八十川先生講義録
不登校(3) 2000.8/2
<復習>
・不登校=学校へ行けない状態は全て不登校
・ただしここでは@本人は行きたい。行く必要を認めている A保護者も同様に行って欲しいと思っている場合の不登校の話しである。  

20 原因
@自立性の欠如
A自分をコントロールselfcontorolできない
B社会性の欠如=人間関係をどう保つか  

21 目的
・学校に行けるかどうかは結果の問題である。年齢相応の発達ができていないことを解決するのが一番大事。原因(20の@〜B)が治れば不登校そのものも治る。
・八十川先生の経験の中で、治ったけど学校に行かなかったのは一例のみ。  

22 押さえるべきポイント
@登校させることが目的ではない
・小学校低学年なら学校に行かせるように治療することもある。 → 行動療法によって徐々に
A生育歴
・wanted or unwanted望んだ子か、望まない子か
・ミルクの飲み具合。よく飲んだか、飲まないか=健康かそうでないか
・母乳かミルクか=スキンシップができているか
・夜泣きしたか=神経質か
・喘息、アトピーのあるなし。母親が不安定 → 子供不安定
・一人で保育園に行けたか。
・友達と遊べたか。
・母親と別れられたか=母親との信頼関係ができているか
・本が好きか。甚だしい場合は社会性に欠けることも。一人っ子も同様。  
B仮説を立てる
・治療のマンネリ化を防ぐ
・新しい治療法の試みは100日(3ヶ月)が限度
・母親は治療の協力者・アシスタント。「母原病」的発想は好ましくない。一緒に協力しましょう、という姿勢で。
・母親には日記をつけてもらう=子供との関係を振り返り、見直す。
・「お母さんは変わるよ」と宣言してもらう。急に変わったんじゃ子供がびっくりしてしまう。
C家族とその周辺に不登校児と同じような症状・行動の人はいるか
・10人に一人は精神的なものから不登校になる。破瓜型分裂病orうつ病。だとすれば遺伝的なことが考えられる。
D転校は全く考えない
・転校=逃げ
・今の状況を自分の力で解決することが大切。とにかく(他の学校でもいいから)学校に行きさえすればいいというわけではない。
・転校しても再発の可能性がある。結局自己の内面の問題をクリアできなければ仕方がない。
E不登校のきっかけについて
・確かにきっかけとしていじめ・友人関係・先生との問題があることもある。だが本質はその子自身に問題がある。
F登校刺激を与えない
・本人は行きたいと思っている。わかっていることを言われると嫌になる。
G作業をさせる=自信を付けさせる ・食べ物をきっかけに関わりを作る。
・継続性・計画性を養う。
H結局、自分は愛されていると実感する(させる)ことが一番大事
・いま不登校が問題になっているのは現代社会において人間関係が希薄になっているから。
・家庭ではみんなが一緒に食事をする。
・家庭ではニュース番組なんか視なくて良い。お笑い番組を視て、一日一回笑え!
・家庭が安らぎの場であることが大事。必要なら家庭を立て直す。
I親子のスキンシップの機会を増やす
・同性なら一緒に風呂に入る。異性でも嫌がらないなら一緒に入る。
・肩もみを相互にする。「肩もんで」「ありがと。母さんもやってあげるね」不登校児は緊張している、肩こりの可能性が高い。
・一緒にお手伝いをさせる。  

23精神病・神経症について
・そううつ病は自分で自覚できるが、分裂病は自覚できない。
@分裂病
・10代半ば・20代半ば・30代半ばに発病することが多い。特に10代半ばに発病するものを破瓜型分裂病という。
・幻聴・幻覚・させられ体験・操り人形感覚・神の声=分裂病の特徴
Aうつ病 ・生きる意欲がなくなる=性欲・食欲なくなる=何もしたくなくなる=何もやる気が出ない
・午前中ダメなことが多い。午後活動し出す。
・あらゆることに関心がなくなる。何かするのがおっくうになる。
B病前性格 ・几帳面。以上に几帳面なのは要注意。
・人に良く尽くす。
・自分をよく責める
C注意事項
・うつ病はドクターの範疇である。
・うつ病は自殺の可能性がある。特に良くなりかけたとき。
・治療に際しては、安易に大丈夫だよと問題を過小評価する親が問題になることがある。
D薬について
・使わないにこしたことはない。しかし苦しくて仕方がないなら使っても良いのではないか。安易な使用・薬漬けは論外だが風邪をひいたら薬を飲むのと同じ。
・「うつは心の風邪」
・ちなみに良い精神科のドクターとは、患者に薬を飲む必要性をわからせることができるドクター。  

24 交換条件
・「犬(や猫)を飼ってくれたら」とか「バイクや楽器を買ってくれたら学校へ行く」と交換条件は蹴る。学校へ行く行かないは本人の問題であってこれとは別問題。買ってあげるから学校へ行ってね、というものではない。買いたいならお金を貯めて自分で買いなさい。  

25 外へ連れ出すこと
・外へ連れ出すことで子供が変わった(良くなった)という例はない。海外旅行でもダメだったという例はある。確かに気分は変わるかもしれないが、効果はないといって良い。
・ただし葬式に出て変わった、という例はある。人の死というのはやはり大きい。  

26 カウンセリングを受けること
・カウンセリングを受けることが何よりも大事。
・「この1週間何してた?」
・できるだけopen questionで。
・基本的には受容が大事。時々支持を入れながら。  

27 不登校を正当化・合理化する
・長期になった子は、不登校を正当化・合理化することがある。そういう場合はかえって登校刺激を与える。「お前ももう19だな。同い年の子はどうしてるだろうな」「あいつは2浪して大学行ったぞ」「10年後のお前はどうだろうな」と揺さぶりをかける。
・高校の不登校で言えば、同級生が大学出て就職して結婚する頃になると「おれもこのままじゃまずい」「おれもやらなきゃ」となることがある。
・20才過ぎて学校へ行きたい、なんて時には高校に戻るのではなく大検を勧める。大検予備校もある。  

28 対応
・幼稚園児・小学生なら箱庭がよい。遊戯療法もよい。
・大家族なら家族療法がよい。月1回で5〜6回で治る。
・小さい子なら絵画療法(投影法)がよい。バウムテスト、HTP(house tree person) 家族が療法など。    

9月はいじめについて。                       
 (文責:菊田)