八十川先生講義録
しつけ・子育てのポイント(1) 2000.4/19
 教育とは「『個性化』と『社会化』」という2つの事柄を同時に行わなくてはならない。
「個性化」とは、その人らしさを育てることであり、「社会化」とはみんなと一緒に生活する、仲良くする事である。
これらは矛盾する事柄である。しかし共に大切なことであり、身につけなくてはならないことである。

 しつけはこの中で「社会化」の方に属する。人間は基本的には「生き物」である。
生き物には自己保存本能があり、自分の存在が第一である。
従って本来人間は「自己中(虫)」な生き物であり、周囲に対する配慮はない。

 これをコントロールし、押さえるようにすることが「しつけ」である。しつけは早ければ早いほど良い。

 八十川先生は今日、授業中ヘッドフォンをつけて音楽を聴いている子供を注意した。
しかし、その子は何がいけないことなのか、何故それがいけないことなのかわからなかったという。

 人間はそのままでは人間にはならない。それは世界中に50例ほどある野生児の例からわかる。
アヴェロンの野生児、またアマラとカマラはその代表的なものである。  

 オオカミに育てられた人間は決して人間にならない、という。人間ではなく、オオカミになるのだ。  まず、二本足で歩けない。言葉がしゃべれない。それはそのように教育されたからである。

 物心着いた頃にはすでに行動のパターンができていることの方が多い。

 従って、その時には行動パターンが完成しているように育てなければいけない。
つまりしつけはある時期に教え込んでしまわなければダメということである。大きくなってからでは遅いのである。
欧米では少年期よりも幼児期に厳しくすると言う。やはりしつけは早い内から、である。

 さて、子育ての目標は「自分で生きていけるようにすること」言い換えれば「自立」であり「自律」である。
不適切かもしれないが、障害のある子を持つ親の願いは「自分が死んだ後、この子が一人で生きていけるように。一つでも自分のことを自分でできるように」というものであるという。これこそが自立であり、そこが子育ての原点なのではないか。そして同時に自律selfcontrolも大切な目標である。

 そのほか押さえておくべき事として、「子供は成長するものである」ということがある。
ステップを踏んで年齢相応になるように育てる事が大切。親が手をかけた子供ほど「こんな自分に誰がした!」と言うという。
あれもこれも親が手を出せば子供はできるようにはならない、そして自分の無力さを自分が一番よく知ることになる。

 幼児期に大事なことは「親の力強さ」である。たとえば親がダンプの運転手だと子供に大人気だという。
小学生期に大事なのは「親の優しさ」である。友達が家に遊びに来たときにお菓子を出してくれる優しさ、これが大切。
しかし一方中学生期には「親のものの見方、考え方」が大切になる。それぞれ時期にあったものを与えなければ子供は成長しない。

 それでは「幼児期(学齢前)」の家庭教育の基本原則について。

1 基本的生活習慣のしつけ
 @食事 きちんと時間に食事をする
 A睡眠 夜更かしをしない
 B排泄 トイレでする 他では我慢する
 C着脱衣
 D保健衛生 歯を磨く

どうやって身につけるか
・習慣は行動の繰り返し
  子供は洞察力がないので、どうしてそれをしなければならないのかわからない。
  そう言う意味では犬・猫と同様である。繰り返すことでしつける。
・望ましい行為を身につけるときには「快」の感情
  ex.お片づけを楽しいと思わせる(幼稚園では♪お片づけ〜と歌いながら片付ける)
・親の気分で例外を極力作らない
  「今日はお客さんがいるから夜更かししてもいいよ」はダメ
・幼児のやる気を大切にする

2 子供の遊び〜遊びを通じて様々なことを学習する
   ・体の成長
   ・運動機能の伸長
   ・知的能力の基礎となるもの
     思考力、記憶力、推理力、注意力、集中力、想像力

 @遊びのおもしろさを伝える
   ボールをおいてもダメ → 転がしてやる
   積み木   〃    → 崩してやる
 A遊びには段階がある(一人遊び → 並行遊び → 集団遊び)
   一人遊びの段階で十分に遊んでないと次の段階にいけない
 B子供の頃心ゆくまで遊んだ経験がある人間は伸びる
   遊ばない大人はつまらない 

3 絵本の好きな子に育てる
   なぜ本を読むことが大切か?
    「勉強すること=自分で本を読む」に他ならないから
 @絵本を巡って交わされる親子の会話
   そこで生まれる会話が大事
 A好きなお母さんと絵本を結びつける
   お母さんと一緒に過ごすことが大切
 Bほんの文章の通りに読む必要はない
 C学習絵本はダメ
 D絵を言葉に変える
 E初めから本の好きな子はいない(ステップを順に追って)
   お話を聞く → 絵を見る → 読んでもらう → 自分から読む

4 運動の好きな子(父親の出番!)
   運動の嫌いな子供には劣等感が生まれる事が多い
 ・チャンスを与える
 ・動機付け
   ↓
  子供と一緒に計画を立てる
  親が一緒にやる

5 幼児期の子供を理解するために〜「反抗」の意味
 ・3才頃=第一次反抗期
          → 自我の芽生え=独り立ち
 ・反抗期のない「よい子」は他に合わせるばかりで自己主張ができない子になる
 ・ただし人に迷惑をかける場合、それはダメ

6 子供のウソを見抜く〜ついてよいウソといけないウソ
   ウソの中身を見抜く必要
 ・想像上のウソ ex.「キリンさんがお友達になって、って言った」 → ○
 ・正しいことを知らない多米に着くウソ
   ex.「毎日いろんなお月さんが順番に出てくる」 → ○
 ・罰を逃れるためにつくウソ ex.「ボクじゃないよ」 → ×
 ・自己犠牲(友達をかばう)ウソ → △
 ・自己顕示(注意を引くためにつく)ウソ → △(要注意)

7 上手なほめ方、叱り方
 @叱って悪いことをやめさせるより、ほめてよいところをのばす方がいい
   しかるよりほめる → やる気が出る
 Aほめるときも叱るときも、「ことがら・行為」をほめる(叱る)。人格には触れない
   「(その行為は)ダメ」は○、「バカだねぇ」は×
   「良い点取ったね」は○、「良い点取って、いい子だね」は×
   「絵が上手に描けて良かったね」は○、「絵が上手に描けていい子だね」は×
 B叱るときは親の責任で叱る
   「先生が言ってたよ」は×、「お母さんは(それを)許さない」は○
 C大きい子、小さい子で叱り方は違う
   特に小さい子はすぐ叱る、その場で叱ること
 D叱るときは短く、一度にたくさん叱らない 
 (文責:菊田)