長崎先生講義録
ケーススタディ(2) 2001.6/14
 最近の話題と言えば、大阪大学付属池田小の事件でもちきりである。
 WHO(World Health Organization)では精神に病を持つ人を3種類規定している。それは
 1)精神病
 2)神経症
 3)精神発達遅滞(かつての精神薄弱)
の3つである。小田晋先生は、誤解を恐れずに言えば精神病とは「狂った人」であり、神経症とは「ヘンな人」であり、精神発達遅滞とは「バカな人」であるという。(誰にでもわかる俗な言葉で表現することが大切である、という文脈の中で理解していただきたい)さらに精神病、精神発達遅滞は自分のおかしさに自覚がない、という。

 ただし、学校Uの中に出てきたように、てんかんを持った男の子が「オレはバカだから」と言うシーンがある。精神発達遅滞でも中程度だと自覚できる。
 池田小の事件に絡んで言えば、欧米では精神病歴のある犯罪者を退院させるときには、医師が責任を持つ、という。
 またPTSDという言葉がさかんに言われるようになったが、多くの人はあまり理解せずに言葉を使っている。


心的外傷後ストレス障害(PTSD)
 外的現実の出来事から生じる外傷体験については、1995年の阪神・淡路大震災ののち、心的外傷後ストレス障害(post-traumatic stress disorder)として注目されることになった。これは過剰なストレスに対する反応として生じる精神的な障害で、強い恐怖、驚愕(きょうがく)、絶望などの状態を呈する。
 誘因となる出来事は通常の人間が体験する程度をこえたもので、拷問や暴力、災害や事故で自分や家族の生命がおびやかされる。あるいは他の人がおそわれたり殺されたりするのを目にするといった事柄である。1990年代後半、特異な犯罪事件後の心理的ケアが注目されることとなった。トラウマという言葉が広くゆきわたったのはこのころからである。
 ストレス反応としては、外傷に関連した刺激を回避し、外界に対する反応性が低下する。睡眠障害や過剰な警戒心、強い抑うつ、不安症状がみとめられることも多い。そのケアについては安全感の確保できる対人関係の維持が重要である。カウンセリング、家族療法や小集団的アプローチ、コミュニティのネットワークづくり、適切な薬物の処方など多面的なケアが欠かせない。


 ストレスに耐えられないとき、人は自分を守るためにこのような反応を起こす。
 ただ、もしそうなのであれば50年前の戦争の時には、みんあPTSDになっていなければいけないことになる。ある意味、「知る」というのは怖いことである。PTSDなどと騒ぎ立て、人の心を分析し、知りすぎるとかえって物事が困難になることもある。
 また「このようなストレスがあれば、必ずこうなる」というものでもない。どういう人が心的外傷になるかと言えば、それは思考回路、受け止め方の問題である。


 さて、事例研究法について。
 インシデント法による事例研究では
  1)主訴
  2)生育歴
  3)家族
  4)社会的地位
  5)問題の経緯
という順で事例発表者が説明する。その後出席者がそれに対し質問をし、アドバイスをする。
 一人で考えると自分の好みで考えてしまい、解決策が見つからないことがある。このようなカタチで他人の意見を聞くことは重要である。

 大事なことは「守秘義務」。ここで聞いたことは絶対に口外しない。次回はこのカタチで事例検討を行う。


 後半の実習はまず「マインド握手」。全員が立った状態で、適当に二人組になり、握手をする。その際、ギュッと1回握るか、ギュッギュッと2回握るか、ギュッギュッギュッと三回握るかを、お互いに心の中で決めて握手する。もし握る回数が合えばその2人でペアになる。回数が合わなければ合う人が見つかるまで相手を替えながら行う。

 その後行ったのがソーシャルスキルトレーニングsocial skill trainningである。まず二人組になり、じゃんけんで勝った方から「私の好きなモノ(こと)は○○です」と自分の好きなモノ・事を相手に数多く伝える。それに対し、相手は話してが話しやすいように聞く。
話しやすいようにとは、具体的には1)相づち・うなずき 2)繰り返し 3)相手をみるの三点である。例えヘンなモノを「好きだ」と言っても、「えー?」などとイヤな顔はしない。

 以上を1分ずつ交代して行い、その後お互いに感じたことをシェアリングする。

 相手を見る、といっても常に凝視するとかえって不自然になる。体をそちらに向ける、のと同時に気持ちをそちらに向ける、と
いうことが大切。

 さらにその後、1)うなずかない 2)繰り返さない 3)相手の方を見ない・顔を背ける・無視するの3点を守って同じように好きなモノを伝える。

 このような否定的な聞き方だと、同じ1分間が長く感じ、また次第に話すのがイヤになってくる。

 よく「あの人はいい人だ」「あの人は〜だから好きだ」などと言うが、これはその人の行動をどのように感じるかということ。まず好意的な関わり方をする事が大切。
 (文責:菊田)
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