある、ということでもある。例えばコンビニ。見知らぬ店員と言葉を交わすことなく買い物ができる。もちろんそちらの方が便利というのも事実である。見られたくないこともある。しか人情はそこにはない。このように、関わりを持たなくても済むものが増えたことが現代社会の特質である。

 都会の人は「田舎暮らしはがいいな」などと言うが、来てみると、退屈で、近所づきあい鬱陶しいことに気づく。両者は相反するものである。

 ではなにが一番大切か。それは見かけの量ではなく、その濃さである。よく統計に出てくるような、「子供と一緒に過ごした時間」などではなく、いっぱい関わって、ああ楽しかったな、と思えること、である。ただ時間だけ一緒に過ごしても意味はない。従って休日の過ごし方も、本当に楽しいと思えることをすることが求められる。

 欧米の休日の過ごし方をそのまま導入しても無理がある。文化が違うのだから。無理に違うものを持ってくれば混乱が生じる。混乱が生じれば、上手にガス抜きするサポートも必要となる。

 昔に比べて家事労働はラクになった。確かにラクにはなったが、その分考える時間が多くなった。色々考えるとかえってイライラするものである。また様々な精度の高い機械に囲まれて生活していると、せっかちで短絡的になる。「最先端の技術を入れれば入れる程、人間の顔がなくなっていく」という。

 欧米では2ヶ月間のバカンスをとる。その間機械に囲まれない生活をする。五感を鍛えることは第六感を育てるという。

 現代の生活は便利になった。しかし便利さの陰にあるものは人間疎外であり、便利さによってさらに増すイライラ感である。

 そのため、サポートシステムが必要になる。結婚、就職など人生の様々な転機に際し、支援してくれる先輩、アドバイスをしてくれる人がいるかいないかで違ってくる。

 他者とのつながりは多い方が、大きい方がよい。いろいろなサークル、会にかかわっていれば、様々な立場の人からいろいろなアドバイスをもらえる。頼りになる人のネットワークをつくろう!

 情報は止まっている。同じ本を読んでも依然と印象が違うことがある。本の内容は変わらない。活字にした時点で情報は固まり、止まる。その情報に価値を見いだすかどうかは自分の問題。

 情報を与える側から言えば、相手の状況に合わせて、相手に浸透する言葉で伝えなければ意味はない。その人の欲しいものを見極める必要がある。

 警察官に平塚八兵衛という人がいる。「落としの八兵衛」とよばれ、自白をさせるのが上手だといわれたが、彼は「『おとす』んじゃない、『すがる』んだ」と語った、という。

吉展ちゃん事件(1963)
 1963年3月31日東京都台東区入谷町で当時4歳の村越吉展ちゃんが何者かに誘拐され、身代金を要求する電話がかかってきました。「戦後最大の誘拐」と言われた「吉展ちゃん事件」の発生でした。
 事件の捜査は困難を極め、ようやく2年後1965年の7月になってやっと犯人逮捕に至りました。吉展ちゃんは結局誘拐された日の晩に殺されており、遺体は南千住の円通寺の墓地で発見され、現在その地には「吉展地蔵」が建っています。
 犯人は小原保といい、裁判で死刑が確定、執行されました。その時国選弁護人を務めた土屋公献氏は後に日弁連会長を務めています。犯人の取り調べに当たったのは「落としの八兵衛」と言われた平塚八兵衛氏(1913年9月生,故人)で、後に警視まで昇進しました。平塚氏は警視庁捜査一課で「情け知らずの徳太郎」と言われた山川徳太郎元警部補と並び称される名物刑事でした。

 無理にしゃべらせようとすると相手は身構える。力が入ったらダメ。教えてもらう、という気持ちでやる、という。ロジャースもまた「治そうとするな、わかろうとせよ」と言った。
 学校が教育の主役になったのは明治5年から。それまでは寺子屋によるマンツーマンの形で教授は行われていた。

 本を読むことは大事である。しかし本は答えをくれない。素直に教えを請える存在を持つこと。

 後半は長崎先生がヨセミテに行ったときにスライドを見ながら。

 苦労は味わうもの。文句を言う同士がいることは大切。話すは放すこと、など。

 次回は人間関係について。

 
ヨセミテ国立公園 ヨセミテこくりつこうえん Yosemite National Park 

 アメリカ合衆国カリフォルニア州中東部、シエラネバダ山脈にある国立公園。1890年指定。面積は3079km2。4000m級の山々、深い渓谷、雄大な滝、巨木セコイアの森、豊富な野生動物など大自然をあますところなく満喫できる公園として知られる。なかでもマーセッド川上流にある長さ11km、幅1.6kmのヨセミテ渓谷とよばれるU字谷は、この公園のシンボルとなっている。その渓谷の花崗(かこう)岩からなる谷壁エルキャピタンは壮観で、1200mの高さで切りたっている。谷壁には多くの滝がかかり、ヨセミテ滝は上段の滝の落差436m、下段の滝の落差98m、両滝間の落差が206mという巨大な流れをみせている。ほかに491mも垂直に落下するリボン滝、ウェディング・ベールのように下のほうが霧になってちる純白のブライダルベール滝、虹のかかることで知られるバーナル滝などがある。

 ヨセミテ渓谷はこの国立公園の南部の一部を占めるにすぎず、その北にはシエラネバダ山脈にあるライエル山(3997m)などの高山がつづく。トゥオラムニ川の形成するグランドキャニオンには、有名なウォーターホイール(水車)滝のほか多くの滝がみられる。

 野生動植物の宝庫としても知られ、とくにマリポーサ、トゥオラムニ、マーセド森のジャイアント・セコイアは有名である。マツ・モミ・トウヒ類の森がひろがるが、高度がますと高山植物帯となる。1300種ほどの顕花植物、31種の樹種が観察される。哺乳動物は約60種が確認され、なかでもクマとシカが多い。鳥は220種ほどいる。
 

                   

 (文責:菊田)